見出し画像

花火大会が楽しみ

花火大会、今年は開催されそうね。去年から復活してたところも多いのか。まあなんにせようれしい。

常に不要不急の外出を控えている意識の高い私(つまりただのインドア)だけど、花火大会は好きだ。夜ならまあ涼しいとまでは言えないが日中のような殺人的な日差しもないし。夏は夜、と枕草子で清先輩も言ってたもんな。

コロナ前まではよく会場近くの友人宅に車をとめて、そこから友人家族と一緒に花火を見に行っていた。75分間で1万4000発の花火があがる「江戸川花火大会」である。昔、地元で見てた花火大会は10分間で2000発とかだったような気がするから、それと比べるとすごい規模だ。

会場までバスで向かって、最寄りのバス停で降りる。屋台もたくさん出ていて、かき氷に行列ができてたりして。飲み食いするものは事前に買っておかないといけないんだよな。行列がすごいんだもの。

花火が見れる河川敷にくると人がわらーっといる。ゴジラとかの怪獣映画のエキストラくらいいる。これ、撮影しといて服とかをCGで直したら予算浮くんじゃね?とか勝手に考えたりする。

この辺で見ようか、などと言って芝生にシートを広げ腰掛ける。こどもたちがいつもと違う雰囲気に興奮しているのを眺めつつ持参したノンアルビールなんかを飲んでいると、だんだんと辺りが薄暗くなってみんなの顔が見えなくなっていく。ああ、はじまるよ。

ドーーーーーン

花火が打ちあがると歓声。江戸川花火大会は毎回オープニングの5秒で1000発を打ち上げるという演出がある。暗くなっていた空が一瞬ぶわーっと明るくなって、光の束に目を奪われる。一瞬その迫力にひるんで、でも気づいたら周りにつられて拍手をしてるこどもたち。

花火っていいもんだな。なんか花火を見ている時、血液型がAもBもOもABも、普段は相性が悪いと言われている組み合わせの人もみんな、感動を共有している。

花火にもいろんな形があるもんだ。ハート形の花火が斜めになったりしてまっすぐなハートにならないのだけどそれもまた愛嬌。手を伸ばして食べてみたらおいしそうな感じのもいくつかあったり。ミスタードーナツの5個くらい入ってる小さくて丸いやつとかに似ていたり。

途中から、どれが食べたい?なんてこどもたちと話しながら見る。緑色のやつはメロン味。紫はグレープ。黄色はレモンだな。あの濃い赤は、えーと、血?いやいやいや。血味ってなんだよ。とたんに吸血鬼みたいな発想になってるよ。

ススキみたいになったり。柳みたいになったり、なんか頭打った時みたいな、バチバチっとしたのになったり、いろいろだ。

周りは浴衣を着ている人も多く、女性はみんな艶やかな感じ。しかし浴衣ってのもいろいろだ。体格のよい女性がピンクの浴衣着てるとなんか「あたい、パッションフルーツでおます」みたいな感じでちょっと面白い。黒とかの渋めの浴衣で体の線がきゅっとしていると、ああ、これは雅なものだのう、と思ったりする。

太ったおばちゃんの浴衣姿も演歌の大御所みたいで面白い。私も心の中で司会者気分で適当な芸名を考えてみる。

ぶらり行きますみちのくの、女一人の旅路には、切ない鹿が待ち受ける。それでは歌っていただきましょう。肉山鼻絵で「せつない鹿に四の字固め」

鹿のぉ、角にぃ、手をかけてぇえ~

などと私が思うたびにゆさゆさとおばちゃんの体が揺れるので面白くなってしまう。

江戸川花火大会の花火を担当するのは宗家花火鍵屋という江戸時代から続く老舗の煙火店らしい。たまや〜かぎや〜のかけ声のあの鍵屋だ。

江戸時代もこうしてみんなで見たんだろうな。江戸の花火は今ほど色とかそんなにはなかっただろうけど、花火を見た感情はきっと今と変わらないだろうな。

花火が終わると人々はまだ、空を少し見ていて切ないようなほっとしたような、まだ少し何かあるのかな、という期待感も残しつつ、やがて諦めた顔をして「終わったね」と言うのだった。

それから感慨にふけり、出来の悪い軍隊みたいにわらわらとバス停に向かう。花火の後の縁日はどこか哀しい。もう、なんか少し冷えてしまったような感じでかつての威勢は既にない。

帰りの車で眠ってしまったこどもたちをバックミラーで見ながら、また来年も見に行きたいねえ、などと言っていた2019年の夏。

今年、4年ぶりの花火大会が楽しみだ。


スペシャルサンクス Aouekoさん

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集