「車椅子インフルエンサーとイオンシネマ」① ~伝え方~
イオンシネマ利用の車椅子インフルエンサーのかたへの対応について、
イオンエンターテイメント株式会社が「不適切な対応だった」という謝罪文を発表されました。
ネットニュースのコメント欄やSNSでも様々な意見が飛び交い、
プチ炎上の様相…
私はその場にいたわけではないので
車椅子インフルエンサーのかたのXを拝見して得た
少ない情報のみを元に考えてみた。
劇場の造り以外で、もし改善する必要があるとするなら
対応そのものではなく
「伝え方」
なのかなと感じました。
あくまでも
劇場スタッフの発したことば(言い方)が
ニュアンス(彼女のうけとりかたじゃなく)ではなく
一言一句、当事者のかたがXに綴っていらっしゃるとおりなのであれば
という前提ですが。
「この劇場はご覧の通り段差があって危なくて、お手伝いできるスタッフもそこまで時間があるわけではないので、今後はこの劇場以外で観てもらえるとお互いいい気分でいられると思うのですがいいでしょうか。」
この言い方が、顧客心理でいうところの
「歓迎されたい心理」「自分がかわいい心理」
を悪いほうに刺激してしまったのでは、と感じました。
これを、例えば次のような言い方にかえてみたらいかがでしょう。
(※棒読み厳禁!心のこもった声のトーンと表情必須)
「お客様、いつも当館をご利用くださりありがとうございます。
本日もお楽しみいただけたようでよかったです!
今日はひとつご相談があります。
この位置のお席を気に入っていただいているようでしたら
もしよろしければ次回お越しになるときは
ぜひ電話 もしくはメールでも結構ですので
事前にご連絡いただけたらうれしいです。
ご覧のようにこちらのお席までは段差も多く、
もし仮に力のないスタッフがお手伝いをした場合
お客様にお怪我をさせたり
大切な車椅子を落として破損させてしまう心配もあります。
こちらの事情でたいへん申し訳ないのですが
スタッフのシフト状況によっては安全にお手伝いできる人員が確保できない場合もあり、
また到着のお時間によっては他のお客様の入場と重なってしまい
スムーズなご案内ができない可能性もあります。
もし、こちらでどうしても適切な対応が難しいという場合には、
体制の整えられるお日にちや近隣エリアの映画館のご案内など
できる限りのご提案をさせていただきます。
せっかくお越しいただくのですから、きもちよくお過ごしいただきたいと思っております。
私達もできるかぎりがんばりますので、ご協力お願いできないでしょうか…」
まあ、長いですよ。
そして、「ここまでへりくだる必要ある!?」と
お怒りのかたのためにショートバージョンもつくってみました。
「いつもご利用くださり、ありがとうございます!
また次回もお待ちしてますね♡
ただ、こちらの事情でほんとうに申し訳ないのですが
最近人手不足で力持ちのスタッフがいない日もあるんです…。
力のないスタッフが無理してお手伝いして
お客様にお怪我をさせたり
車椅子を落として壊したりしたらたいへんなので、
次からは前もってご連絡いただけたらありがたいのですが
いかがでしょうか…。
もしかしたらお手伝いが難しい日もあるかもしれませんが、
そのときはお客様のご都合なども伺いながら
一緒に私たちにできることを探していきたいです!
よろしくお願いします」
いかがですか?
言いたいこと、伝えたい内容の核は
・段差があって危ない
(お客様にとってもスタッフにとっても車椅子にとっても)
・人手が足りない
・おたがい気持ちよくいたい
三つとも同じです。
今回の劇場スタッフさんは
「伝えたいこと」よりもご自身の「感情」のほうが
強く出てしまったことがマイナスにはたらいたように思います。
おそらく伝えた場所(タイミング)も含め。
「お客様に安全で楽しい時間をすごしてもらうため」という思いが
(まずはこのきもちを持っていただけたらうれしい)
伝わるような言い方を意識すること。
「指示・命令」ではなく、「お願い」のスタンスで。
他のお客様の前ではなく、落ち着いて話せる場所で。
一方的にではなく、相手の意向や考えもききつつ進めていたら
もしかしたら企業として謝罪文を出すまでの事態になることは
回避できたのでは…と思います。
劇場側のかたも
おそらくこれまでできるかぎりの対応を
心をこめてなさっていたうえでのこととお察しします。
だからこそ、
最後までプロとしての「伝え方」で対応していただきたかった。
それが、たとえば「理不尽な要求」からご自身の身を護ることにも
なるのです。
そして、
車椅子インフルエンサーのかたも
きっともっと取るべき方法や伝え方はあったと思う。
どちらかが、ではなく
どちらも
相手に対する思いやりが
足りなかったのでは…と感じました。 (②につづく)
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