見出し画像

ついつい買ってしまいそうになるSNS上の「Amazon広告」アプローチ

App illustrations by Storyset

こんにちは!mctの小幡です。
 
2025年になって、はや二週間!この調子でいくと、あっという間に春になっていそうです。春どころか「もう一年が終わりますねえ」などと言っているかもしれません!
 
そんなこんなで、2025年最初の更新となる【勝手に分析!Good CX】は、Amazonアプリの行き届いた配慮(したたかな思惑)についての分析、パート2です。
パート1:スムーズに買えてしまう「Amazonアプリ」のアプローチ


パーソナライズされた「偶然の出会い」?

ちょっと時間ができた時、何気なくスマホでSNSを眺めていると、フィード上に現れるAmazon広告。以前から気になっていた商品や「こんなのあるんや!」と目を引く商品との偶然の出会いに、つい時間を忘れてしまうことがあります。
 
面白いのは、これらの広告で表示される商品が必ずしも「欲しいもの」や「欲しかったもの」ではなく、絶妙に「欲しそうなもの」だということ。私の閲覧履歴や購入履歴をもとにパーソナライズされたレコメンドなので当たり前と言えば当たり前なのですが、何気なく歩いていたら突然現れた「お祭りのおもちゃの屋台」のような感覚で、ついつい覗かずにはいられなくなるんです。
 
ちなみに、「欲しいもの/欲しかったもの」に関しては、カートに入れたままの商品を数日後、もしくは、忘れた頃にリマインドメールやスマホの通知センターから知らせてくれますよね。「タイムセールになりました」など、ちょっとしたきっかけを添えて送ってくるしたたかさは、さすがAmazonと思わせます。


アプリへの移動、アプリ内の機能⇒したたか

数年前まで、SNSアプリの広告からは(アプリを入れていても)Amazonアプリではなくブラウザにリンクされていた記憶なのですが、いまやディープリンクで直接アプリが開きます。

ディープリンク:ウェブサイトやSNSなどのアプリから、
任意のアプリの特定ページやコンテンツに直接遷移するリンクのこと

 
こういった導線も地味にしたたかですよね。「とりあえずカートに入れとくか」という気軽な一歩から、カートが膨らんでいく......。気づけば私のカートが、欲しそうなもので溢れんばかりになることもしばしばです。

そんな場面で、最近使うようになった便利な機能があります。カートに入れた商品の左横にある「チェックボックス」です。デフォルトではオンになっていますが、これをオフにすることで、その商品をカート内にキープしながら、他の商品だけを先に購入することができるんです。

特に何の説明もなく、あらかじめチェックされているだけなので意識することもなかったこの機能、ここ数年で追加されたような気がするのですが(もしかしたら昔からあったのかもしれませんが)、カートの中の商品を「あとで買う」に移動させることなく、必要な商品だけをスムーズに購入できる優れもの(したたかもの)です。

チェックボックスは一括でオフにもできるようでした(いま発見)


とはいえ、カートの中身が増える一方なので、結局は「あとで買う」機能のお世話になります。昔々、馴染みの実店舗で「この商品、取り置きお願いできますか?」とお願いしていたような機能だと思っています。ただ、意を決して取り置きをお願いするのではなく「気軽に」できてしまうのが恐ろしいのですけども......。
 
そんな「あとで買う」エリアに入れられる商品数は600個という上限が設定されていて、それを超えると登録時期が古い商品から自動的に削除される仕組みのようです。本来なら、削除される古い登録商品を確認してから、要/不要を判断したいところ。ですが実際は「ま、いっか」とあきらめて「あとで買う」に新しい商品を移動させてしまうことがほとんどなので、まあ、結果オーライです。(600個ギリギリまで「あとで買う」に入れている方はあまりいないかもしれませんね(笑))
 

「手間」と「遊び心」の絶妙なバランス

前述のように、最近はもっぱらSNSから直接Amazonアプリに遷移することがほとんどですが、表示される広告がAmazon「以外」の広告の場合、SNSアプリ内でブラウザが立ち上がって広告が表示されることもあります。購入する時は、ブラウザ上のAmazonサイトに移動させるというケースです(書籍の広告などに多い印象です)。
 
この場合、ブラウザ上のAmazonサイトにログインしていないことが稀にあるため、その状態のカートに商品を入れたとしても、「自分のカート」には保存されないという現象が起こることがあります。そのためログインが必要になるわけですが、一見、面倒に思えるこのひと手間な工程にも、粋な出会いが隠されています。それは「手を振るAmazonのアカウントアイコンくん」です。ログインした瞬間に、なんと、手を振ってくれるのです。
 
このアイコンくん、パソコンやタブレットのブラウザ版では手を振ってくれないので、スマホのブラウザ専用の演出(おそらく)で、ログインの度に期待してしまう「遊び心」と言えます。(ちなみに、今回この記事を書くにあたってスクリーンショットを撮ったのですが、間違って消してしまいました......。すぐにログインしなおしてみましたが、(おそらくキャッシュの関係で)お目にかかれず......。この「レア感」も、実は計算されたものなのかもしれません)

意外にかわいいので、皆さんもお暇な時にお試しあれ。



Amazonのアプローチを見ていると、効率的なショッピング体験の提供は当然として、その過程に「発見」や「便利さ」、「遊び心」といった要素を散りばめることで、単なる「購買」を超えた体験を創出しているように思えます。デジタルならではの利便性と、人間らしい感情に訴えかける仕掛け。その絶妙なバランスこそが、Amazonの目指すカスタマーエクスペリエンスの真髄なのかもしれませんね。
 
 
以上、個人的な体験をCX視点で勝手に分析してみました。
 
今回改めて思ったのは、知らず知らずではなく、自ら期待しながらAmazon信者としての高みを目指しているのかもしれないということでした(笑)。
やっぱりジェフ・ベゾス、恐るべし!ですね。
 
(執筆者:エクスペリエンスデザイナー 小幡 友)
私たちが所属する会社はこちら →株式会社mct