事業継承
何年かに一度、代替わりを控えた会社の社長から、あと数年したら退くから息子との間に立って欲しいと言われます。
男同士だと意地が邪魔するみたいです。「負けたくない」が先に立ってしまう後継者の方は、うまく事業継承できません。そんな時はこう語りかけます。
そんなに今のお父様と会社をディするなら、ご自身で別の会社をゼロから立ち上げて勝負されたらどうですか?過去があったから、あなたも何不自由なく暮らすことができ、会社の人も暮らせていましたよね?
「オヤジは古い、だから自分が」とおっしゃいます。
ディすらなくてもよくないですか?過去を否定してもダメだしても、会社は変わらないので、そんなことするぐらいなら、未来へ向けて新事業だろうが、新商品だろうが、新しい改革だろうが、何かみせてください!
というと、とたんに黙ります。鼻息荒くダメ出しはできてもじゃあどうするか?は考えていないのです。
お父様は私にご依頼くださるとき、今ここで息子を追い出してもいい。だた、その踏ん切りはつかない。だから2年、問いかけ続けて欲しい。経営者とはどういうものなのか?と。結局2年経って、まったく関係ない趣味の域を超えないカテゴリーの事業を立ち上げ、ダダ赤字を漏らし、社員からの反発もあり、代替わりは延期。次期社長は血縁関係のない役員さんへ譲ることになりました。
負けたくないを、悪口で解消しても何も生みません。お父様の過去を賞賛し、さらに進化させる、引き継ぐ気持ちがないと、うまく事業継承できません。
これは別の会社の話しですが、父親なんか早く死ねばいいという方にもお会いしました。私がお伝えしたことも、逆ギレで。いつお父様が亡くなってもおかしくない年齢で、事業継承と技術継承がなされておらず、実際に亡くなってからが大変でした。何度か助けて欲しいと連絡がありましたが、お断りしました。あの時、何度この先訪れる未来へのリスクをお伝えしても理解してもらえなかった。事が起きてからではもう遅いし、本当に困ってからでは遅いのです。お父様を認めない分だけ、会社を認めていないこと。その分利益は減っていきます。
どこかの家具屋さんも、お父さんもお父さんで、いかばかりか時代錯誤だったのかもしれませんが、娘さんも娘さんでどうしてお父様を気持ち良く勇退させてあげることができなかったのかとても残念です。他人の芝生が青く見てたとしても、ニトリはニトリ。マネしても同じ利益は生みません。