![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/91081621/rectangle_large_type_2_5ef154d2eda5fa791688e13e52f3b9ac.jpg?width=1200)
お空の先生へ「先生のガーベラ。種をつけましたよ」
ほぼ月一で漢方薬を貰いに行っていたかかりつけの先生。
診察室では通りいっぺんの診察だけでなく先生の笑顔に元気を貰っていた私だった。
先生とのお別れを友人に伝えた時
「文子さん。部屋にお花を飾ってみてはどうかな?」
とアドバイスを貰った。
彼女もまた、お彼岸の時期にお母様を亡くし悲しみを乗り越えようとしているのだった。
そんな彼女も部屋に飾った花から、毎日癒しを得ていると言う。
私は早速真似をした。
起きてすぐ花の水を取り替えることが日課となっていた数日後…。
私は誕生日を迎えた。
その夜夫から花束を受け取った。
私が好きなピンクで統一されている。
嬉しくて花束に顔を埋めて泣いた。
その花束を私は先生のガーベラと一緒に飾った。
そして、この数週間。
この花たちはリビングで沢山のプラスのパワーを届け続けてくれた。
少しでも長持ちしますように…。
茎を少しずつ切っては花瓶にさしていたが、このところ続く暑さに勝てず、徐々に元気を無くして行った。
昨日の朝。
起きたらテーブルに何かが落ちていた。
よく見たらそれは
ガーベラから散った花弁だった。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/91083463/picture_pc_dfcc2bd951ffdb7a0fc8c6193892f54b.jpg?width=1200)
ところで私はこんなになるまでガーベラを飾った記憶が無い。
なぜならガーベラは茎が空洞でかなり弱く、花より先に茎が枯れてしまい折れ曲がってくるからだ。
だからガーベラの捨てるタイミングと言えば、いつも花がうなだれた時だった。
しかし、今回は違った。
茎は最後までピンっと真っ直ぐだった。
先生のガーベラはすっかり咲き切って種を作っていたのだった。
ふわふわの綿毛。
1枚1枚の花弁に規則正しく作られた種は命そのものだった。
それを見ながら、私を含めて先生が診察した多くの患者さんのことが頭に浮かんだ。
その一人一人の心の中には診察室で先生から貰った笑顔が刻まれているはず。
今回の訃報で、きっとその方達は涙したことだろう。
しかし、先生が患者さんに与えた笑顔は決して途絶えることなど無い。
むしろ沢山の綿毛のように患者さん一人一人から世に放たれて行くのだ。
それはまるで笑顔から笑顔のバトンタッチされるように。
あの時ガーベラを選んで良かった。
いや、ガーベラを私に選ばせたのは先生かも知れない。
僕はこの世から姿こそ消すかも知れないけれど、僕からの笑顔を繋いで行ってね。
テーブルに落ちた無数の綿毛から、私はそんな思いを受け止めた。
先生の訃報を知った日から、私は出勤時は病院のそばを通っている。
先生今日も見守ってて下さいね。
どうぞゆっくり休んで下さいね。
行ってきます。
と毎朝心の中でつぶやいている。
そうだ明日は
「先生のガーベラ、種をつけましたよ!」
って伝えてから出勤しよう。
間違いない。
命は永遠に繋がっている。
だから先生?
必要以上に悲しまなくても良いんですよね?
読んでくれてありがとう。
しあわせをありがとう。
出会えたご縁に感謝します。
いいなと思ったら応援しよう!
![文子|ふみこ](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/46937313/profile_0e0bc203cfcb1ff1ea80014cc07a38a4.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)