「スタイル良いね」を褒め言葉として受け取らないことにした話
先日、「言っていいのかな?スタイル良いね」と男性に言われた。私の職業を理解した上で気をつかって言ってくれた。
私の仕事は人の食習慣の改善の手助けをすること。目標はダイエットを手放し、自分の体型を受け入れて、自分らしい生活を導くこと。体重やカロリーは全く触れない。そう、これは私の職業病の話。
一般的には健康的な身体というとなんとなくイメージが付く。「痩せすぎ」や「太りすぎ」は健康に悪いと思われている。でも痩せる目標を手放してダイエットから解放されるには、「理想の体型」や「健康的な体型」も手放す必要がある。
今回は自分の話になってしまう。私は生まれつき痩せ体型で管理栄養士になった私は「説得力がある」とか「やっぱり栄養士だからスタイルいいね」と言われてきた。大きい人が「太いね」と言われるのと違って、痩せていると世間的に好まれたり認められているため、褒め言葉であり、嫌な気持ちにはならない。
でも、私の体型と職業は全く関係ない。しかも、私の食生活と体型もあまり関係ない。
恐らく、
栄養士をしている → 食に気を付けてる → スタイルを維持している
と思われている。
実際のところ、もともと細い&たまたま栄養士が合わさっただけ。私は運動してもしなくてもあまり体型は変わらず、自由に好きなものを食べてる。なのにプラスなイメージがある。
もし身体が大きければ、
栄養士なのに大きい → 気を付けてないのかしら → 説得力がない
になるのだろう。
もっと言えば、身体が大きいな人を見ると一般的に思われることは食べ過ぎ、運動不足、怠け者
最近ではダイバーシティ(多様性)が注目され、全ての体型を受け入れる必要がある。でもそれ以前に体型とは習慣とかならず比例してるわけではないことを理解する必要がある。
小食でも身体が大きい人もいれば大食いでも痩せている人もいる。
実は、体型にコメントすることはタブーになってきている。
「太い」= 失礼 だけではなく、「細い」とか「痩せた」も避けた方がいい。
なぜ「痩せた?」が良くないのか
前にも書いたけど、褒めているつもりでも相手は複雑な気持ちになるかもしれない。
言われた相手は一見喜んでるかもしれないし、純粋に嬉しいかもしれない。
でもこんな思考回路に陥る可能性もある
今までは太ってたのかな?
今の方が良いという事は前はどう思われていたんだろう?
この体系を維持しないと
もっと痩せたい!
本人は自分の容姿についてどう思っているのかわからない。体型にコンプレックスを抱えているかもしれない。摂食障害を患っているかもしれない。
じゃ、「スタイル良いね」はなんでダメなの?
これを言われて嫌な気持ちになる人はあまりいないかもしれない。「痩せた?」のように複雑な気持ちになる場合もあり得る。
でも私はそれで受け取らないわけではない。自分は複雑な気持ちになるわけでもないし、むしろポジティブに捉えられる。
私が「スタイル良いね」を受け取らないことにした理由は、自分のウェイトスティグマ(肥満への偏見)を見直すことと、社会問題を考えること。
細い=綺麗、健康的、望ましい体型とされている世の中を変える必要がある
ここで考える事が、もしこの体系ではなく世間的に望ましいとされない体型であったら、私は自分のことどう思うのだろうか。体型を受け入れられるのだろうか。今後体型が変化したら自己肯定感は下がるのだろうか。
自分の身体がたまたま世間的に望ましい体型で、自分でもこの体型を受け入れているから良いだけで、理想体型の価値が必要以上に高い社会に引っ張られている私がいる。
だから、個人レベルでは軽い気持ちで体型にコメントをする習慣を変える必要がある。
じゃ、何が正解?どう褒めればいいの?
そして、言われたらどう答えれば良いの?
提案として体型を褒めるより、内面を褒めてみる
容姿で褒めていけないわけじゃない。でも、性格を褒める習慣をつけてみることはいいんじゃないか。
私も体型にコメントしてしまうこともある。特に日本はまだこの文化が強くて、つい体型の話になってしまうことが多い。そこからどう脱出しようかと考えながら結局自分もその話に乗ってしまうこともあって反省する。
じゃ、「スタイル良いね」とか体型を褒めれたらどうすればいいのか?
私が先日「スタイル良いね」と言われたとき、最初は素直に受け取った。でも、その後考えた結果褒め方を変えて欲しいと話した。初めからその褒め言葉にためらいがあった人だからすぐ理解してもらえた。他の人はどう反応するのか、気になるところ。
まず自分が何を言われどう思うのかを理解する必要がある。不快に思う、複雑な気持ちになる、頑張らないとって思う場合は要注意。
褒められて素直に嬉しければそれでもいいかもしれない。ただ、これを読んでくれたら、少しでも「体型」について考えてもらえたら嬉しい。