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“商社発のユニコーン企業”を射程圏内とする無限のポテンシャル

フューチャー・プルの発想で、三菱商事からのスピンオフを決断

—— もともと三菱商事を事業母体にしていたとのことですが、どのようなきっかけで法人化されたのでしょうか?

当社事業の歴史自体は古く、遡れば1999年に三菱商事内の一プロジェクトとして業界特化型のSaaSに着目した企画が立ち上がったことに始まります。

その後、「グリーンサイト」というプロダクトは、ありがたいことに今日に至るまで大手ゼネコンをはじめとした多くの企業様に導入していただき、国内シェア50%超の業界標準サービス(*)として当社事業を牽引する形で順調に伸び続けています。

しかし、将来に向けた非線形な成長曲線を描いていくためにも、多様な人財を結集しながら「市場の急速な変化」や「クライアントニーズ」により柔軟かつスピーディーに対応していく体制に自ら変化することの必要性を感じるようになりました。

また、建設業界にとどまらずバーティカルSaaSを主軸とした業界横断的な今後の事業展開を見据えた際に、サービスプロバイダーとして社会に自ら向き合い主体的かつ柔軟な意思決定をしていくべきだと考え、2015年に三菱商事からスピンオフして現在に至ります。

(*)「ConTechクラウドソリューション市場の実態と展望 2021年度版」
https://mic-r.co.jp/mr/02040/
出典:デロイト トーマツ ミック経済研究所株式会社

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—— 事業領域として建設業界に着目したのはなぜですか?

それはひとえに、建設業界自体が抱える社会課題を見過ごせないからです。

建設業界は、非常に労働集約的な産業である一方、若手の人材不足が表面化し、高齢の技能者が2025年度までに100万人規模で離職する「大量離職時代」がやってくるという警鐘も鳴らされており、『担い手不足』が深刻な課題となっているのが現状です。

ただ、建設業界は年間60兆円を超える投資が行われ、499万人の方が就業される巨大産業であり、皆さんのお住まいや職場のオフィスビルといった建造物はもちろん、道路や橋、トンネルといった社会インフラはこの産業に携わる方々に支えられています。

皆さんも海外に旅行するとすぐに気付くと思いますが、日本のインフラ、建造物の質の高さは群を抜いていますし、このような生活環境が皆さんの”Quality of Life”の底上げに繋がっていることは間違いないと思っています。一方で、このまま『担い手不足』が進むと、そんな日本のインフラ環境を維持できなくなってしまう。そんな危機感が業界全体に漂っています。もちろん、なかには「もう抗えない」と割り切っている人もいるでしょう。

でも、世界的に見ても高水準な日本のインフラ、建造物の恩恵を享受している身としては、なんとかしてこの状況を打破したい。

そこで我々が提供しているプロダクトが課題解決の糸口になると考えています。

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DXで建設業界の匠を仕組みに変えていく

—— 現在はどのような事業を手掛けられているのでしょうか?

当社は、建設業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を実現するべく、「建設サイト・シリーズ」という建設業向けのクラウドサービスを提供しています。

建設現場を立ち上げるためには、例えば、どの元請からどの協力会社に発注され、誰がどのような役割で関わるのかを現場単位で管理する必要があります。
「建設サイト・シリーズ」の基幹プロダクト「グリーンサイト」は、登録済の膨大なマスタデータを武器に、グリーンファイルと呼ばれる労務安全書類の正確かつスピーディな作成と労務安全視点での管理業務を劇的に効率化するクラウドサービスです。

例えるなら、建設業界のMust Haveソリューションになります。

直近で、スーパーゼネコンから準大手・中堅・地場など300社を超える元請企業に採用いただき、2021年5月末時点で登録企業数が600,000社以上、登録作業員数が1,600,000人以上、20,000現場以上でご利用いただいている施工管理領域の建設業界最大のクラウドサービスです。

国交省が発表する日本国内の技能労働者は約330万人とされているため、登録作業員数ベースでみても圧倒的なカバレッジを誇っています。

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業界特化型のSaaSでここまでグロースしているサービスはなかなか稀有だと思いますが、コロナ禍におけるリモート化やペーパレス化の加速もあり、その成長は鈍化することなく今現在も順調に利用者数が増加し、業績を伸ばしています。

また、当社はいわゆる営業会社のように、営業マンがそれぞれに目標予算を持つような新規開拓を全くしていません。全てインバウンドでグロースし続けていることも、いかにマーケットに求められているかを象徴しているかと思います。

—— ものすごい数字ですね。「建設サイト・シリーズ」全体としては、今後どういった事業展開をお考えなのでしょうか?

「グリーンサイト」に蓄積された膨大な企業・ヒトのデータやID、そして顧客基盤が当社の事業アセットであり、それをテコに施工領域全体をカバーするプラットフォーム化を推進していきたいと考えています。

具体的には、建設現場が立ち上がる“前”のドキュメント管理をスコープとした「グリーンサイト」に対して、建設現場が立ち上がった“後”をスコープとしたプロダクトを開発し、2020年から相次ぎ市場に投入しています。

例えば、建設現場では日々元請会社と協力会社が作業予定や安全巡視事項等を共有する作業間連絡調整会議を実施していますが、その業務プロセスや関連帳票をデジタル化する「ワークサイト」や優良技能者の就労実績を収集・集計する「スキルマップサイト」、賃金の支払報告書が簡単に作成できる「ペイレポサイト」など、元請会社・協力会社双方の間接的な管理工数を大幅に削減するためのプロダクトなどがそれにあたります。

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私は普段から「匠を仕組みに変えていく」と言っているのですが、建設業界ってすごく属人的なんです。一人ひとりの技能者の高い能力によって成り立っていると言っても過言ではない。

それはすごく素晴らしいことなのですが、技能者が足りない状況では可能なかぎり属人的な構造から脱して仕組化・効率化を図らなければいけません。我々の提供するプロダクトという「仕組み」の上で、将来の建設現場を良い方向に変えたい。そして、技能者の皆さんが本来の「匠」技を大いに発揮していただくような環境にしたいと思ってます。

これは前述した高水準のインフラ・建造物の維持、ひいては皆さんの生活幸福度の向上のためにも大変重要なことで、社会貢献度が極めて高い取り組みだと思っています。現状、これまでデジタル技術の活用という観点では極めて遅れていた建設現場に、「建設テック」という旗印のもと、様々なプレイヤーがチャンスをうかがい、またベンチャーキャピタルからの資金も入ってきているという大きな潮流の変化も当社としては嬉しく思っています。そういう大きな社会変化の中で、当社はリーディングカンパニーとして、業界の先頭に立って、建設現場のデジタル化を先導していきたいですし、またその責任があると思っています。

GAFAと競合しないポジションによる、膨大な事業ポテンシャル

—— 建設業界において圧倒的な地位を築かれているように思えるのですが、その先の可能性について教えてください。

私たちのサービスは建築業界に特化していることもあり、GAFAと競合しないポジションで戦うことができます。

建設業界のDX化を通して実現したいのは、「建設サイト・シリーズ」の導入により、全ての無駄が省かれ、全ての現場課題が解決すること。それは、業界最大のソリューションを提供する我々としての責務です。

そのためにも、建設現場における業務の川上でご利用いただく「グリーンサイト」を起点とし、業務の川下までの全てのフローにおいて、これまで築き上げた顧客基盤・データを軸に、まだ押さえられていない領域への着手・PMF(プロダクトマーケットフィット)を進めていく必要があります。

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—— その他、具体的にはどのようなことを考えていらっしゃるのでしょうか?

例えば、当社の業務システムでお預かりした建設現場における入退場履歴などのデータは、就業履歴の管理につなげることが可能です。例えば、それをペイロールに活用できれば、e-wallet経由でさまざまな金融領域のサービス転換をしていくことも考えられますし、それによりユーザーの消費の起点を押さえることもできるようになります。

Uberが2019年に金融サービスの「Uber Money」をリリースしましたが、考えとしては近しいかもしれません。

また、当社は建設作業員を、”一従業員”ではなく”一消費者”として認識して新たなビジネスを創り出すこともできると考えています。そこから、新たにB2Cビジネスへの着手もあり得ますし、膨大なデータ活用による事業展開も見据えることができます。

それ以外にも業界特化型SaaSの立ち上げノウハウを活かし、他業界への横展もあり得るかもしれません。

おかげさまでこれまで業績は順調に伸びていて、それはすごく幸せなことなのですが、まだまだ無限のポテンシャルがあると考えています。

—— 無限のポテンシャルの中から「次の成功」を導くためのKSF(キーサクセスファクター)は何だと捉えていますか?

1本目のサービスが一定の成功を収めているからこそ当社が存在しているわけですが、だからといって、2本目、3本目の事業が成功できるかと言えば、それは別の話。2本目、3本目、それぞれに相当なチャレンジが必要になってきます。でも、それを自ら乗り越えていけば人も組織も強くなり、ナレッジも溜まっていくわけで、その結果、誰も見たことのない景色を見たり、もっと高い壁にチャレンジできるようになると思ってます。

そこでネックになっているのが人財です。これから先、さらに企業が成長していくためには、人財がまだまだ足りないので、新たな仲間の存在が必要になります。

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思い切り挑戦したい人と出会いたい

—— どのような人と働きたいかというイメージはありますか?

挑戦できる人でしょうか。メンバーには「失敗してもいいから、打席に立ってフルスイングしろ」と野球に例えて話しているのですが、とにかく思い切り挑んでほしい。フルスイングして失敗して初めて分かることもたくさんあるんです。自分も社会人人生の90%くらいは失敗してますが、それで成長できたと思っています。本気でフルスイングして早く失敗に気付くことが結局のところ成長の早道なんですよ。

だから、若いメンバーには個人の定量目標を求めていないんですよ。

—— それはなぜでしょうか?

結果よりもプロセスが大切だと思うからです。成果主義にしてしまうと目の前の仕事で小さい結果を出すことだけに必死になってしまい、大局観を持った行動が出来なくなりますよね。自分で課題を見つけて、プロダクトを作って、本当に必要なものか社会に問いかけてみる。これはどんな役割・立場・年齢の人でも平等に与えられるべき社会貢献の機会ですし、目の前の成果よりも、そういったチャレンジをしてほしい。また、それによって、どうやって売上・利益を上げるかという“How”を学んでほしいと願ってますし、そのことの方が若いメンバーには売上・利益を上げることよりも大事なことだと信じているんです。

でも、こんなに偉そうに話している自分でさえ、社会課題を解決するビジネス案なんて、すぐにはほとんど思いつかないわけですから、会社での役職や立場には関係なく、社員ひとりひとりが自らの社会への接し方や価値観を大事にして、色々なアイディアを出してくれるような会社にしたいと思ってます。

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異質と異質を結ぶ橋渡しに

—— これから先、どのような会社にしていきたいですか?

10年後までにこれを実現しようという逆算の発想で事業に取り組んでいるわけではないし、これだけ変化が激しい時代だと遠い未来のことを言うことはできないのですが、いろんなものの橋渡しになれる存在にしていきたいですね。

私は「結ぶ」という言葉が好きで、当社のミッションにも入れているのですが、それぞれに価値観が違う異質な者同士をつなぐことで生まれる力ってものすごく大きいと思うんです。

—— たしかに同質の仲間たちと一緒にいるのはストレスもないし居心地はいいですが、一方で刺激がなくて変化を生みにくいですよね。

そうですね。低い山は一人でも登れますが、高い山は、ガイドや食料を運ぶ人やはしごを架けてくれる人、それから下のベースキャンプから天気の情報を伝えてくれる人達が居ないと、頂上にたどり着けませんよね。それぞれの特徴が異なっているから成し遂げられるんです。

それから顧客との関係も同じです。例えば、「匠」を大事にする人と「仕組み」を作る人。価値観は全く異なりますよね。そんな関係の中で匠の技を信じている人に一方的に仕組みの話をしたら嫌がられるのは当然じゃないですか。

それでも事業の価値をきちんと理解してもらうことで実現できる価値があるから私たちは事業に取り組んでいるし、実際に結びつけることができると喜びもひとしおです。

だから、前のめりに努力するし、そこにやりがいが生まれるんだと思います。

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—— 採用も異質と異質の出会いみたいなものですよね。これから出会う方々に対して期待の言葉はありますか?

MCデータプラスができて6年目を迎えています。

個人的に会社は設立して10年経ってようやく一人前という考えがあるので、そういう意味ではこれから入社していただく方々には、当社の未来を背負っていくポジションを担っていただきたいと考えています。

私としては自分達がこれまで培ってきたものを一度壊しても良いと思っていて、新たな気持ちで、より大きな社会貢献に向けて第二創業期をスタートさせたいと考えているので、多くの方々とご一緒できるとうれしいです。

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※本インタビュー記事に記載されている製品名、会社名は、それぞれ各社の商標または登録商標です。






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