40年間も見たいと願い続けたカルト映画をついに!「ツィゴイネルワイゼン」
編集部のお蝶さんです♪
ずっと見たかった古い映画をスクリーンで見ました。
鈴木清順監督の「ツィゴイネルワイゼン」(1980年)。
中学1年生の時の国語の女性教師が映画好きで、よく映画館に足を運んでいたようでした。
たまに国語の時間を全てつぶして、見た映画を身振り手振りで解説してくれました。
ある時、「ブッ飛びの変な映画」と興奮して話ししてくれたのが、「ツィゴイネルワイゼン」でした。オカッパ頭を振り乱し、声をからして熱弁を振るい、映画の内容を語ってくれたのです。
「ツィゴイネルワイゼン」は、筋があるようでないような、妖気に満ちた映像でたたみかけるような作品です。
「もし死んだら、俺に骨をくれ」というクズ男のワイルド原田芳雄。こんにゃくをちぎりまくる美しい大谷直子。妖艶なお口で、葬式の時もひたすら食べまくる大楠道代。いつも陰気なインテリゲンチャ藤田敏八。
これら不思議モードのメインキャストに加え、つながって歩く盲目の旅芸人3人や繰り返される切り通しの風景など奇妙な描写が続きます。
秩序と混沌、生と死、実存と幻想といった正反対と思われるものにも「間(あはひ)」があり、それがゆがんでいくような、そんな映像体験です。理解しようとせず、身をゆだねて見るしかありません。
あの時の先生は幼い私たちにこれを話していたのかと納得しました。
抽象度の高い映画は、誰かに語ろうとすると陳腐になってしまうのが常ですが、先生はそうではなかったのでしょう。先生の熱弁をきっかけに、私が見たいと40年も思い続けてきたのですから。
よく覚えていませんが、先生は中学生の私たちに、アート系の随分大人っぽい映画を紹介してくれました。「エロス」に関しても、話すのをためらいませんでした。映画好き、しかも前衛的な作品も「アリ」と思える体質になったのは、この先生のおかげかもしれません。
「ツィゴイネルワイゼン」をきっかけに、「田園に死す」(寺山修司監督、1974年)や「愛のコリーダ」(大島渚監督、1976年)など昔の日本映画をこつこつと見続けています。昭和の巨匠の感性は、アバンギャルドでカッコいいですね!
(編集部・お蝶さん)
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