余力がもたらす恩恵
昨年、父の兄(叔父)が上京して来ました。
叔父は、長年社長をやっていたのですが、業務量を減らした途端、急に鬱病に…。
それまで、がむしゃらに全力疾走して来ました。
いわゆる、燃え尽き症候群というやつです。
病状はかなり重く、しばらくの間、入退院を繰り返していました。
父の姉(叔母)達によると、「随分、痩せ細って別人の様になったと!」とのことで、父も大変心配していました。
私も父と一緒に叔父に会ったのですが、病状はかなり回復している様で、ほっとしました。
この叔父、父とは性格が真逆。
叔父は自分が頑張る故、周りの人達にもそれを強要して来る様なところがあります。
不器用な叔父は、それを補うため、取り付かれた様に頑張ってしまうのでした。
一方、父は、とても器用。
頑張らなくても、サラっと、それなりのモノを手に入れてしまう、強運の持ち主でもあります(笑)。
他人に何かを期待したり、強要することは全くありません。
父親(祖父)に愛されたのは、叔父の方。
親の愛情を獲得する為の努力も、惜しみませんでした。
比べて、父は、いつも自然体。
特に、誰かから好かれようと努力したりもしません。
それなのに、色んな人から勝手に愛されてしまう運命。
必死に努力して、何かを手に入れて来た叔父と父は、まるで好対照。
叔父は、父のことを「怠け者!」と思っていた様なフシがあり、しばらくの間、この兄弟間には、ちょっとした距離がありました。
病気を経て、何か心境の変化でもあったのでしょうか?
叔父の方から、父に会いたいと言って来たのは、これが初めて。
父の方は、叔父に対して、特に何とも思っていなかったので、和やかな対面となりました。
頑張るその姿勢は素晴らしい。
でも、その過程で誰かを妬んだり、敵視したり、力んだりするのは、何か違うと私は思う。
叔父が、私に言いました。
「花甘露ちゃんのお父さんは、優しか!」
(おー、珍しく人を褒めているではないか!)
いつも、余力を残している父。
そのことも、人に対する優しさに繋がっているのでした(笑)。