変人には変人をもって
世の中にいる、コントラストの強い人達。
長所と短所の落差が激しいのです。
私の大学のゼミの教授。まさに、そのようなタイプでした。
遠くで見ている分には、刺激的で楽しいのです。
怪しい輝きを周りにまき散らしながら、一定数のファンを獲得。
教授の熱を帯びた授業が、生徒を魅了します。
場の支配力も抜群です。殺意にも似た彼の輝きと、時折挟まれる自虐ネタが絶妙のバランスを保っているのでした。まさに、アメとムチ。
一度この授業を受けてしまうと、平凡な授業に耐えられなくなります(笑)。心地よい緊張感が、非日常を生み出します。
授業内容も、とても分かりやすく、申し分ありません。
ところが・・・。
一旦教壇を降りると、どうもイマイチなのです(笑)。
性格はワガママで、まるで子供のような教授。
常識人と言われている人達からすると、ありえない感じの教授。
寛容で大きな心を持つか、彼よりもっと強烈なキャラで対抗するしか、方法はありません(笑)。
このゼミのゼミ長。彼女は、後者の方でした。
ある日、彼女は居酒屋で、酒豪の教授に負けじとお酒を煽り、お手洗いに駆け込んだまま帰ってきませんでした。
私が見に行くと、和式便器の横で、気を失って倒れていました。
慌てて、教授に報告する私。教授が、お手洗いに飛んできました。
「おい、○○、しっかりしろ!」教授が呼び掛けた途端、嘔吐する彼女。
吐しゃ物まみれになりながら、女子トイレで必死に彼女を介抱する教授。
「オイ、花甘露、あたしのネクタイを外してくれ!」と教授。
ネクタイを引っ張る私。ネクタイはほどけず、首を絞めてしまいました。
「ウ~・・・」唸る教授。顔は、真っ赤でした。
結局、ゼミ長は、救急車で運ばれて行きました。てんかんの発作を起こしていたのでした。
大変な夜でした。終電を逃した生徒は、教授の家に泊まる羽目に・・・。
その後、皆の前に現れたゼミ長が、言いました。
「みんな、私のおかげで、絆が深まったよね!」「良かったよね!」
それを聞いて、ポカンとする教授。やがて、苦笑い。
不思議なことに、皆に対するねぎらいや感謝の言葉は一切、発せられなかったのでした(笑)。
いや~、長生きできますね、ゼミ長!
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