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NiziU プロデューサーから学ぶ最強の「褒め方」8箇条
世間の流行にのって
世間の流行にまんまとのって、
Niziプロを一気見した。
Nizi Project(通称Nizi プロ)とは、韓国の大手JYPエンターテイメントとソニーミュージックがコラボし、グローバルに活躍するガールズグループをつくろう!という趣旨のプロジェクト。
そのオーディションから結成されるまでの様子が、すべてドキュメンタリー形式で番組になっていた。
思い返せば第一次KPOPブームの時にちょうど高校生だったのだが、文化祭でSuper Juniorと少女時代を踊ったのがとても懐かしい。
以降、Twiceや2PMがでてきたあたりには「KPOP=若い子がはまるもの」みたいなイメージがあり自然と遠ざかっていた。
そして、時代の流行でNiziプロの名前を目にする機会が増え、自粛期間で時間もあるし、と興味本位でみてみたら、
まんまとハマった。
もともとオーディション番組を見るのが大好きだったこともあるが、芯をもって頑張る少女たちの姿、「順位がつけられる」という過酷な争い、ダンスと歌が好きでたまらないという活力が溢れていて見るのを止められなかった。
そして先日ついにNiziUというグループ名でデビューし、ファーストシングルとMVが公開となったのだ。
とにかく可愛い。オーディションの時から成長を見守ってきた母のような気持ちになる。(きっとそれが狙い)
Niziプロのプロデューサー、J.Y.Parkさん
NiziUのプロデューサーであり、今回少女たちをオーディションから選び成長を支えてきたのが J.Y.Park(パク・ジニョン)さんだ。
KPOPに無知すぎたということもあり、今回初めてちゃんと存在を知ったのだが、日本では「餅ゴリ」の愛称で親しまれているとのこと。
え?悪口じゃない?と思いつつも、餅が好きなゴリラ顔ということで本人も公式の愛称ということでちょっとほっとした。
ほんと、餅ゴリとかって呼べないくらいこの人本当にすごかった。。
ご本人の信念というか、「育てたい」というまっすぐな気持ちが画面飛び越えて伝わってきて、J.Y.Parkさんから学ぶことが本当に多かった。
これ、アイドル育成とかじゃなくて全ての組織に応用できる。
ということで、人材育成の視点からみた、J.Y.Parkさんの「褒め方」に着目して少しばかり分析してみたい。
(所々少しネタバレ含みます。練習性の具体名はだしませんが、ご理解のある方のみ読み進めてください!)
① 過程を評価する
ダンスも歌も、一回きりのステージでの結果がすべてだ。
そこで発揮できるかできないかでプロとしての実力差がでる。
それでも、J.Y.Parkさんはしっかりと練習生の「過程」を評価する。
「今回のパフォーマンスで、どれだけ練習したかが伝わりました」
「前に僕が指摘したことが、すべて直っていました。僕が言ったことを正しく理解して、自分の力に変えたのだと思います」
結果だけではなく、その練習生がそこにたどり着くまでの努力の過程をしっかりと言葉にだして認める、それは優れた指導者の特徴だと思う。
② 細部を褒める
「雰囲気がよかった」「この前よりうまくなっていた」
褒め言葉というのは簡単な言葉で成り立つことができる。
語尾に「~よかった」とかつければ何でも褒め言葉になる。
でも、それは結局5分もすれば忘れてしまう。良い気分だけが残って、結局つけあがってサボってまた失敗するのだ。(体験談)
J.Y.Parkさんが褒めるときは必ず「細部」を褒める。
「この振り付けで正確に肩をまわしていたのはあなた一人だけだった」
「この歌のこの高音部分が非常に安定している」
「歌い出したときに力強い声がでている」
こんなにも具体的に細かい部分を褒められたら、それはもう忘れるわけがない。
細かければ細かいほど、その褒め言葉は記憶に残る。
同時に、これだけの誰もわからないような細部を褒めることができるというのは、指導者自身の高いスキルが必要でもあるということだ。
こんなところまで見てくれていたんだ、という気づきがあれば、指導者への尊敬の気持ちは一瞬でふくれあがり、良好な信頼関係を構築することができる。
③ 周りとの比較をモチベーションに繋げる
周りと比較するなんて、現代ではもう御法度とされているほどリスクが高い。
へたすれば、「~さんがひいきされている」「~さんばかり褒められてずるい」「私はできないんだ」とモチベーションだだ下がりかつ指導者との関係性に亀裂が入るおそれがある。
とにかく感動したのが「周りとの比較」を巧みに活用する言葉の使い方だった。これはもう指導者としてかなりの上級者ではいと失敗する。
「3人とも上手だったが他の2人よりもあなたの声が一番豊かだった。だからあなたの声が一番印象に残っている」
と褒めることもあれば、
「○○さんと○○さんは東京合宿のときにはあなたよりもはるかに実力的に下だった。でも、この韓国合宿ではふたりとも上位に入っている。それについて、どう思いますか?」
というように、伸びている練習生とあえて「比較」をする。
悔しい、と感じるとき人は最も伸びる、というのが私の持論だが、
この「他者と比較」することはポイントポイントでつかえば抜群にモチベーション向上に繋げられる。
もちろん、そこには大前提としての「信頼関係」がなければ逆効果なので注意が必要そうだ。
④ 「全練習生のなかで」という特別感
「全練習生のなかで一番輝いていた」
「全練習生のなかで圧倒的に成長がみえた」
こんな風に言われたら、どう思うだろうか。
しかも、誰が見ても上手い子がめちゃくちゃに褒められたあとに、
「にもかかわらず、私が今日全練習生のなかで一番輝いていたと思ったのは○○さんです」
と突然陰に隠れていた一人を名指しで褒める。
この「全員のなかで一番」といのは直接的には誰も傷つけないすごい言葉だ。
言われた本人は特別感と認められた感を感じながら、他のひとたちは「私も言われたい」と自然とモチベーションが高まる。
⑤ 成長の幅をみる
「僕はずっとあなたの変化に驚かされています。体をひねる振り付けの角度をみて驚きました。これまでのダンスと比べても、こんなに女性らしい表現のダンスができるとは思いませんでした」
すごく感動的だったのが、ずっと「歌手ではなくダンサーのようだ」と指摘されていた練習生の子が、最後のパフォーマンスで
「僕がアドバイスしたことをしっかり理解したのか、今日は観客である僕とつながっている紐をしっかりつかんだまま感情を通わせながら踊っていました。個人レベルテストのときは歌がまだ不安定でしたが今日は少しも不安にならなかったです。あなたは東京合宿のときまでは目立つレベルではありませんでした。でも今は完全に目立つほど上手です」
こう言われて、全私が号泣。
そのこだけの成長の幅をみる。
周りと比べることもだけど、そのこだけがどれだけ成長したかの振り幅を的確に評価するのは最高の褒め言葉だと思った。
⑥ 現段階で期待するレベルの提示
J.Y.Parkさんの褒め方をみていると
「僕が現段階で期待するレベル以上の完成度でした」
「僕の期待値が少し高すぎてしまったのかもしれません」
「僕の期待値のなかで最高のできでした」
というように、「現段階で練習生に求める期待度」を基準に評価していることがわかる。
それは上手い子にはもっと期待してしまうし、未熟なこには期待値を低くするのだけど、自分が設定した期待値のなかでそのこの最大の頑張りを評価してあげる、というのはひとつのテクニックなのだと感じた。
⑦ 自分が褒めたい部分と本人の認識の一致
「僕はあなたが思っていたよりもパワフルで早いスピードについていけることに本当に驚いた。あなた自身もそう感じましたか?」
J.Y.Parkさんは褒めながら「問いかけ」もする。
それはまるで、自分が褒めたポイントを本人自身もきちんと自覚できているか確認しているようにも感じられた。
褒める→本人に問いかける→褒められた部分を自分の「変化」として吸収する→成長に繋がるという一連の流れがみえる。
褒められただけで、本人自身がそれを「変化」と自覚できなければ他人事のように感じられてしまうため、この一致しているかの確認はとても重要だ。
⑧ 叱りは愛
「上手な叱られ方」「叱りは愛だ」
そんな言葉をいやというほど目にしてきたが、実際私自身は「叱りが愛」というのはパワハラを助長させる恐ろしいものだと思っていた。
今回のNiziプロはもちろん叱られる場面が山ほどある。
そしてそのたびに練習性たちは泣き崩れる。
最終選考に残った子で、なかなか思うように実力を発揮できず、ステージを重ねるごとに「とても残念です」とJ.Y.Parkさんが言っていた練習生がいた。
しかし、選考の最後のステージで、J.Y.Parkさんを唸らせるほどのものすごいパフォーマンスをした彼女。
講評でJ.Y.Parkさんは彼女にこう言葉をかけた。
「今まですごくこの言葉を言ってあげたかった、今日は本当に上手でした」
この言葉こそ、これまでの叱りが愛であることの証明である。
言われた本人だけでなく、彼女のつらさを知っていた他の練習生が一緒にわんわん泣いていたのがとても印象に残っている。
きちんと結果がでたときに言葉にして伝えられることにものすごく感動した。
指導者の叱りは「もっと成長してほしい」という気持ちが少なからずある。
本当は指導者自身もたくさん褒めてあげたい。
でもその気持ちが見えないまま叱る教育者が多すぎるのが問題なのだ。
J.Y.Parkさんのこの言葉にはすべての愛がつまっていると感じた。
Niziプロから学んだこと
ここまで、NiziUプロデューサーのJ.Y.Parkさんから「褒め方」の8箇条を分析した。
① 過程を評価する
② 細部を褒める
③ 周りとの比較をモチベーションに繋げる
④ 「全練習生のなかで」という特別感
⑤ 成長の幅を褒める
⑥ 現段階で期待するレベルの提示
⑦ 自分が褒めたい部分と本人の認識の一致
⑧ 叱りは愛
根気強く観察しつづける力、適切な言葉で伝える力、めげずに支えつづける力など、この8箇条を裏付ける能力はもちろん必要だ。
また、大前提として「信頼関係」の構築は欠かせない。
それが欠けていたら特に③④⑧は実践しても大事故になる。
Niziプロ、ありがとう。
人材育成のヒントがこんなにも隠れていたとは。
一気見するのにかなりの時間を費やしたが、1秒たりとも無駄ではない。
私の心をこんなにも豊かにしてくれて、明日から実践できるヒントをくれて、なにより「私も頑張ろう」と10代の少女たちからものすごいエネルギーをもらった。
Niziプロでこんなにも素晴らしい指導を受けてきた彼女たちがいつの日か次世代に何かを「指導する」という立場にたったとき、
餅ゴリさんの愛ある指導が次世代に受け継がれていきますように。