「アガルタ日本神話編前期のあらまし」について
こんばんは、パゴパゴです。昨日オニギリィーヌさんのnote記事、「爬の国考察」を読んで色々とぶったまげる事がありました。
爬の国編が進んでる! 新スケッチも出てる!!
確認できた範囲でも以下の三つのスケッチが追加されていました。
・月読
・ツクヨミボーイ
・天照大神
いつもの公式公認非公式Webサイトにはまだアップされてなかったので画像は引っ張って来られませんでしたが、とりあえず妻に公式Twitter(現X)を見せてもらってテキストだけ引用させて頂きます。
●月読
出ました、三貴子の最後の一柱。古事記では月読命。日本書紀では「次に月の神を生みまつります。一書に云はく、月弓尊、月夜見尊、月読尊といふ」とある月の神。オオヒルメノムチとスサノオが出てきた時点で、この流れでいけばもしや……と期待していましたが、まさかのベタ人魚くんちゃんと同じ「おにぃぇちゃん」枠での登場には驚きました。しかも更に驚くべき事に、月読はあの大魔王黒蟒とつながりがありました。
ところでこれ文字通りに解釈して良いんですよね……? 月読が思いを寄せていた相手はうわばみではなく黒蟒の方って理解で合ってますよね……?
合ってました(白目)
カニ人のスケッチでは上半身を黒い布でぐるぐる巻きにした六臂四刀の禍々しい姿で描かれています。「未熟児で生まれた」とありますがそんな雰囲気は微塵もありません。しかしそこは次のスケッチを見れば納得がいきました。
●ツクヨミボーイ
びっくりです。幼少期のツクヨミボーイの「高貴な渦太郎」みたいな雰囲気も好きですが、以前の考察記事で私は、いくつかの理由を挙げて黒蟒を幻術で精神崩壊に追い込み封印した犯人はヤマカガシ人爬ちゃん(=オオヒルメノムチ=卑弥呼)ではないかと推測していました。
しかし実際はどうやら全く違ったようです。犯人は地上からアガルタに帰還した当時のテナズチ・アシナズチ夫婦と彼女らに手を貸した月読であり、動機はテナズチたちは相変わらずの国盗り、月読は失恋からの筋違いな恨みというか、「先に好きだったのは自分なのに」共通の敵だったはずのうわばみに黒蟒を掻っ攫われた事による精神的なショックが原因だったようです。
いやホントだよ。まさかこんなぶっ飛んだ理由で封印されているとは予想だにしていませんでした。誰か黒蟒くんに救いの手を……。しかしテナズチも地上でオオヒルメノムチを嵌めるのに失敗したのに全然懲りてませんね。未だに再起を図っているらしいので死ぬまで国盗りを諦める事はないのでしょう。その諦めの悪い戦国武将みたいなバイタリティは一体どこから来るんだ……。
そして約4日前、カニ人から衝撃のツイートが。
日本神話編のあまりに複雑な人物相関とストーリー展開にファンの中でも混乱が生じている事を察し、なんと設定資料の一部が開陳される事態となりました。私の記憶している限りこんな事は初めてだと思いますが、それはさておき肝心の資料の情報量の多さに度肝を抜かれました。
一読した途端に全身の毛穴がブワァァァァァッッと開くこの感覚が伝わりますでしょうか。これで大雑把だと言うのですから、実際にはどれほど精緻な設定を構築しているのでしょう。カニ人ワールドの底無しっぷりが思ったよりヤバそうで笑いが止まりません。読者に提示する情報の取捨選択が巧みすぎますね。
全部まとめるとそれだけで専用の冊子が出来てしまいそうなので、個人的に気になった部分だけを抽出・考察してみます。
●イザナギ
祖竜・鬼竜種の「天津族」の頂点。
イザナミの夫。
「二柱大神」の一柱。
ヒルコ・アワシマ・カグツチ・オオヒルメノムチ・ツクヨミ・クニツカミスサノオの実父。
妻イザナミが第3子カグツチを産んだ後に死亡、それにより精神に異常をきたす。
ヒルコ・アワシマ・カグツチの三姉妹(いずれも未熟児)を捨てる。
「御神輿」という死者蘇生術(邪術)を開発し妻を蘇らせるがゾンビ状態になる。
ゾンビ状態の妻と子を作る(?)
オオヒルメノムチ・ツクヨミ・クニツカミスサノオの三姉弟が生まれる。
イザナギは三姉弟を虐待する。特にツクヨミへの虐待が最も苛烈。
オオヒルメノムチ・クニツカミスサノオが家出する。
置き去りにされたツクヨミも二人の後を追って家出する。
特異な能力を持つ。
全種族特攻持ち。
絶大な力で中生代ワールドと原住民「人恐竜族」を支配。
同じ祖竜種である荒脛巾一族(テナズチ・アシナズチ等)を従える。
【考察】
いやいやいやいや、色々と気になる点が多すぎるって!!!!!
まず鬼竜種は祖竜の一種なのか。さらに鬼竜種の中にも複数のグループがいて、その中の一つである天津族の頂点がイザナギ・イザナミ夫妻ですよと……なるほど。
テナズチ・アシナズチ夫妻が属する「荒脛巾」とやらは資料上ではイザナギたちと同じ天津族の括りになっていますが、これはどう捉えたら良いんでしょうね? 祖竜-鬼竜種-天津族までは共通していて、天津族の下にも複数集団がいてその中に荒脛巾族がいるのか。それとも鬼竜種までは共通で天津族と荒脛巾族は別の一族なのか、あるいはそもそも祖竜から派生した時点で全く別個の種族なのか。
つまり、
①祖竜-鬼竜種-天津族-荒脛巾族
②祖竜-鬼竜種-天津族
-荒脛巾族
③祖竜-鬼竜種-天津族
-●竜種-荒脛巾族
この内のどれなのだろうという事です。個人的には③ではないかと思っています。理由はそもそもテナズチ・アシナズチ夫妻は鬼竜種の「異常な力」を手に入れようと研究してきたという設定があるからです。
もしテナズチたち自身も鬼竜種ならそんな事をする必要はありません。普通に自分の能力を使えば良いだけです。よって祖竜という点だけ共通で派生したのが荒脛巾族だと考えています。
もう一つ気になるのは同資料に書かれている次の文章です。
人鬼族・鬼竜族・鬼がどこまで派生した段階でのグループなのかは分かりませんが、個人的にはこの派生先に「陸竜種」も入っていて欲しい。そうすれば前にカニ人がアロワナ人魚ちゃん関連で発言していた「淡水人魚族の祖=鬼竜種」、「アラクネ=陸竜種=淡水人魚族の祖」から導かれる「鬼竜種=陸竜種」という推論が正しい事が証明されるからです。
ところで鬼竜種と鬼竜族は別個の概念なのでしょうか? 名前はそっくりですが。そこも気になります。
イザナギが発狂したタイミングについては、妻が死んだ直後なのかそれとも邪術「御神輿」で妻を蘇らせた後なのか、資料内に二種類の記述が存在しているため現時点ではどちらかに確定はできません。個人的には妻が死んだ直後なのではと思っています。だからこそ未熟児の三忌子を捨て、ゾンビ化した妻との間に子を作るという行動を選択できたのかなと。
第3子のカグツチを出産した直後にイザナミは死亡しています。記紀神話の通りならば女性器に重い火傷を負った事によって。吐瀉物を嘔吐し糞尿を垂れ流してイザナミは息絶えます。カニ人ワールドにおいてもオオヒルメノムチ・ツクヨミ・クニツカミスサノオの三貴子はカグツチより後に生まれているはずですから、論理的に考えれば三姉弟が誕生したのはイザナミの死後。つまり邪術によってゾンビ化したイザナミと夫イザナギが交わって生まれたと考えないと時系列がおかしな事になりそうです。
時系列(予想)
カグツチ出産
↓
イザナミ死亡
↓
イザナギ発狂
↓
三忌子を捨てる
↓
邪術「御神輿」の開発
↓
イザナミ(ゾンビ)蘇生
↓
イザナギとイザナミ(ゾンビ)交わる
↓
三貴子出産
↓
虐待開始
という流れなのではないでしょうか。仮に三貴子が三忌子と同時あるいは間を置かずに出産されていれば「ゾンビ化した妻と交わるイザナギ」という地獄のようなシチュエーション(私は割と好きです)は避けられますが。
あと明言はされてませんがこいつの発狂にはテナズチ・アシナズチ夫妻が絡んでいるのではないかと睨んでいます。というか絶対幻術か何かで狂わせたでしょう。後に大魔王黒蟒にやったのと同じように。
●イザナミ
祖竜・鬼竜種の「天津族」の頂点。
イザナギの妻。
「二柱大神」の一柱。
ヒルコ・アワシマ・カグツチ・オオヒルメノムチ・ツクヨミ・クニツカミスサノオの実母。
荒脛巾族を従える。
カグツチ出産後に死亡。
イザナギの開発した邪術「御神輿」により蘇生、ゾンビ化。
ゾンビ化した状態でイザナギと交わり三貴子を設ける?
イザナギと共に中生代ワールドを支配し続けるが本人はゾンビ化しているので意志はない。
【考察】
火神カグツチを産んだ事が原因で死亡するのは記紀神話と同じです。
それに対して夫のイザナギは慟哭します。
しかしその後の展開が記紀とカニ人ワールドとでは異なります。記紀ではイザナギが黄泉国を訪れて妻を連れ戻そうとしますが、「見るなの禁」を破ったために失敗。これに対してカニ人ワールドでは精神異常に陥ったイザナギが御神輿(おみこし)という邪術を開発して妻を蘇らせようと試みますが、傀儡(ゾンビ)状態での蘇生となります。
●ヒルコ・アワシマ・カグツチ
祖竜・鬼竜種の「天津族」の長、イザナギ・イザナミの第1子〜第3子。
三忌子。
いずれも女の子で未熟児として生まれたため、「失敗作」と呼ばれ赤子のまま捨てられる。
その後は父親の恐怖に怯えながら新生代ワールドで人恐竜族から身を隠して生きている。
実際は強いが自己肯定感が低すぎて自身を弱いと思っている。
【考察】
ヒルコは古事記では水蛭子、アワシマは淡島という名前で登場します。それぞれ第1子、第2子なのも同じです。オノゴロ島(淤能碁呂島・自凝島)に降り立ったイザナギ・イザナミ夫妻がまぐわって生んだ最初の子供たちです。
記紀でもヒルコとアワシマは捨て子でした。ヒルコは生まれた直後に葦船に乗せて流されています。アワシマの捨てられ方は明言されていませんが、「是も亦、子の例には入れざりき」とあるので同じような方法で捨てられたのでしょう。
カグツチは記紀においてはヒルコ・アワシマよりもずっと後に生まれた神です。ざっと数えましたが第39子くらいになります。なのでこの三柱をセットにした「三忌子」という単語は我々における現実次元には存在せず、「三貴子」をもじったカニ人ワールド独自の造語だと思われます。
カグツチは別名火之夜芸速男神(ヒノヤギハヤヲノカミ)・火之炫毘古神(ヒノカガビコノカミ)とも呼ばれ、いずれも火が燃え盛る様から名付けられたと考えられる火神です。出産時に母神イザナミの陰部に火傷を負わせ、世界で最初の死をもたらした神でもあります。
記紀では父イザナギによって首を刎ねられて殺されるカグツチですが、カニ人ワールドでは上の姉二人と共に捨てられ、アガルタのより深部である新生代ワールドで人恐竜族に怯えながら隠棲しているとの事。
人恐竜族!!! アガルタが始まった頃から登場を待ち侘びていたカニ人ワールドの恐竜の存在がとうとう明らかにされました。「骨」モチーフというのがまた良いですね。どんな子たちが出てくるのか今から楽しみです。
人恐竜族は中生代ワールドの原住民でありイザナギ・イザナミによって支配されているとの事ですが、新生代ワールドにいる三忌子がその存在に怯えているという事はそっちにもある程度の数がいるんでしょうか? それとも何らかの理由で人恐竜族に狙われている? この辺は今後の展開で設定がさらに明らかにならないと分かりませんね。いずれにせよ三忌子のスケッチが表に出る事を祈るばかりです。カニ人が描いたカグツチは正直見てみたいですからね。
●大日孁貴
祖竜・鬼竜種の「天津族」の長であるイザナギ・イザナミ夫妻の娘(第4子?)
幼名は「天照大神」。
その後、大日孁貴→卑弥呼→ヤマカガシ人爬と複数回名を変えている。
中生代ワールド出身。
姉が三人と弟が二人おり、弟は上からツクヨミ、クニツカミスサノオという名前。
精神を病んだ父イザナギから弟たち共々虐待を受ける。
末弟スサノオに歪んだ愛情を抱いているが幼少期は自覚がなく、自分よりもスサノオに庇われるツクヨミに激しく嫉妬していた。
父の虐待に耐えかねてスサノオと一緒に他ワールドへ逃げる事を思い立つ。
父に仕えていた荒脛巾族のテナズチから地上世界の存在を教えてもらう。
スサノオと家出を実行、ツクヨミは置き去りにする。
地上世界で卑弥呼と名乗り邪馬台国を支配する。
同じく地上にやってきたテナズチ・アシナズチ夫妻を両親のように慕う。
テナズチから「やまたのおろちが国家転覆を目論んでいる」と吹き込まれる。
スサノオをやまたのおろち討伐に差し向ける。
何らかの理由でアガルタに帰還する。
陰陽師として爬の国で官職に就く。
オリジナル術である鬼道を開発し国盗りを目論む。
鬼道とは(おそらく)巨竜姿の半身を作り出し自在に使役する事。
スサノオを山奥に隠棲させ匿い、外敵を始末したり甥姪のおもちゃを求めてショッピングに明け暮れる。
鬼道の開発過程で自分を被験体にしたため体がボロボロのツギハギだらけになる。
劣化した身体の転生先として毒蛇種から卵をさらい、自身の複製を培養してマムシ人爬を作った。
孵化したマムシは肉体がとても不安定であり修復が必要。
修復しているうちに母性が芽生えてしまい乗っ取れなくなる。
人気投票パワーで生まれたスサノオの子に卑弥夫と名付ける。
【考察】
オオヒルメノムチについてもここ最近で様々な情報が明かされましたが、気になるのはやっぱり鬼道関連ですね。鬼道ではなく「秘術」と書かれているのが引っかかりますが、やはり巨竜の半身を召喚するのがそれに当たるのでしょうか。体がボロボロになってまで自ら開発した術らしいですし。自分を被験体にして肉が裂け、それを補うためにまた秘術で無理やり肉を継ぎ足してるからあんなツギハギのフランケンシュタインの怪物みたいな体になっていると。闇が深い。
・鬼竜種には「異常な力」がある。
・アシナズチが「異常な力」を元に鬼術を生み出した。
・オオヒルメノムチが鬼術を元に鬼道を生み出した。
ヒルメは鬼竜種であるイザナギ・イザナミの娘ですから彼女自身も同じ種族のはず。となれば鬼竜種の「異常な力」は普通に使えるはずですが、どうしてオリジナルの力ではなくそのコピーのコピーみたいな鬼道を開発したのでしょう? ここが一番分からないポイントです。ひょっとしてゾンビ化したイザナミから生まれた事によって三貴子からは鬼竜種の「異常な力」が失われてしまったのでしょうか? 鬼竜種とは別の種族に変わってしまったという可能性も考えられます。
「体を乗っ取るために自身を培養してマムシ人爬を作った」というのも衝撃的です。というかこの世界ってそういう事できるんですね……ほとんどNARUTOの大蛇丸です。「不屍転生の術」でしたっけ。あるいはジョジョ1部のDIO様。「肉体(ボディ)……来たか……」みたいな。そう考えると恐ろしいなこの女……でも結局情が湧いて移り変われなくなってる所が憎めないんですよね。良心を捨てきれていないというか。
この転生術も鬼道の一部なんでしょうか? 実際のところは分かりませんが、イザナギの「御神輿」といい、鬼竜種には生命や精神に関する技が目につきます。ひょっとして「異常な力」とは霊魂とかその辺りに関する能力なのではないか。死霊を操ったり他人に霊魂を移し替えたり。イザナギが支配している人恐竜族は「骨」モチーフでこれまたどことなく死を連想させます。そのうち人霊族とか出てきませんかね。とはいえ「異常な力」についてはまだ本編中で明らかになっていませんので、今後の展開を楽しみに待ちたい所です。
ヒルメはいつアガルタに帰ってきたのか。また帰ってきた理由は何なのか。そこもまだ明らかにされていません。地上では卑弥呼として邪馬台国に君臨していたはずです。なぜその地位を捨ててまで忌み嫌う父イザナギのいるアガルタに戻ってきたのか。
・地上に居られない理由ができた(敗戦・失脚・病気・ケガ等)。
・父に復讐するため。
個人的には二つ目があり得そうかなと思っています。というかイザナギは三貴子を連れ戻そうとしてるんじゃないでしょうか。
この「外敵」というのが実は中生代ワールドから来たイザナギの手下とかだったら面白いなと。スサノオを守るため、そして根本的な解決を図るために爬の国を乗っ取って古生代ワールドを征服し、いずれは中生代ワールドに攻め込んでイザナギを亡き者にするのが目的なのではないかと思っています。
長くなってきたのでひとまずこの辺で。続きはまたいずれ書きたいと思います。
それではまた。
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