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母のカット

父は、結婚してから1度も理髪店に行ったことがありません。

父の散髪は母の仕事です。

母が初めて父の散髪をすることになった日のことです。

とりあえず家の近くのお店に出向いて、散髪セットを購入。

お店のおばさんは、親切にもカットの仕方を教えてくれたそうです。

家に帰った母。早速、習った通り父の髪をカットをしてみました。

それを見た母方のばあちゃんは、たいそう驚いたそうです。

なんと、お店のおばさんは母が子供の髪をカットするものと勘違いしていたのでした。奇妙な髪型になってしまった父。しかも、母は大変不器用な人間です。

得体の知れない髪型になってしまった父でしたが、次の日、何事もなかったように仕事に出かけて行ったそうです。

それを見て、心を痛めたばあちゃん。

「あんたのお父さん、可哀想やったわ・・・」

「職場の人になんも言われんかったんかなぁ・・・」

大丈夫です! 父は、そんなこと一切気にしません。

それから20年以上経っても、母の散髪の腕が一向に上がりません。

それを見て、またしても深いため息を付くばあちゃんでした(笑)。



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