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束の間旅行

本日、昼寝をしていたら夢を見た。
舞台は外国。どうやらわたしは、ホームステイでもしているらしい。一日家に篭りきりなんて嫌だ!と家を抜け出したわたしは、一人でショッピングに出る。

しかし、その道のりは過酷。まず駅までの道のりはとんでもない坂道。いろは坂みたいなうねりを伴った地形に加え、道は未舗装。歩くたびに砂埃が上がり、さらに道の端にガードレールもないから、万一転げたら崖道から真っ逆さまだ。後ろから車が来たときなんか、慌てて道の端に体を寄せ、危うく落ちかけた。

この不安定な坂道を時間をかけて下っていく。途中何度もスマホでGoogleマップを確認した。どうやら道は間違っていないらしい。
そうしてやっとのことで、そのうねった坂道を下り終えると、突然舗装された道が現れる。いつの間にか民家も立ち並び、真っ直ぐ正面には駅舎らしき建物も。嬉しくなったわたしはスキップをしながら、その一本道を進んでいく。体が軽く、飛び上がった時の滞空時間が現実より長い。こういうのは夢の世界特有のムーヴだ。

こうして駅舎に着いたわたしは、どうやってどの電車に乗るか、看板を見ながら考える。だけど結局、近くにいた外国人男性に助けてもらい、電車を相席することに。
なぜ相席なのか。それはその世界の電車が、遊園地にある「空中ブランコ」方式であったからだ。やや心もとないシートに腰掛け、鎖に捕まり、足がブラブラした状態で回転してゆく、あの乗り物だ。わたしはその外国人男性の隣に座らせてもらったが、彼が大変大柄であったため、シートから少しはみ出る形となった。乗車中、高速回転するその乗り物は、バランス悪く座っているわたしにとっては恐怖もの。振り落とされないよう必死に鎖につかまる。なお、わたしたちの前に座っている、外国人男性の娘である小学生くらいの女の子は、大変楽しそうな様子だった。

乗車を終え、シートから降りると目的の駅に着いていた。わたしは、助けてくれて相席までさせてくれた外国人男性に一生懸命お礼を言う。が、最近の小学生に語学レベルが負けてしまうのでは、というくらい英語が喋れないのでしどろもどろ。相手も少し困った様子だ。
それでもなんとか、助けられたことのお礼、また自分は今頑張って英語を勉強中である、ということを伝えようとする。しかし、わたしの自信のない声が小さすぎて、トークが最後まで相手に伝わらず、「まあ気にするなよ!またな!」といったことを言われて会話が終了してしまう。少しだけ傷つく。

それから、駅の近くにあるショッピングビルへ入館。エッシャーの階段(「上昇と下降」)のような不思議な作りの建物で、正直少し訪問しづらい作り。しかも階段が急角度なので、バランスを崩さぬよう注意しながら登る。そこでまずは本屋を、それからブティックを見学。するとブティック店の店員からマスクをするよう注意される。そういえば、ここが外国だからか、わたしをはじめ多くの人間がマスクをしていなかった。
ポケットから取り出した自前のマスクを装着すると、なぜか突然両目が開かなくなる。懸命に瞼を持ち上げようとするも、まるで糊でくっついてしまったかのように開かない。(今思えばこれは単に金縛りにあっていたからの現象で、夢を見ている時に金縛りにあうと、口が開かない、声が出ない、瞼が開かない、体が動かない…など夢の中でも体に影響が出る)

このままでは、フラフラとあらぬ方向に進んで、急な階段から転げ落ちてしまう危険もあると思い、その場にうずくまる。ああ、困った。どうしよう……と途方に暮れていたところで、目が覚めた。くっついた瞼を開けようと力んでいたせいか、昼寝をする前より体が疲れているような。

起床後、先ほどまで過ごしていたあの外国での時間に思いを馳せる。現実世界では感染症蔓延の影響により、こんなにのびのびと旅行にいけないはずだけれど、今回の夢は束の間の外国旅行を楽しんだ気がしないでもない。不思議な満足感があった。
次はどんな国へ行くのだろうか、そんなことを楽しみに今夜も寝入りたいと思う。

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