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「介護日記」その4

  11月3日 木曜日
 勤務先のデイサービス・センターに、父が利用者として初めてやってきた。
 仕事と私生活に接点が生じたという、僕にとってちょっと不思議な記念日。

 朝のお迎え運転を終えて施設に戻ってみると、少し戸惑いがちの父の姿。その様子がちょっと気になったが、周囲の利用者の方に親子であることを告げると、なにかと話しかけてくださって、そのうちに父の表情も穏やかになった。 

「顔が似ている」

 複数からそう言われた。

 だが、これは生まれて初めてのこと。
 どちらかと言うと、顔立ちは母似で、父とは似ていないと言われていた。
 今でも似ているとは思わないが、ひょっとして、双方歳を重ねるうちに、同じようなシワが増えてきたのかな?

 父は囲碁が好きだ。
 先月まで通っていたデイサービスでは、ボランティアさんと対戦するのを楽しみにしていた。

 利用者さんの中に囲碁の強い人がいて、本日利用予定だったのだが、体調不良のため御休み。それが残念だった。


 ショートステイ利用者で、囲碁が出来る人がいたので、急遽移動してもらい、相手をしていただいたのだが、力に差があり、父の連戦連勝。

 囲碁のボランティアに関する情報が欲しい。

    **

  12月18日 水曜日
 休日。
 
 午前中、少しまとまった時間があったので、
助手席に父を乗せて少し遠出してみた。 
 
 ドライブ中の何気ない会話などから
 若い頃は知り得なかった彼の人としての魅力を
 ぼちぼちと再認識しつつある。

父 なぎさ公園あいらにて

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  12月25日 日曜日
 クリスマス。

 天文館アーケードにちょっと変わったクリスマスツリー。

   まるで七夕飾りみたいに短冊がいくつも下げられていた。

   中でも、この1枚が目を引いた。

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 このところ父の食欲が旺盛である。
 故郷鹿児島に帰ってきて8年になるが、こんな父を見たことがない。

 以前は、
「どうも食欲がない。ご飯は半分無いくらいでいい」
 これが口癖のようになっていた。

 9月の退院から、徐々に摂取量が増え始め、今では普通に盛っても完食するようになった。

 そればかりか、1週間ほど前「おかわり!」の声を聞いたときは、一瞬我が耳を疑った。お代わりだけで「半分より少し多いぐらい」を要求。その元気さに驚いた。

 その原因として考えられるのが、塩分と動物タンパクを控えた腎臓病食を徹底してきたこと。夏に脱水で入院し、退院時に栄養士さんから指導を受け、それを忠実に守ってきたのだ。

 19日の病院受診で、今まで続けていた食欲増進のための漢方薬が中止になった。

 主治医の先生は、僕と年が近い。丁寧な口調で説明してくださるので、母が気に入って選んだ先生だったが、僕もこの先生が好きなんだよなぁ。

病院の窓より
病院に向かう途中で見える桜島






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