マンガデザインで日本を描く(11/47)・広島県
どうもどうも、吉良です。
マンガデザインで日本を描く特集、今回は「広島県」について取り上げていきます。これまで「沖縄県①」「沖縄県②」「新潟県」「石川県」「富山県」「京都府①」「青森県」「福井県」「秋田県」「福島県」「長崎県」についてお話ししていますのでこちらも是非お楽しみください。
まずは広島県の僕の経験記と旅行記を紹介します。
「ヒロシマは悲しみにあふれていますね」
広島での講演の冒頭、司会者から質問された時、僕はこのようにお答えしました。
広島に初めて訪れたのは企業からの講演依頼を受けた時でした。この講演は当初午前中の予定だったのですが、僕が「どうしても午後にしていただきたい。広島で講演をするにあたり、事前に原爆ドームや広島平和記念資料館を見ずに講演することは、広島の皆様に大変失礼なので、午前中に見学してから講演会場に向かわせていただきたい」とお伝えしたところ快諾していただきました。それが冒頭のくだりになります。
平和に対する想いは、父からの教えもあり、『沖縄本土復帰50年企画「未来へ」❶想いを伝えるプロデュース』に詳しく書いてありますので是非ご覧ください。
さて、なぜ冒頭のような「ヒロシマは悲しみにあふれていますね」という発言をしたかについてお話しします。平和に対する想いは自身の行動につながります。僕は国内外を含めて訪れた地域の歴史、特に戦争の歴史にはできる限り触れ、戦没者への慰霊をしてから観光するようにしています。
海外ではハワイ・ホノルルの真珠湾アリゾナ記念館、グアム島の南太平洋戦没者慰霊公苑、サイパン島の中部太平洋戦没者の碑、シンガポールの市民戦没者記念碑等。
国内では沖縄県・摩文仁の平和祈念資料館。鹿児島県・知覧町の特攻平和会館等で平和の大切さと戦没者への慰霊をしてきました。
広島平和記念資料館には沖縄や知覧の資料館とまったく違う大きな違和感がありました。
「遺書がない」
沖縄の平和祈念資料館にも、知覧の特攻平和会館にも、死への覚悟を語る遺書の展示が見るものの悲しみを誘っていました。しかし、広島の平和記念資料館には少なくとも死の覚悟とも言える遺書がなかったと記憶しています。
それは、まさにその時1945年8月6日午前8時15分。
人類史上初めて、広島に原子爆弾が投下されました。
その標的は軍事、民間、大人、子供を問わず広島そのものだったわけです。それもほとんど予期せずに、遺書すら書くこともできず、仮に遺書が準備されていたとしても高熱によりあとかたもなく人の命とともに焼けてしまったと思うと、死の準備ができているほうが少しだけ救いがあると感じたのを覚えています。
これ以降も何度か仕事で広島を訪ねました。お好み焼き、おこぜ料理、あなごめし、牡蠣等、美味しいものを食べた思い出もたくさんあります。原子爆弾を乗り越え、復興した広島にはいつも特別な想いを持って向き合っています。
広島県の特徴も見ていきましょう。
広島県は県庁所在地が広島市、県土面積は8480平方キロメートルで、全国第11位の広さです。瀬戸内海に面しており、1年を通して降水量が少ない気候が特徴です。瀬戸内工業地域の中心地でもあります。
人口約282万人(日本で12位)、牡蠣やレモン、お好み焼きなど食べ物の日本一が多いことが特徴です。世界一長いバウムクーヘン作りに挑戦し、ギネス世界記録に認定されたこともあります。
広島県の地方新聞は中国新聞、西広島タイムス、テレビ局は広島テレビ、中国放送、テレビ新広島、広島ホームテレビです。
有名な観光地・特産品は原爆ドーム、平和記念公園、広島平和記念資料館、嚴島神社、大和ミュージアム、瀬戸内しまなみ海道、広島城、江田島、お好み焼き、もみじまんじゅう、尾道プリン、尾道ラーメン、くりーむぱん、牡蠣、レモン等です。
大阪芸術大学の学生が描いた「広島県」を見ていきましょう。
【製作意図】
世羅高原でおこなわれる結婚式をイメージして描きました。
【吉良式視点】
広島の世羅高校は毎年年末に京都で実施される全国高等学校駅伝大会の強豪校なので、「世羅」という名前は知っていましたが、世羅高原は初めて知りました。世羅高原農場のお花が綺麗なところが見たいです。春はさくら祭りとチューリップ祭。夏はひまわりまつり。秋はダリアとガーデンマム祭が開催されます。そこでのウェディング、夢に溢れて素敵です。幸せいっぱいの姿としぐさが美しい良い作品です。
【製作意図】
広島のお好み焼きと牡蠣、厳島神社といった名物、名所をそれぞれ見せるように配置し、広島の食べ物を美味しそうに見るレモン色の女の子を描いて明るい雰囲気を表現しました。
【吉良式視点】
「広島といえば」という問いに第一次想起される「お好み焼き」「牡蠣」「宮島の厳島神社」をとても楽しそうにマンガデザインしています。タイトル、空、海の青に光と影を加えて幻想的な空気感をクリエイトしています。完成度の高いポスターですね。
【製作意図】
中国地方と聞いて1番に思いついた広島県の宮島を描きました。普通の風景っぽく描くのではなく、少し紫を強くして幻想的な雰囲気を出してみました。
【吉良式視点】
瀬戸内海を代表する日本三景のひとつ「宮島」。
確かに紫色を強くすることにより幻想的な効果が出ています。神社の赤色が浮き立つ日本画のようなマンガデザイン。新しい方向性を示唆してもらったみたいでうれしいです。まだ行ったことのない宮島に行ってみたくなりました。
【製作意図】
光明の塔は、十二天の「日光」が放つ光(希望)という意味があるそうです。この意味と造形から、手を合わせたくなる感じがしました。
【吉良式視点】
「未来心の丘」があるのは広島県尾道市。瀬戸内海に浮かぶ生口島で、しまなみ海道にある島で、最近の観光スポットだそうです。僕は行った事がないですが、尾道といえば2020年に亡くなられた大林宣彦監督の尾道を舞台にした三部作「転校生」「時をかける少女」「さびしんぼう」で有名ですね。この作品を見て「時をかける少女」のヒロインを思ったのは僕だけでしょうか。素敵な作品です。
次回は「愛媛県」を紹介します。お楽しみに!