本を読む人のまわり
人が本を読んでいる姿って美しいなと思います。邪魔しないようにしたいし、でもちょっと眺めていたくもなります。いい景色なのです。
本を通して想像し、言葉を増やし、心を使い、自分の内側を豊かに耕している時間。
何かに集中している姿っていいですね。
週末、仕事帰りに寄ったカフェがほぼひとり客だけで、本を読んでいる人が多かったので。
それを見てふとそう感じました。
皆、仕事が終わった後の気持ちを切り替えていくかのように、意識的に静かに過ごしている様子。そういう楽しみを日々の中で自分に用意するって素敵なことですね。
そして、いつも気に留めるほどではなくても思うことがあるのですが、本を読んでいる人のまわりの空気って、何とも言えない静けさがあるんですよね。音ではない「しーん」がある。
物理的には、その場ではスピーカーから音量の大きいジャズが流れているし、店員さんはパタパタ、スタスタと間近を歩いている。
カフェ、という時空間はザワザワと揺れている。
でも読んでいる人たちの周りは、少なくとも「いま、読んでいるんだな」という間だけは、空気が、大袈裟に言えば真空になったような、シュウっとその人の内側に向かってその場の音の響きが吸い込まれたようにみえる。
それは何かの手作業に集中している人の静けさとはまた違った質の、読書している人特有のものだなと感じています。
各々の「しーん」が点在している空間。
それをなんとなく察知しながら過ごしていると、なんだか静けさが伝播してくるようで、こちらまで落ち着いてくる。
ちょっと観察しすぎですね。迷惑がられないように気をつけます。
わたしは読書好きというほどの読書量ではないですが、読書は日に日に楽しくなりつつあります。それはあの「しーん」の中にいることができるからかもしれないなと。
感じたことをつらつらと書いてみました。
読んでいただいて、ありがとうございます。