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己を知る人?

母は過酷な幼少期を過ごしたせいで、極度の人間嫌い。

結婚後は、家族以外の人とはほとんど話さない生活を送ります。

親戚の前にも滅多とお目見えしません。

そんな母の姿を見ることができた人は、超ラッキー(?)。

ある日、父と一緒に働いているおっちゃんが仲の良い人達を自分の畑に招待しました。

「スイカが沢山できたから、ご家族と一緒に取りにおいで!」

何故か、こういう時は、目が輝き始める母。

「私も行くー!」

妙な力が沸いて来るのでした(笑)。

スイカ畑に現れた父の上司。

後に、父に言いました。

「君の奥さんは、美人だな~」

これを聞いた人達。

変な執念を燃やし始め…。

何としても、母の姿を見ようと試みます。

しかし、作戦は虚しく失敗。

転勤間際、父に、「君の奥さんを見ることができなくて、残念だった…」などと言ったりするのでした。

(美人って、そんなに凄いのか?)

当時、小学生だった私。

首をひねります。

何しろ、母は、子供の私でも大変近寄りがたいオーラを放っているのです。

しかも、毎日一緒に暮らしている身としては、母は珍しくも何ともありません。

噂が噂を呼んで、希少性動物に祭り上げられた母。

私は、本人に尋ねてみました。

「お母さんは、美人なんか?」

すると…。

「そうよ!」

あっけらかんと、そう、言ってのせる母。

(あっ、そう…)

これ、潔いのか?

何だか、複雑な心境になったのでした…。


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