どうということのない日常
ここ数年、疑問に思っていたことがある。それは、普段の生活の中で聞こえてくる「音」についてだ。
不定期に聞こえてくるそれは、車のクラクション音。何の前触れもなく、それははじまる。短く「プッ」と鳴らされるそれ。一度鳴って終わりではない。少し間が空くと、また「プッ」とくる。法則性はあるのか、考えたが、よく分からなかった。でも、少し間をおいて、鳴って、間をおいて…それがずっと繰り返されることだけは分かった。
わたしは家で仕事をしているので、そういう音に気づいてしまうと、気になりっぱなしになってしまう。一度「車 クラクション 不定期 なぜ」とネットで検索したこともあった。が、出てきたのは暴風などによる車体揺れで、セキュリティアラームが鳴ってしまう事象についての記事だけであった。
そんな疑問が、今年に入ってやっと解消された。その短いクラクション音が発せられるのは、”工事現場”だったのだ。
年度末を迎えた現在、世の中では多くの道路・建物等で工事が行なわれている。わたしの自宅周辺もそうだった。あっちの道を工事したかと思えば、こっちの道も、だ。だから、外に出ると迂回しなければならない場面が多くなった。そんなとき「プッ」というあの音を聞いたのだ。ローラー車などの重機が移動する際、クラクションが鳴らされる。それは、周りの作業員に「車体が動くよ」という合図のために送られているようだった。その正体を知ってしまえば、なんていうことのないものだった。その音の正体が分からず、頭が狂いそうになっていた自分が、少しあほらしい。
そうして道を迂回しているうちに、近所で暮らしている何匹かの野良猫と出会った。撫でたそうにしているわたしに挨拶してくれる猫もいれば、さっさと逃げ去ってしまう猫もいる。
また、別の日には外で飼われているメダカを見つけた。イジめられているのかというくらい臆病で、水槽を覗いたらすごいスピードで逃げ惑っていた。うちのメダカは、わたしの姿を見つけると近寄ってくるし、水面に上がってくる。餌が欲しいだけなのかもしれないが。
動物って結局、信頼関係なのだろう。実家の猫はわたしのことが好きだし、わたしも猫のことが好きだから、好きのWin-Winでお互い幸せなんだなと思った。また、メダカに関しても同様だ。
外は相変わらず工事の音がするし、不定期にクラクションが鳴っている。わたしはそんななか、洗濯物を干したり、ベーコンと卵を炒っただけの昼ごはんを食べたり、メダカに餌をあげたり、買い物に行く途中で出会った野良猫に逃げられたりしている。
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