極端な性格の母がもたらした恩恵
私の母。
生まれてすぐに捨てられてしまったため、子供らしい時間を過ごしたことがありません。
物心付いた頃には、既に老成化。
幼稚園にも行かせてもらえなかった母。
小学校へ行って、初めて同年代の子供達を見ることに…。
「うわ~」
「キャー」
歓声をあげながら走り回る同級生らを見て、理解に苦しみます。
「あやつらは、なんて落ち着きがないんだ!」
「何が、そんなに嬉しいのか?」
心はいつも、冷めたまま。
そんな母が、子供を生んでみたところ…。
「どうせ、この子(私)も大人になるんやさかい…」
「無駄なことは、省いて育てよう!」
世間の常識(?)からは逸脱した方法で子育てを開始。
とは言っても、育児ノイローゼになって、ほとんどお布団の上にいた母。
育児は、母の実母と父が中心になって行われることに…。
それでも、たまには頑張って母親らしいことをしてみようと思った母。
「子供には、読み聞かせが大事ちゃうか?」
そう、思ったところまでは良いのですが…。
「絵本なんか、すぐに卒業するんやさかい…」
お布団から出た母が買って来たのは、岩波文庫。
文字も分からぬ幼子に向かって、ひたすらそれを読み聞かせるのでした…。
一旦、スイッチが入ると、とことん物事に没頭する母。
声が枯れるまで読み続けて、またしてもエネルギー切れ。
しかし、この努力も無駄ではなかった様で…。
私の国語の成績は、いつもトップクラスとなるのでした(笑)。