お子さまキラー
父方の従兄弟達。
大人になってからも、父に会うと、「おじちゃ~ん!」と嬉しそうに寄って来ます。
兄弟の多かった父は、その子供達の面倒を見る役回りに…。
小学生にして、既に、お子さまキラーと化した父。
なんの因果か知らないけれど…。
この時の経験が、後に大いに役立つことになるのでした。
父が結婚した相手(母)。
とても、不器用。
でも、変な風に高をくっていました。
「子育てなんて楽勝やわ!」
「だって、みんなやっとるモン!」
「親に捨てられた私だって、今、生きとるんやし!」
ところが…。
母の生んだ子(私)は、簡単ではありませんでした(笑)。
母乳が出なかったことで、苦労は倍増。
粉ミルクを与えたところ、全て吐き出してしまい、パニックに陥る母。
この粉ミルクが合わなかった私は、湿疹だらけに…。
これ以後、私は自分をひっかきまくって、見るも無惨な姿に…。
夜は痒くて泣き止まず、母は、ノイローゼになってしまいます。
しかも、私は常に抱っこをしていないと、機嫌が悪かったそうな…。
不眠症で、腰痛で、精神不安定。
見かねた母の実母が、はるばるやって来て、父と2人で育児を開始。
すると、母は、お布団から出て来なくなってしまいました…。
父が、当時を振り返って言いました。
「家に、子供が2人(母と私)いるみたいやったと!」
子供の扱いに慣れていた父は、働きながらもなんとか育児をこなして行きます。
夜、泣き止まない私を地面に降ろさない様に抱っこしたまま寝ていたそうな…。
普段は非人道的な母の実父さえ、この父の姿を見て感動。
「子育てって、あんなに大変なんか…」
「ワシは、あんな事、ようやらん!」
このロクでもない祖父は、我が子をその腕に抱いたことは、1度たりともなかったのでした…。
「今頃、分かったんかいな!」
祖母が吐いて捨てる様に、そう、言ったそうです…。
やがて、物心が付いた私が懐いたのは、母ではなくて、父。
まあ、無理もありません…。
しかし、祖母は、幼い私に尋ねるのです。
「花甘露ちゃん、何でお母さんに懐かへんのか?」
その答えは、祖母自身が、一番よく知っているハズなのでした(笑)。