実在する子どもを性被害から守りたいなら、AIや漫画、アニメ、ゲーム等の創作物による、児童ポルノ(子どもへの性的虐待)表現のあり方を見直さなければならない。なぜか。創作児童ポルノには、実在する子どもへの人権侵害や犯罪につながり得る、「具体的な危険」があるためだ。(解説: 渡辺真由子/シンクタンク『メディアと人権研究所MAYUMEDIA』代表)
創作児童ポルノは果たして、実在する子どもの人権を侵害しているのだろうか。
この問題について日本では、「創作児童ポルノが人権侵害を引き起こすという科学的根拠を示せ」との声が大きい。創作物の性表現について、現実の性暴力との関連性を示す研究データは既に明らかになっているので、ここでは「現実の人権侵害事例」を見てみよう。
実は創作児童ポルノが、実在する子どもへの性犯罪に影響したとみられる事件は、枚挙にいとまがない。それらの内、2000年代以降に報道された主なものを紹介する。
創作児童ポルノが、子どもへの性犯罪に影響したとみられる事件
実在する子どもが、創作児童ポルノに使われたとされる事件
創作児童ポルノに描かれるのは、架空の子どもばかりではない。実在する子どもへの性的虐待が、創作児童ポルノに使われたとされる事件も発生している。
この事件からは創作児童ポルノが、実在する子どもへの性的虐待を「ネタ元」にすると共に、実在する子どもへの性的虐待を「誘発」していた可能性が伺える。漫画に誘発された者が新たに実在の子どもに性加害をし、その模様をネタとして新たに漫画が創られ、それを見た別の者がまた新たに実在の子どもに性加害を……と、性的虐待のループが発生していた疑いすら否めない。
最近は生成AIにおいても、画像を創作する基となるデータに、児童ポルノが使われていたことが報じられた。実在する子どもへの人権侵害や犯罪といった「具体的な危険」への懸念は、より深まりつつある。
渡辺 真由子 (twitter)
(出典:『メディアと人権ジャーナル』2023 Vol.1 No.1、p.4 /一部加筆修正)
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