渡辺真由子 公式note【ネット時代の性教育と人権~メディアの性情報が与える影響と対策~】
AI時代の創作児童ポルノ問題を考える。創作児童ポルノをめぐる理論や、科学的データ、創作児童ポルノが影響したとみられる子どもの性被害事例等の立法事実を解説する。 「子どもをどう守るか」という政策課題を分析した上で、解決のための理論的基礎を提供し、制度改革の方向性を示すもの。
現状編&対策編
「性的同意」をめぐるトラブルに、メディアの性情報が与える影響とは? メディア学者&ジャーナリストの渡辺真由子が、取材に基づきレポートしています。
創作児童ポルノ(漫画やアニメ、ゲーム等)をめぐる日本の政策は、国際社会から、どのように評価されてきたのか。子どもの性的搾取について、世界各国の政府や国連機関、NGOが対策を議論する場が、「子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議」である。ここで国際社会は日本を、創作児童ポルノを製作する主要な国として名指し、それらの違法化に踏み切っていないことを批判した。その批判は生成AI時代を迎え、さらに高まっている。(解説: 渡辺真由子/シンクタンク『メディアと人権研究所MAYUMEDIA
実在する子どもを性被害から守りたいなら、AIや漫画、アニメ、ゲーム等の創作物による、児童ポルノ(子どもへの性的虐待)表現のあり方を見直さなければならない。なぜか。創作児童ポルノには、実在する子どもへの人権侵害や犯罪につながり得る、「具体的な危険」があるためだ。(解説: 渡辺真由子/シンクタンク『メディアと人権研究所MAYUMEDIA』代表) 創作児童ポルノは果たして、実在する子どもの人権を侵害しているのだろうか。 この問題について日本では、「創作児童ポルノが人権侵害を引き起
生成AIを使って、児童ポルノ(児童の性的虐待画像)を創作する動きが広がるいま、「創作物の性表現が与える影響」について理解しておきたい。創作物の性表現は、現実の性暴力と、どのような関連性があるのだろうか。これまでに積み重ねられてきた研究による、科学的な知見を紹介する。(解説: 渡辺真由子/シンクタンク『メディアと人権研究所MAYUMEDIA』代表) 児童ポルノ禁止法をめぐり、国会は2014年の改正時、漫画やアニメ等の創作物も規制対象にするかどうかを議論した。その際に噴出したの
表現の自由は大切な私たちの権利だが、無制限ではない。憲法上の「公共の福祉」によって制限される。では、マンガやアニメ、ゲーム、あるいは画像生成AI等で、子どもへの性的虐待を娯楽として描く『創作児童ポルノ』についてはどうだろうか? 重要なのは「バランスのとれた表現基準」の策定だ。(解説: 渡辺真由子/シンクタンク『メディアと人権研究所MAYUMEDIA』代表) 「表現の自由」の重要性 マンガやアニメ、ゲーム、あるいは画像生成AI等で、子どもへの性的虐待を娯楽として描く「創作児
まもなく開催されるG7広島サミット。実は、日本だけが取り組んでいない国際人権課題があるのをご存知だろうか。 実在しない子どもを性的に表現するマンガやアニメ、ゲーム等の描写物(創作児童ポルノ)をめぐる対策である。「クールジャパン」として世界的な人気を誇る日本製コンテンツの影の部分として、改めて国際的な注目を集める可能性がある。(解説: 渡辺真由子/シンクタンク『メディアと人権研究所MAYUMEDIA』代表) ランドセルを背負った女児が車に連れ込まれ…… 小学校の教室で、男性
「18歳以下にも、ポルノ情報を出していいと思う」とA男(21)。中学1年からAV(アダルトビデオ)を見始めた。女優が玩具を使った愛撫を喜んでいたので、実際に交際相手にやってみたら嫌がられた経験がある。「子どもでも、現実にはAVを見ていることがあるわけじゃないですか。だから、ちゃんとしたエッチのやり方を教えるビデオもあった方がいい。ソフトなテクニックや避妊のハウツーとか。自分はいきなり過激なAVを見たから、それが理想みたいになってしまった」 メディアの性情報が現実のニーズに即
「初めて性的メディアに接した時期は小学5年生未満」。 こう答えた割合が男子も女子もトップだった。私が複数の大学の学生男女計141人を対象に実施した、性とメディアに関する調査結果である。 性的な内容を扱う雑誌や漫画、AV(アダルトビデオ)の氾濫に加え、近年はインターネットの普及により、青少年が性情報を目にする機会は増大している。親や学校がまともに教えてくれないぶん、メディアは「性の教科書」として重宝されている。 そうしたメディアの性情報は、青少年の性意識・性行動にどう反映さ
顔見知りの相手から、「同意のない性交渉」の被害にあったという女子学生は珍しくない。某高偏差値大学に通う19歳のサユリは、こんな体験を吐露した。 その男性は、避妊具すら着けないままに、サユリの体に接触してきたという。その後、彼を避けるように彼女は日本へ戻った。 同じ大学の女子学生リナは、「映画を見よう」と誘われて男友達の家へ遊びに行ったという。 顔見知りの相手による同意のない性交渉は、「デート・レイプ」の1つである。今回の取材で、少なくない数の女子学生がデート・レイプの被
単発でHをするのがカッコいいと思っていた頃、マサユキ(仮名・21歳)は合コンで出会った女の子を、出来るだけ家へ誘うようにしていた。 「家に呼んだらHの成功率は90%くらいですね。デートしてご飯食べて『家行く?』と誘うんです。多分『うん』と言うんだろうなという時でないと、そんな大胆なこと言わないですけど」 高い成功率を誇るマサユキだが、女性が家へ来た、というだけで舞い上がってはいけないと自分を戒めてもいる。過去の苦い体験があるからだ。大学1年のとき、合コンで出会った女の子の
「露出に、深い意味はないなー」とバッサリ斬るのはエリ(仮名、21歳)。 「好きな服を着ているだけじゃん、みたいな。ボディタッチにしても、育ちの問題だと思いますね。海外で育った友達は、男女分け隔てなく体に触りますよ。男の子も『そんなに触んないでよ、勘違いするからやめろ』と言ってますけど」 女性向けのファッション誌にも、「肩を出して色気をアピール」「遊園地デートでは彼の手をひいてドキッとさせちゃおう」といった「サインの発し方」は書かれているが、全ての女性がそれらに倣っているわ
この女性と、H出来るかどうか。いざ誘う段階になると、相手の「OKサイン」を見極めようと、男子は様々に深読みをするようだ。 マサユキは、合コンで知り合った女の子とデートするとき、まず相手の服装をチェックする。 「露出度が高い服を着ている場合は、『あ、こいつヤル気かな』という目で見ちゃいますね。こっちが欲情してその気になります。雑誌にもそう書いてあったし」 「露出=ヤレる」というメディアの情報を受け、ミニスカートや胸の開いた服に男子の期待は高まるらしい。この点について持論を
私が、東京都内の複数の大学で実施したアンケート調査によれば(出典:『性情報リテラシー』)、「性的メディア」をセックス情報の拠り所としている男子学生が約6割と、圧倒的に多い。 対して「家庭」「学校の性教育」を情報源として挙げた者はゼロだった。小学校高学年から高校にかけて行なわれる性教育は、正しい性知識を教える場とされている。だが、その内容は2次性徴や妊娠の仕組みなど、身体的・生理的な側面が中心だ。 そもそも10代でのセックスを抑制する立場から行なわれてきたので、セックスの誘
サトシ(仮名・23歳)は有名私立大学の文学部4年生。北陸出身で色白、小柄で目が細く、どことなく歌舞伎の女形を連想させる。内定先は財閥系の商社。就職活動で身につけたと思われる物腰は礼儀正しい。だから、「初体験は中3です」と言われたときは少々意外に感じた。 サトシには現在、同じ大学に交際1年半になる彼女がいるが、それまでは短期間の関係のみを繰り返してきた。その1人目となる彼女が出来たのが、地元の公立中学3年生のときだったという。 小学生の頃にエロ本、中学生になってからはAVや
素朴な小学生時代 有名私立大学の文学部4年に在籍するキョウコ(仮名・21歳)。北関東の中規模都市の出身だ。長い髪を1つに束ねて、ナチュラルメイク。太目の眉が素朴な面影を残している。卒業後は金融関連の会社に就職する予定だ。 キョウコには地元に、高3から付き合っている彼氏がいる。遠距離恋愛を続けてもう3年以上。単独の相手との交際期間としては、今回取材した学生たちのなかで最も長い。育った地域は自然が多く、野を駆け回るような小学生時代を過ごしたという。 「割とのんびりしていたので
【アンケート公開!】頻繁に接する性的メディア媒体(女子)大学生になっても、女子たちが接する性的メディアは、男子学生のそれとは大きく異なるままだ。男子が接する性的メディアは「ネットのアダルトサイト」や「AV」など、具体的でわかりやすい映像媒体に集中しているが、これらを利用する女子はほとんどいない。 逆に、男子ではゼロだった「ファッション雑誌」が、女子では約4割と突出している。ティーン誌のみならず、女子大生向けファッション雑誌も定期的に「セックス特集」を組むためだ。「彼とのエッ
2-2.過激な少女漫画 受験を経て、アユミは難関私立大学の付属中学校に通うようになった。1年生のとき、クラスの女子の間で、ある漫画がブームになった。友人からそれを借りたアユミは、初めて読んだ時のインパクトをいまも覚えている。 「超エロくて。性行為は綺麗に描かれているし、ベッドシーンもロマンチックで、それとなく匂わせるくらいの描写でした。でも内容が過激で、R18でもいい感じ」 少女向けの漫画雑誌に連載されたその作品は海外でも人気になり、アニメ化もされた。ヒロインの女子高