『土の眠り』 ㅤ ㅤ 小さな手で掘ったあの土の中 宝物のように埋めた 小さな夢、儚い秘密 時間の波に押されて ㅤ 忘れていった ㅤ ㅤ 土はすべてを包み込む 喜びも、悲しみも、記憶も 子どもの頃の笑顔さえ ㅤ ㅤ 忘れたと思っていたのに ふと足元に触れる土の感触が 遠い記憶を呼び覚ます あのぬくもり、あの涙 ㅤ ㅤ 誰かを見送るたび この土の意味を思い出す 帰る場所がここにある ㅤ 全てが還り、新しい命を生む場所 ㅤ ㅤ 土の中で眠っている 思い出を、命を、永遠に育みながら
『希望のひとすじ』 ㅤ ㅤ 小さな窓辺に射し込む光 心の奥でそっと聞こえる 温もりの声が影に埋もれた時も その光は消えずに私を見守る ㅤㅤ 黒い夜でも目を閉じて感じる 小さな希望のひとすじの光 ひとすじ、ひとすじ 集まって 光りのすじになる ㅤ ㅤ 凍えた手でそっと掬うように 光りの道を胸に描いてみる ㅤ ㅤ 笑顔をこぼすたび光は増えて 孤独な夢が輝き出す どんな闇でも 私の中にある 強く、唯一見える光の泉 ㅤ ㅤ その光で私は進む 強く進む ㅤ
『涙に染まるデニム』 ㅤ ㅤ 洗いざらしたデニムは 硬く、冷たく、膝が痛む。 まるで、あなたを失った日のように。 ㅤ ㅤ 馴染むまでどれだけの涙を流しただろう ぬれて、柔らかくなるココロとカラダ なじむ、その硬さがわたしのカタチに ㅤ ㅤ デニムの縫い目をなぞるたび 胸のいたみを思いだして傷が深くなる ㅤ ㅤ 時間とともに、 傷も、デニムも、 柔らかく馴染んでいくのだろう まるでカタチをわたしに合わせるように。 ㅤ ㅤ そして、膝の痛みも、胸の傷みも、 すべてが一枚の布に
『清廉なる浄化の儀』 ㅤ 水の音が静かに響く 透明な滴が肌を滑る 過去の記憶を一つ一つ 洗い流すように。 ㅤ ㅤ 洗う 手の中の穢れ、心の隅の曇り、 その全てを潔癖なまでに。 ㅤ ㅤ 洗う、 優しく、繰り返し、 綺麗な光が宿るまで 一筋の影も残さずに。 ㅤ ㅤ 洗い流された心は 純白の帆のように広がり、 新しい風を待ち望む。 その瞬間、世界は輝く。 ㅤ 洗い流された ただそれだけで ㅤ
『夢の航海』 淡い夢を追い 待ち続けた海路(うみじ) 波のゆりかごで目覚める朝に あなたと出逢う 海は語りかけ 空は染まりゆく 藍よりあおく 深く蒼く 夜明け前の静けさに 太陽のオレンジが溶けこむ 小舟を漕ぎ 海の鏡に映る月をながめ 星をかぞえながら語り合い 波の音を聴きながら 一緒に笑い 時には涙する 船は進む 未知への航海に たとえ泳げなくなっても 零れ落ちる涙は真珠に 心は静かになる 海深く届く夜空の星々 夢を叶える旅は続く あなたとともに 永遠の海を越