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火事場の馬鹿力

この度、私が新たにお仕えすることになったボス。

私の仕事の仕方とは、全く逆です。

私の場合、ある事実が判明した時点で、すぐに仕事に取り掛かります。

例え、締め切りが随分先であったとしてもです。

余裕を持って仕事を進めることで、イレギュラーな事態にも冷静に対応することが出来ます。

私の書類箱には、3か月先に提出予定の書類まで準備してあります。

一方、私のボス。とても、楽観的です。

口癖は、「何とかなる!」。

それを聞いて、嫌な予感がする私(笑)。

前任者からの引継の日程も、たったの2日しか用意しませんでした。

初めて行う仕事にも関わらず、ロクに教えてもらえなかった訳ですから、時間は通常の倍以上を要します。

しかも、こんな時に限ってクライアントさんが、なかなか仕事に必要なデータを送って来ませんでした。

当然、締め切りに間に合いません。

さらに、私は今現在、別の職場の仕事も掛け持ちしています。

「あ~、どうしよう!」さすがに、のんきなボスも焦り始めます。

ところが・・・。

本気スイッチONになったボスは、私のやりかけの仕事を取り上げて、凄い勢いで仕上げてしまったのでした・・・。

まさに、「火事場の馬鹿力で仕事をする男」(笑)。

しかし、間違いだらけでしたが・・・。

しばらく、イライラオーラを放ちながら、ミスの修正と格闘した後、ようやくクライアントさんからOKを貰う事が出来たボス。

私の所にやって来て、こう言いました。

「花甘露さん、『お疲れ様💖』と言って、言って!」

「!?」(なんですと?)

つい、私がボスに放った言葉は、「(言葉に)飢えているんですか?」なのでした(笑)。

まあ、キャバクラなどでそう言って貰うには、それなりの対価が必要ですしね・・・。

なんか、呆れながらも「お疲れ様でした!」と言ってあげる私。

それを聞いて、満足げに去っていくボス。

今度のボスも、大変奇妙な人なのでした・・・(笑)。


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