劇薬に愛を込めて
世の中にいる、気難しいとされている人達。
こういう人が権力の座に就くと、職場の人達は、大変な思いをします。
まず、職場が暗くなる。行きたくなくなる。モチベーションが下がる。
様々な弊害が出てきます。
こんな職場にばかり、父が投入されます(笑)。
どうやら、ひねくれた人達に正攻法が通用することは少ないようです。
父が、変人の懐に飛び込みます。
何故か、武器は、真実という名のブラックユーモア。
もちろん、周りで聞いている人達にも、楽しんでもらいます。
権力者の人達は、お世辞やおべっかに慣れています。
絶対に他の人が言わないような事を言ってのける父。
そもそも、このような人達は孤独です。近寄っていくだけでも、珍しがられるものです。ただし、彼らは変な下心を見破ることには、長けています。
ある日、「どうにもならない」とされている父の上司がエレベーターに乗っていました。この職場の最高権力者でした。
既に、この上司の懐に飛び込んでいた父。
エレベーターに乗っていた上司が父に言います。
「君も一緒に乗らないか?」
「○○さん、私、○○さんの事キライだから、一緒に乗りません!」
「次のエレベーターに乗りますから!」あっけらかんと言い放つ父。
周りの人達が、ポカンとします。
ある人が言いました。
「○○(父の名前)ちゃん、またそんな事言って・・・」あきれ顔です。
肝心の父の上司の反応は・・・?
ただただ、苦笑いをしているだけだったそうです。
その後、その上司が言いました。
「出張に行くけど、君も一緒に行かないか?」
「私が、君のカバン持ちをするから!」
「私、あなたの事キライですから。1人で行ってください!」と答えた父。
どうやら、彼も父の劇薬にやられてしまっていたのでした(笑)。
この劇薬が功を奏したのか、その後、職場は平和になったそうです。
父が、微妙にこの厄介な最高権力者を操縦していたのでした。
そんな、恐ろしい父です(笑)。
周囲の人達は、ハラハラドキドキしながら父の様子を見ているのですが、笑わずにはいられないのでした。ギリギリの線を攻め続ける父。匙加減が絶妙です。
しかし、父にはまたひとつ、悩みが増えてしまっていました(笑)。
「なんかさぁ~、また変な人に懐かれて、困ると!」
職場平和のために父が使う劇薬は、いつも不思議な副産物を生むのでした。