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11月29日と11月30日
亡くなった人間のことを、いつまで回顧するのか。
以前は5年とか10年とか、ある程度区切りを意識して気持ちを整理すべきかも、などと考えていたが、そうやって気持ちを整理整頓して、心のどこかに綺麗に仕舞ってしまうメリットがさほどないことに気付いた。だから今は、思い出せる限り思い出し続けて、考えたいだけ考え続ければいいと思うようになった。
そんなわけで11月29日がやってきたその日、わたしは亡き友人を思い出すのである。「いい肉の日」の語呂合わせで親しまれる(?)この日は、短大時代の大切な友人の誕生日である。友人は8年前の10月末ごろに亡くなった。
心がクヨクヨして、その死を信じることができなかった時、友人は何度かわたしの夢枕に立った。夢の中で友人に会う時、わたしは嬉しく嬉しくてマシンガンのようにお喋りが止まらなくなる。が、やがて、彼とはもう現実世界で会うことができない事実に気づく、そして夢が終わる…ここまでがワンセットだ。
ある時わたしは、これが夢の中であると気付いたうえで、友人に「生きているのか」と尋ねたことがある。彼は黙って首を振った。また別の夢では「もう帰ってこないのか」と尋ねた。すると彼は「もう遠くにいるから」と答えた。この出来事があってからわたしは、彼の死が本当であると素直に受け入れられるようになった。
彼が亡くなる前から、わたしはバンド活動を続けていた。この友人は、わたしのライブに来てくれたし、それどころか地方ツアー(名古屋・兵庫・松本)に行く際の運転手まで勤めてくれた。
彼はわたしにとって自慢の大好きな友達だったから、バンドメンバーに紹介することは何一つ恥ずかしくなかった。むしろメンバーたちは、すぐに友人を受け入れ慕ってくれて、それがわたしは本当に嬉しくて幸せだった。
▼参考/友人について
友人が亡くなってからも、わたしはバンド活動を続けた。その中ではいろいろな出会いがあった。そして今度はまた、別の別れもあった。ある時を境に、大好きだった友人から距離を置かれることになったのだ。この別れも、数年受け入れることができず、たくさん考えた。ただこちらの別れについては、よくも悪くも、この状況と気持ちをこのまま捨て置くしかないという、ひとまずの結論が出た。今でもこのことについて、考えないことはない。しかし一方で、このことが現実世界でわたしのそばにいてくれる人たちのありがたさを、より際立たせてくれることにもなった。
わたしは友人が多いタイプの人間ではないが、成人してからできた友人が何名かいる。いずれもバンド活動を通して知り合った人ばかりだが、そんな友人の一人が、奇しくも11月29日生まれなのだ。
彼女から誕生日を聞いた時、わたしは胸がキュッとなり、同時に大層ときめいた。だいぶ親しい間柄になった頃、わたしは失礼を承知で、「この日は亡くなった大切な友人の誕生日でもあること」「亡き友人とあなた、わたしにとって大切な2人の友人の誕生日が一緒で嬉しい」と伝えた。すると彼女はとても爽やかに、「自分の誕生日を通して、大事なご友人のことを思い出してもらえるのが嬉しい」と言葉をくれたのだ。本当に素敵な人だと思った。
今日は、そんな素敵な友人の結婚式であった。実はわたしはこの日のために、夏頃から筋トレや軽い運動をしていた。彼女の格好いい友人として、格好良くスーツを着て式に参加したかったからである。約3.5ヶ月(約100日)続けた筋トレと運動は功を奏し、彼女の晴れの日を祝う一人として、恥ずかしくない姿で参加できたのではないだろうか。
いや、そんなことは重要ではない。それより、何より、結婚式は本当に最高であった。挙式ではしゃくり上げるタイプの涙が出て、冒頭からバチバチに号泣した。新婦こと友人の姿が本当に素敵で「すごい」「本当にすごい」以外の語彙が出ず、ひたすらハンカチをビシャビシャにした。
披露宴も大変良かった。新郎も同じくバンド活動を通して出会った友人なのだけど、披露宴のさまざまな催しを見て、2人の歴史や人柄を改めて知ることができ、なんて素敵な夫婦なんだろうと込み上げる場面ばかりであった。友人のことが、そしてこの夫婦のことが大好きだなぁと思った。
2024年の11月29日と11月30日。
この2日間は、わたしにとって大変印象深い日となった。2人の友人に幸あれ!本当に本当におめでとう!
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