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⑬写メシェア事件

研修講師の石原まゆこです。職場のジェネレーションギャップの生情報を紹介しております。基本スタンスは、上司の味方です。がんばれ!上司。

さて、今回はタイトルが「事件」となっております。事件は研修会場で起こりました。私がホワイトボードに張り出したワークシートが、写メで撮られクラス全員のスマホにシェアされるまで、ほんの10秒くらいだったかと思います。

社会人4年目若手社員のキャリアデザイン研修を担当させていただいたときのことでした。キャリアデザイン研修とは、これまでの経験を振り返り、現状の強みと課題を自己分析し、自分が大切にしたい価値観を言語化し、これからのキャリア(人生や仕事のプラン)をデザインするという内容です。

研修コンテンツの中に、「モチベーションラインチャート」というワークシートがあります。受講生は研修時間内に記入を進めますが、書き方のお手本として私は自分で手書き記入したチャート原本を、ホワイトボードに貼り出します。「私の記入例を前に貼っておきますね。記入の仕方が分らない人や興味のある人は、よろしければ参考に前に見に来てください」社会人歴32年分の仕事と人生の振り返りチャートです。それなりの力作です。

すると一番前の席にいた受講生がスマホでカシャ。
私「え?写メ?」
受講生「はいっ・・・・・みんな!ライングループにアップしたよ!」

あまりにもスムーズで、あまりにもスマートで、あまりにもスマイルでした。内心、「え?こわ」とは思いましたが、その瞬間はフィードバックをし損ねました。

休憩時間に入る前に、「先ほどの写メシェアについて」と私からフィードバックしたのは以下の点。
⚫「私の記入例を前に貼っておきますね。記入の仕方が分らない人や興味のある人は、よろしければ参考に前に見に来てください」という指示の内容を、自己都合、自己解釈で勝手に逸脱していると感じた
⚫手書きで作成した原本を前に貼り出したのは、配付する予定がない資料だから。写メの要望があれば、その目的を説明し許可を得てほしかった
⚫自分の人生をじっくり掘り下げ、自問自答を重ねて完成した個人情報を、皆の参考になるならと公開している。それを軽く扱われたようで悲しいし、データ化されシェアされるのは怖くも感じる。
⚫自分がこうだから、周りもみんなそうに決まってる、だからよかれと思って、は親切では無く、単なる押しつけだと思う
⚫総じて、他者の気持ちを想像し、もっと丁寧に扱える人間になってほしい

時代が変わったのだからこちらが慣れるしかないことなのか、時代によって変わることはない本質を学ぶ良い機会となるか。絶対の正解はない。本人にも悪気はない。周囲もそこまで重大な事案とは感じていない。が、見逃すことはできない。こういう場面でのフィードバックは、きめつけの説教では肚落ちしません。上記⚫を、Iメッセージで素直に伝えました。
「私は、こう感じたよ。あなたはどう思う?」

「写メシェア」に対して感じる、軽薄さ、恐さ、無礼さ等の感覚は、デジタルネイティブには極めて少ないのだろうと思います。今回はネットに公開したわけではありませんが、一度データ化した情報は完全に守秘することは難しい。写メをシェアした本人に後で話しをきいたところ、自分は記入の参考にしっかり見たいと思ったから写メした。みんなもそうだろうと思った。いちいち前に見に行くのは面倒だし、写メをシェアした。SNSにアップするつもりなどもちろんない、とのことでした。

★対策と指導案★
✓SNSやネットリテラシー教育はやはり必要。写メシェアの軽薄さ、恐さ、無礼さは、ビジネス社会においては企業リスクになることを、会社として定期的にリマインド教育なさってください。

✓ジェネレーションの異なる上司(昭和)からは、どう見えるか、どう感じるか、を情報として若手社員に伝えてください。ご参考は上記⚫。

✓伝え方としては、「Iメッセージ」と「問い」がセット。上司のコミュニケーションスキルアップです。
❌頭ごなしに決めつけ
❌共感し過ぎ
❌見逃し(見て見ぬふり)

以上です。

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