ネガティブフィードバックで気づく!経営者の影響力
エグゼクティブコーチとして、クライアントである経営者に多視点でのフィードバックをお伝えしています。
フィードバックには、大きく分けて次の2種類があります。
どちらも、クライアントに気づきを与え、成長を促す非常に重要なフィードバックです。
しかし、私のクライアントは経営者。
その経営者に、真の価値をもたらすのは【ネガティブフィードバック】だと確信しています。
とはいえ、ネガティブフィードバックをお伝えする時は、常にエグゼクティブコーチとしての覚悟を試されているように感じます。
なぜならクライアントへのリスペクトと「絶対にコーチとして貢献する覚悟」が必要不可欠だからです。
私はエグゼクティブコーチとしてクライアントに貢献するため、この言葉を心の中で呪文のように唱え続けています。
■経営者にとって真の価値を提供するネガティブフィードバック
なぜ、ネガティブフィードバックが経営者にとって真の価値を提供することになるのか?
それは「経営者はフィードバックをもらいにくい立場にある」という一言に尽きます。
経営者は、部下に「本心を言ってもらいたい」とどれだけ願っても、その状況が100%実現するのは正直難しい。
なぜならば、経営者と従業員は雇用関係。
立場が違えば、見えている景色も、責任の重さもまったく違います。
伝えることで自分が不利になるようなことを、経営者であるあなたに積極的に伝えようとする従業員はいないでしょう。
孤独になりがちなポジションで働くのが経営者の宿命と言ってしまえばそれまでです。
でも、組織をよくしていくためには自分の影響力や言葉がどのように伝わっていくのかを、経営者は客観的に知る必要があります。
だからこそ、私は社外から経営者をサポートする身として、真摯に感じたことを伝えることが求められていると感じるのです。
そのことが、経営者であるクライアントにとって耳の痛いことであることはかなり多い・・・。
でも、その”耳の痛いこと”を知ることで会社の成長や売上につながるのなら、私はプロフェッショナルとして伝えなくてはいけない、そう強く感じています。
ネガティブフィードバックをきっかけとして、大きな気づきにつながる瞬間や行動変容が起こる瞬間を数多く目撃してきました。
ネガティブフィードバックをきっかけに自身の持つ影響力に気づいたクライアントの伊藤さん(仮名)の事例をご紹介します。
リフォーム会社を経営する伊藤さんは部下想いの熱い方。
その想いに嘘はないのですが、時に高圧的で鋭い言葉を使うことがありました。経営に真剣になるあまり、特に部下に関する話をすると厳しくなってしまう。
それを聞いているとコーチである私まで、ちょっと息苦しくなることがありました。
口癖は、「◯◯”させる”」。
何気なく使っている言葉なのですが、もし私が伊藤さんの部下なら、この言葉を聞くうちに伊藤さんの指示を待ち、受け身な姿勢で仕事をするようになってしまう気がする・・・
このことについて、私は率直にフィードバックしました。
このフィードバックのあと、長い沈黙が流れました。
伊藤さんは、自分自身が無意識に使っている言葉にも、その言葉の影響力にも気づいていませんでした。
■エグゼクティブコーチの宿命!クライアントの役に立つということ
「なぜ、お金を払ってるのに嫌なこと言われなきゃいけないんだよ!」
と感じる読者もいるかもしれません。
誤解しないで欲しいのは、私はクライアントにとって、嫌なことを言いたいわけではないということ。
たとえ、耳の痛いことだとしても受け取ってくれたら、大きな変化や成長が期待できることを、勇気をもって伝えているだけなのです。
新卒の頃や、就職して数年の若手時代のことを思い出してください。毎日、先輩や上司からシャワーのようにフィードバックを受け取っていたのではないでしょうか。
しかし、キャリアを積み、役職が上がっていくと、組織の中でフィードバックを伝えてくれる人は少なくなってきます。
だからこそ「お金を払ってでもプロのフィードバックが欲しい」が、私に依頼してくれているクライアントたちの想いなのです。
もちろん、人格否定に聞こえるようなフィードバックは論外!
ですが、エグゼクティブコーチに求められるのは経営者の成長へのコミットメントです。
「気分よくいていられる」ための関わりよりも、「目を背けたくなるような自分と組織の課題に向き合う」時間を優先すること。
さらにはその時間を共にするのがエグゼクティブコーチという存在だと心に刻んでいます。
■経営者が自身の影響力を客観視し、チューニングするためのフィードバック
もちろん、私も百戦錬磨の経営者・役職者であるクライアントに対して、最初からネガティブフィードバックを伝えられたわけではありません。
このように迷う瞬間も当然ありました。
正直に言えば、今でもどのように伝えたらいいのか、迷うこともある。
ビビることだってある。
それでも、エグゼクティブコーチングでは、クライアントが周囲の人にどのように見えているのか?
また、どのような影響力を発揮しているのかを客観視し、チューニングするためのフィードバックが求められていると感じています。
そう感じるたびに、「ネガティブフィードバックを伝えることに臆さない」という呪文を心のなかで唱え、ネガティブフィードバックを提供すべき時には、しっかりお伝えさせてもらっています。
■まとめ
ネガティブフィードバックが伝えられる土壌を作るために、信頼して話してもらえる関係作りに心を配っています。そして、どんなタイミングで、どう表現してフィードバックを伝えるかには細心の注意を払っています。
そんな想いから生まれたフィードバックを、経営者が受け取る体験をすると、受け取った経営者が部下へのフィードバックが上手く伝えられるようになっていく。
人は体験でしか学ばない生き物です。
それは経営者も一般社員も同じ。
組織にフィードバックという文化を育む、その一歩目をエグゼクティブコーチの私と、経営者のあなたで創っていけたら嬉しく思います。
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