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【行動経済学/MBA】⑥ 群衆心理/不正の心理

こんにちは、白山鳩です! クルッポゥ!

マガジン『能ある鳩はMBA②  ビジネススキルで豆鉄砲』での、ビジネススキルにまつわる情報の紹介です。


前回の記事はこちらです。↓↓↓


今回の記事では、行動経済学における「群衆行動」という概念を見ていきます。

1つの記事あたり、だいたい5分で読めますので、お気軽にスクロールしてみてください!


なお、全て無料で読めますが、

「良い記事だったなあ」

と思っていただけるようでしたら、記事代をもらえると励みになります!


群衆行動(ハーディング)

群衆行動とは、

多数の人が同じ行動をする現象

のことで、ハーディングとも呼びます。


行列があるとつい並びたくなってしまう」心理や、

よくわからないけどみんながこう言っているし、同調しとこうか

という心理ですね。


なかでも、ソロモン・アッシュの同調実験は有名です。


大量の被験者が集められた実験室で、

「3つの違う長さの棒」

が描かれた絵を全員に見せ、どれが一番長いかを答えさせます。


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Wikipedia「アッシュの同調実験」より


しかし実はこの実験室、

「ここにいる人間、1人を除いて全員が仕掛け人」

という「世界まる見え」状態


仕掛け人たち全員が、

「Cが一番長い!」

と口々に言うので、

ターゲットは「あれ……?」と思いながらも……

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つい、

「私も……Cが一番長いと思います」

と同調してしまうという結果が出るのでした。


群衆心理の3つの特徴

さて、群衆心理の3つの特徴を記載しておきます。


①一体感

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みんなで同じ場所にいることで、群衆の中で一体感が生まれます。


②無名

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人間は本来1人ひとりに名前がありますが、

群衆となってしまうと途端に個人の名前は失われます。


③無責任

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群衆は無名であるがゆえに責任をとる必要がありません。


一体感もあいまって、無責任な行動をとりがちです。



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自分の無責任性は、怒られるまでなかなか気づけません。


群衆行動のメリットとデメリット

人間の悲しい心理の表れであるこの群衆行動ですが、

実は、ちゃんとメリットもあります。


「多数の人たちと同じ行動をとる」という戦略は、

一般的には安全で、

コストもかけずにそこそこの成果を得ることができるからです。


しかし、群衆が必ずしも賢いとは限りません


また、群衆心理を悪用しようとする人がいれば、

多数の人々が間違った方向へ誘導されてしまう危険もあります。


「サクラに騙されて、美味しくもないレストランの料理を食べてしまう」

ぐらいで済めばいいですが、

「あの株、みんなが買っているから、自分も買おう」

と割高な株を買って損失を被ってしまう人もいるでしょう。


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それでも人間はほかの人の行動は正しいはずだと信じずにはいられません。

それを「ソーシャル・プルーフ」と呼びます。


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たとえば、通販番組では、

いまから30分以内にお電話ください!
オペレーターを増強してお待ちしています!

という引きで終わることがよくあります。


アナタはまっさきに電話をかけますが、

しかし、電話はなかなかつながりません。


そんなとき、自動音声で

電話がつながらないときは、おかけなおしください

と流れると、

みんな電話をかけるほど人気なのか!

と思ってしまい、さらに電話をしてしまう。

これが、ソーシャル・プルーフです。


自己ハーディング

一度群衆に交じって自分がとった行動は、やがて自分の中で、

これが自分のスタンダードの行動だ!

と、強化されていきます。


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このように、過去の行動を大まかな指針として、

似たような行動パターンを取ることを

「自己ハーディング」

と呼びます。


人間には、「変化のしやすさ」と「不変性」を併せ持つ不思議さがあります。

社会的影響を受けやすく、無意識のうちに流行を追い他人をまねる一方、

一度意思を固めると、違う考え方を取り入れるのは難しい、

という二面性があるわけですね。


群集行動と不正

自分が所属する組織の中で他人が「ごまかし」をしていると、

その影響は自分にも大きく関係してきます。


みんなが会社のボールペンを当たり前のように持ち帰っている会社ならば、

やがてアナタもボールペンをくすねるのに疑問を持たなくなるでしょう。


不正の防止には仕組みの構築が不可欠ですが、

一方、組織における道徳心を意識させることが、

個人に不正を自覚させるのに役立つこともあります。


例えば、

①自分は正しい集団にいると意識させる

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「自分は潔白な組織にいるんだ」と個人に自覚させることは重要です。



②道徳的規範を意識させる

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相手にガソリンをぶちまけてライターで火をつけたくなるときも……



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道徳的規範があれば、踏みとどまれます。



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しかし、道徳的規範が不十分だとうまくいかないのでご注意ください。


まとめ

【群衆行動(ハーディング)】
多数の人が同じ行動をする現象

※ソロモン・アッシュの同調実験
「3つの違う長さの棒」が描かれた絵を全員に見せ、
どれが一番長いかを答えさせるとき、
周りがサクラだと、自分だけ、違う答えは言いづらい。
【群衆心理の3つの特徴】
①一体感
②無名
③無責任
【群衆行動のメリットとデメリット】
○メリット
・安全で、コストもかけずにそこそこの成果を得られる

○デメリット
・群衆が必ずしも賢いとは限らない
・群衆心理を悪用されると、間違った方向へ誘導されてしまう

※「ソーシャル・プルーフ」
・大量の人の行動により、ある現象や行動が正しいものだと信じてしまう
【自己ハーディング】
一度群衆に交じって自分がとった行動が、やがて自分の中で、スタンダードとして強化されていく
【群集行動と不正】
自分が所属する組織の中で他人が「ごまかし」をしていると、
自分の倫理観に影響が出る

※不正の防止
①自分は正しい集団にいると意識させる
②道徳的規範を意識させる


次回の記事で、行動経済学の話は終わりにしようと思います。


これまでシステム1を巡るさまざまなバイアスやへの影響を見てきました。

次回では、このシステム1の作用をどのようにして和らげるかについて、

いくつかの事例で見ていきます。


お楽しみに。

to be continued...


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