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父が教えてくれた「ふれる」と「さわる」の違い
私、毎月、
茨城の施設に預かってもらってる父のところ行ってたのね
父は、たぶん緊張が強くて、
腕がクロスしちゃって固まっちゃってるから
もう拘縮もひどい状態になっていたの
だからヘルパーさんも
着替えさせるのが大変みたいで・・・
両腕が胸のところでクロスしてて
ガチって固まっちゃってるから、
その腕を引き離すことも
父にとってはものすごく痛いことみたい
それを無理矢理されて
すごくつらかったと思う
私が行くと
いつも着替えがあんまりしてもらえてなくて、
「これ、何日前のご飯粒なんだろう」
っていうのが、胸元にこびりついてるのね
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「何日も着替えさせてないんだなぁ」
っていうのがわかるような感じで・・・
私も本当それが、すごくこぅ
泣きたくなるような気持ちで・・・
施設にいるんだから
「もっと見て欲しい」みたいな
すごい そういう気持ちになったの
でも、
これは言ってもどうしようもないなって・・・
で、まずはその父の胸元で
腕がクロスしてしまうのは、
「どういう心理からなんだろう?」
と思って・・・
それって、
この緊張が長時間続くことによって、
だんだん、だんだん
拘縮が強くなって・・・
それが、
「長い時間の緊張状態を表すんだなぁ」って
私はそういう風に感じたのね
ていうことは、
「もっとこうしてくれ」って事ではなくて、
この父の緊張・心理状態に
「安心感を与えてあげるって事が大事だなぁ」
と思ったので、
とにかく、父のとこに行くと、
話しかけながら、
さりげなく肩や背中に手をおいて
治療的なそういう雰囲気ではなくてね、
こぅ、普段日常会話をするように、
あっちこっちにタッチして
そんなことをしながら帰るまでの間に、
クロスしてガチガチで全く動かなかった腕が
万歳して着替えられるまでになったの!
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そんな父の姿を見て、
施設の人はもうびっくりして!
とにかく固まってたのが、
バンザイして、
着替えをさせられるまで出来ちゃう!
っていうのにすごく驚いちゃって
触ることで
父の「不安」とか「緊張」を
「安心感」に変えられた
いい経験できたなって
で、ある時、 今まで父に
「さわって」はいたけど、「ふれて」なかったなぁって
「さわる」と「ふれる」の意味の違いを
すごくはっきり感じたのね
やっぱり
「心を添えて」
「心が伴って」
「寄り添って」
っていう状態の「ふれる」だから
そこの違いっていうのは
もう「とんでもなく大きかったんだなぁ」
っていうこと
父の介護で
「さわる」っていう事と
「ふれる」っていう事の違いを
すごい感じたの
子供が泣き出した体験で
「ふれる」って事の大切さをすごく知って
やっぱり父の介護でも、
その「さわる」って事と「ふれる」って事は
意味が違うんだってことを知ったの