それでも、父は愛される
父親には、恵まれた。
素直に、そう、思います。
父は、ただそこに居るだけで、人を幸せにするという、不思議な魔力を持っています。
一見、母や私を野放しにしている様でいて、実は、よくよく考えてみると、要所は押さえてくるという、恐ろしい技(?)を駆使して来たりします(笑)。
気が付かない内に、父のペースに巻き込まれています。
父が、我々母子の手綱を締める為に使う言葉は、非常にシンプル(?)。
「ほれ!」「そら!」「こっち!」等。
ある日、私は、父に向かって叫びました。
「導きおじさん!」
一瞬、これに、ギョっとした表情をする父。
そして、言いました。
「お前ら(母と私)は、放っておくと、収拾がつかなくなるたい!」
「気が付かんでよかっ!」
やっぱり、確信犯でした(笑)。
全てを理解した上で、でも、なかなかそれを悟られることなく。
とぼけた顔をして、恐ろしい人です(笑)。
苦労人の父。変に洗練(?)されています。
母方の祖母が、私に言いました。
「花甘露ちゃん、あんた、不幸になるわ!」
(何ですと!?)
「可哀想やな~、あんな、エエお父さんを持って…」
「あんな人と、結婚できると思ったら、大間違いやで!」
「きっと、世の中の男の人達に幻滅するわ!」
これを聞いた母は、超激怒(笑)。
「あの婆さん(母の実母)は、勝手に人が不幸になるとか、可哀想とか決めつけてからに!」
「それに、女は結婚せなアカンと思っとるやろ~」
「頭、古いねん!」
「アンタ、男にぶら下がって生きて行ったらアカンねんで!」
「自分の生活費位、自分で稼げなな~」
母自身は、父と結婚したことについては、大変満足しています(笑)。
「私は、幸せやわ!」
特に、人に過剰なサービスをする訳でもない父。
ただ、淡々とそこに居るだけの父。
影が薄い様で、薄くない。
その魅力は、未だ謎のままなのでした(笑)。