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科学の盲点・インナーマッスルの自然学

科学的とは?

「科学的」とよく言われますが、「科学的」とは「再現性がある」ということです。また、「統計的に有意差がある」ということです。私たちの使っているPCやスマホは科学の恩恵の賜物ですが、この科学が全てではないというお話しです。物理的法則には科学は相性がいいかもしれませんが、身体や心理の面では、科学は当てはまらないことがあるのです。

インナーマッスルの働き

例えば、アウターマッスルとインナーマッスルの関係ですが、

「インナーマッスルはアウターマッスルのサポートとして働く」

というのが、よくある説明です。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%83%E3%82%B9%E3%83%AB

しかし、これは筋肉の緊張が強い、リラックスしていない身体による運動の場合の説明です。リラックスしていると、インナーマッスルが主導筋として働き、アウターマッスルが補助筋として働きます。つまり、本来のインナーマッスルの使い方は、世間の常識とは逆なのです。

インナーマッスルの実践

例えば、腕を肩の位置まで挙上します。その時に、挙上した反対の手は肩口のアウターマッスルである三角筋という筋肉に触れます。そして、三角筋が緊張しないようにしてみてください。

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上の画像は、1.5kgのダンベルを持って腕を挙上してますが、リラックスすると三角筋は一切緊張しません。これは大学の研究室でバイオメカニクスの専門家も交えて実験しましたが、筋電図にも筋肉の緊張は一切確認されませんでした。

放鬆(リラクセーション)

なぜ私がこのような身体の使い方をするのかというと、気功や太極拳では「放鬆」と言い、筋肉をリラックスさせて動く鍛錬をしているからです(「外柔内剛」と言ったりします)。表面の筋肉を緊張させると、相手に察知されしまうので技がかかり難くなるからです。

これはスポーツの世界でも同じですが、野球の投手のアマチュアとプロを比較した実験では、プロの投手の方がアウターマッスルを使っていない、インナーマッスルを使っていることが筋電図で明らかになっています。
※ここでのインナーマッスルとは棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋です。ちなみに、アウターマッスル・インナーマッスルは正式な解剖学用語ではありません。また、特定されたものではないので、比較的深層にある筋肉をインナーマッスルと呼んでいます。

生命進化からの観点

進化を見ても、先にインナーマッスルが存在し、後からアウターマッスルができたため、インナーマッスルを主導筋とするのが自然であると考えられます。こうした自然からの観点を私の師である故・今井集士は「自然学」と言ってました。自然の摂理を原理としますので、自然原理と言ってもいいと思います。

恐らく、人間は大脳新皮質が発達しているため、表層にあるアウターマッスルが過緊張するのではないかと考えられます。そのためアウターマッスルを主導筋として使う人が殆どであるため、「インナーマッスルはアウターマッスルをサポートする」という考え方が、科学的な考え方になるのだと思われます。ここには鍛錬という概念が入っていないため、単なる統計的な有意差によって説明されてしまっています。ここが科学的手法の盲点と言えるのです。

再現性の問題

普通の人の身体や運動を統計化するので、このような間違った説明になってしまうのです。例えば、メッシやイチローなど、スポーツ選手でも超一流クラスの動きを法則化すれば、異次元の運動学が創れるのかもしれません。しかし、再現できるかどうかはわかりません。そして、それは個性化しているかもしれませんので、その人の資質も関係しているかもしれないのです。

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