滑稽ながらも…

私の父。

言葉少なに、微妙に人を導きます(笑)。

導かれている本人は、その事に、ちっとも気が付いていません。

目の前の相手に、多くを喋らせる父。

一見、たわいもない様な相づちを入れて、相手を乗せて行きます。

そして、いつの間にか、自分のペースに巻き込んでしまう父。

理不尽な事を言って騒いでいる人がいると、父が呼ばれます。

どこで身に付けたかは謎の実力を行使して、変人を平和な世界へ連れて行きます。

ある日、変人のうちの1人が、父に言いました。

「ウソつき!」

(なんか、気が付いたのか?)

ちなみに、父は、ウソなどつきません。

意地悪な人の意志を、ちょっとまともなものに変えさせてしまっただけ(笑)。

父が発する言葉は、実にシンプル。

「あっ!」

「そうね!」

「こっち!」

意志決定をするのは、あくまでも相手の方だ。

父を嘘つき呼ばわりした男性。

彼、父の上司。

妙に父に懐いてしまい、「今日は、どうして私の前に姿を現さなかったんだ!」などと発言する様に…。

怖いもの知らずの父は、彼に言い放ちました。

「私、あなたのこと、キライですから!」

その言葉を聞いた上司は、苦笑い。

以後も、父と上司の関係は、滑稽ながらも良好なままなのでした(笑)。


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