あと何回桜が見られるだろうか。
桜並木は桜の花が舞うように散っていき、道路に花びらがじゅうたんのように敷き詰められている。
車が通る度に花びら舞い上がり、まるで花びらが踊っているかのよう。
今週で桜も見納めな感じ。
早くに咲いた木は葉っぱが出てきている。
出張で来た人、普段はあまり外に出ない人もこの時期は桜並木の桜を見たいとみんな口を揃えて言っている。
そんな美しい並木道を私は毎日毎時間走っている。
運転中は写メは撮れないので記録はとれないが、記憶には鮮明に残っている。
そんな桜の時期は忙しくても道路が混んでいても贅沢な時間だ。
曇り空でも1トーン明るくなる桜並木。
今日乗ってきたおじいちゃんとその娘さん?だと思われる2人。
病院の帰りで、薬局からの配車だった。
行きはこの時期特有の桜渋滞(笑)で、タクシー代がいつもより高かったとおじいちゃん。
帰りの道は行きとは違った桜並木を通り、
2人でここの桜もキレイだね。
今週で終わりかなぁという話をしていた。
そのときに娘さんが
「桜キレイだったね。
前に来たときはまだ桜咲いてなかったけど、老人ホーム行ったら、なかなか見れないよね。
あと何回見れるかわからないよ。
ゆっくり見れてよかったね。
良い時間だったね。」と言っていた。
おじいちゃんは白内障なのか、あまり目が見えていないようだった。
それでもうっすら見える景色に、満開の桜に感動していた。
毎日当たり前に見えてる景色。その色。
来年の桜も当たり前に見えると思っている自分がいる。
あと何回桜を見れるだろう。
年をとっているとか関係なく、未来はみんな予測できないことがたくさん起こる。
来年の今頃に同じ場所にいるとは限らない。
当たり前の景色は毎日が奇跡の集まり。
おじいちゃんは、もしかしたらもうあまり長くはないのかもしれない。
娘さんはしっかりしている方なのか、
病院の先生との話。お薬の話。ジェネリックを使ってみてどうだったか。
手術の話もしていて、短い時間の中であれやこれやと話していた。
タクシーの運転手としてみたら、たくさんいるお客さんの1人にしか過ぎない。
でも私は毎日乗ってくるお客さんを通して、毎日気付かされることがたくさんある。
毎日が当たり前にあるわけではないこと。
健康で元気でいられることの奇跡。
無事に1日が終わる奇跡。
ケンカできる人がいることの奇跡。
死んだときに持っていけるものは、今世で積んだ経験だけ。
今日も私はお客さんから奇跡を学んだ。