「酒さ」をアーユルヴェーダで考えた結果
「インドの伝統医学・アーユルヴェーダ」の理論を用いて、人間の本質を分析し、私の考える仮説を元に、今の状況や自分の能力の活かし方を提案しているのが、「おSENTOロックショウ」シーズン2。
毎週水曜日21時から、YouTubeチャンネルとFacebookライブで生配信している。
そして配信後に、noteでその振り返りをテキストでまとめているのがこれ。
今回のゲストは、姿勢改善セラピストのミサさん。
気になる問題としてあげられたのが、3年前ぐらいから始まった「酒さ(しゅさ)」と言う症状。
その他にも、小さい不調が割合あるようだ。
果たして、その原因は何なのか。
※この記事では、アーユルヴェーダの健康のあり方をベースにお話ししています。そのベースは動画の冒頭で10分程度で説明しているので、アーユルヴェーダをご存じない方は、ぜひ動画の最初を少しだけ見てからお読みください。
ミサさんの気になる症状を分析
第一に、3年ほど前から発症している「酒さ(しゅさ)」。
よく皮膚が赤くなる「赤ら顔」などとも言われるが、私も詳しく知らず、今回、概要を調べてみた。
酒さは、持続性の皮膚の病気で、通常は顔面の中央部に発赤と小さな吹き出物が現れ、皮膚の下の血管がはっきりと見えるようになります。
・原因は不明です。
・典型的な症状として、頬と鼻に生じる発赤、細い血管が見える、ときに小さな吹き出物などがあります。
・診断は、発疹の典型的な外観と最初に症状が現れたときの年齢に基づいて下されます。
・特定の食品、アルコール、熱い飲みもの、日光、極端な気温、風、化粧品を避けることで、酒さの悪化を予防できる場合があります。
MSDマニュアル家庭版より
顔に出るという目立つ症状なのに、原因は不明とのこと。きっと困ってる人もいると多いだろう。
そして、酒さ以外で今、ミサさんが気になっている症状が
・頭痛
・目の激痛
・目やに
などなど。これから見れば、アーユルヴェーダ的な仮説はすぐ出てきた。
火のエネルギーの増悪でしかない
いくつかのサイトで「酒さ」の症状を見比べた結果、この症状に関係しているエネルギーは「ほぼ火」だと感じた。
・皮膚に出る
・赤い
・血液
このワードは、火のエネルギーに関わるポイント。
さらに、症状を悪化させるものに「アルコール、熱い飲み物、日光」があり、火を増悪させるものが割合多い。
そこで、火のエネルギーの増悪によって「酒さ」が発生したと仮定して、様々なことを見ていくことにした。
酒さの発生の原因はどこに
ミサさんは、少し前までクルーズ船で働くセラピスト。
そのために、6年前にシドニーへセラピスト留学し、3年前からクルーズ船で働くようになったという。
私は当初、このクルーズ船での勤務で、がんばろうとするがあまり火が増悪し、酒さの発症の原因になったのでは…と考えていた。
だが、話を聞いていくと、もっと問題は根深かった。
ミサさんのアンケートでは、火と水が多め。
アンケートは、常に今の状態(ここ数年範囲の感じ方)で答えられているので、これがそのまま、その人の本質であるとは言えない。
アンケート上の「火のエネルギーポイントが多い」は、
「今だけ多い=元が少なかったのに増悪してしまった」のか
「昔から多かった=もともと多くてさらに増悪した」のか、
どちらの可能性も含んでいるのだ。
どっちにしても、酒さが出ているミサさんが火のポイントが多いのは「でしょうね」ということ。
ただ、今だけ多いのか、元から多かったのか、によって、病気の治し方、治しやすさは変わると言われる。
なので、増えたものを沈静させる!のは第一段階だが、順を追ってその原因を取り除いていく過程では、元々なのか、後からなのかはキーになるところなのである。
一方、現在のミサさんの見た目は一見すると水っぽく、おだやかで落ち着いた印象を受ける。
あまり前に出ないような、控えめな感じから、水のポイントが高いのも納得!と感じていた。
そうなると、「もともと火は少ないのに増悪した」路線が濃厚か、と思われたのだが、1つ、そうでないと思われる証言があった。
親御さんから見た、幼少期のミサさんの印象である。
「わがまま、自己主張が強い、弟への嫉妬が激しい」と書かれていた。
これには、火の人の激しさを感じる。
そして学校でも、リーダーとして選ばれれば、しっかりまとめ役をやるタイプだったとのこと。
さらに、クルーズ船のセラピストになるために、海外へ行き、学び、実際になった。
それってなかなかの熱量。
人をまとめてるリーダータイプ、人と違うことを好む、目的のために一心に努力をする、そういった性質は火のタイプに見られる傾向。
ミサさんの中には元から、そういう火の熱さ、強さはあったと思われる。
しかし、(ここからは仮説になるが)ミサさんは自分の中の火の強さを前に出さない、あるいは出せない、でいたのではないだろうか。
水の自分がブレーキをかけるのか、環境的に優等生をやらざるを得なかったのか、ともかく自分の中の火の感情を押し殺して、見ないで、使わないできたような感じをうけたのである。
つまり、ミサさんの火のエネルギーは、もともとあったのに使われなかったことで、ずっと体の中でくすぶってしまい、炎症を引き起こし、クルーズ船での勤務をきっかけに「酒さ」として出てきたのでは、と言うのが私の仮説である。
自分のエネルギーを上手く使わないことの弊害
人間、自分の気持ちや感情を消化できないでいると病気になる。
それは、皆さんなんとなく分かっていると思う。
アーユルヴェーダ的には、そこはこう説明される。
「病気の原因はアーマ(未消化物)」と言う話は良くしているが、実はこの「消化」は食べ物の消化や代謝だけではない。
気持ちや心、感情の「消化」も同じく、未消化で残ってしまえば「アーマ」になるのである。
実際、会話でも「まだ気持ちが消化しきれない」みたいに言うわけで、これはまさにその通り。
そして気持ちのアーマも当然、病気の原因になるので、消化しなければならない。
そのためには、正しい行いをし、自分を知り、肉体を整え、心の扱い方を学ぶ努力を怠らず、宇宙や人間の法則、哲学を理解する必要がある。
それによって感情の扱い方、自分の癖や思い込みを手放す方法を知る。
肉体の状態が良くなることでメンタルも改善する。
余談だが、こんな風にメンタル的な部分を整える修行が、本来のヨーガなのである。
実は、ミサさんは20代、30代と卵巣や子宮の病気の傾向があったそうだ。
アーユルヴェーダの理論では、生殖器官は肉体の構成要素の中で、一番最後に作られる場所。
そこに良くないものが発生する、と言うのは、かなり自分に無理をしていたり、外に出せないものをため込んでしまっているイメージがある。
これは、自分自身も17年間のテレビ業界での仕事で、10センチ以上ある子宮筋腫を作ってしまった私の主観と感覚からくる、適当な想像でしかないが、我慢してがんばって、吐き出さずにきたオリのような澱みは、自分の肉体の一番深いところで溜まってしまう感じがするのである。
そんなところからも、ミサさんが自分の感情や気持ちをどこか押し込めている姿を感じてしまった。
今、増悪しているものを沈静させること
もうすでに症状して気になるところがある場合、元のエネルギーのバランスがうんぬんよりも、目立つ症状を沈静させていくのが良い。
酒さは顔に出るものだから、メンタルにもくる。
これが改善することで、多くのものに良い影響がでるだろう。
つまり、「火のエネルギーを沈静させる」こと。
残念ながら、私が勉強してきた中で「酒さ」と言うものにピッタリ該当する病気については記憶がない。
ましてや、数千年前の書籍に現代特有の病気のようなものは、もともと書かれていないものも多い。
だが、それでもその症状がどのエネルギーから来ているのか仮説が立てられれば、対応策があるのがアーユルヴェーダのすごさ。
今回は「火のエネルギーの問題」、そして「皮膚と目の問題」として考えてみた。
そこで、ミサさんに提案したのは、「ギーを塗ること」と「ギーを食べること」。
もう、火にはギー。こんなにシンプルで明確な処方はない!と言うものがあるので、まずは基本を試してみては、と話した。
そして、効果がなければやめればいいだけのこと。
また、別の「火のエネルギー」対策を試せばいいのだから。
その人の肉体の状態も、病気の状態も、人それぞれ。
同じ処方が同じように効かなくて当たり前なのである。
自分の状態を鑑みながら仮説を立てて検証しながら改善していくように取り組むのが最善だと思う。
1週間後の連絡
ミサさんから、ふいに来た連絡に、私自身も「おお!」と驚き笑みがこぼれた。
どうやら、仮説は大まかには間違ってなかったようである。
今後、火のエネルギー対策をしばらく続けていく必要はありそう。
火のエネルギーは「ピッタ」と言うので、「アーユルヴェーダ ピッタ」で検索すれば、たくさんの対処法が出てくると思う。
ただ、この酒さが収まったら、また違う問題が出てくる可能性もある。
悪化していた火のエネルギーが沈静されることで変化したバランスから、また違う症状が目立ってきたりもするからだ。
こうして、一つ一つのエネルギーを沈静させて、バランスしていくのがアーユルヴェーダの調整法。一つ直って全部が良くなるわけじゃないよね。
そして、ミサさん自身は、肉体だけでなく心のアーマにも意識を向けて、自分らしい心の持ち方、使い方を見直してみる時期なのではと感じる。
ちょうどセラピストとして、また新しい出発を迎える時でもあるようなので、自分自身も生まれ変わる時なのかも知れない。
こんな感じのカウンセリングはこちらから
アーユルヴェーダの創作スイーツを作っています