和ハーブのいろは 6の1
食 人の身体は植物からできている
薬 健やかさを支える植物たち
色 匂い立つ生命の彩をいただく
浴 日本の宝の習慣”香温浴”
繊 紡ぎ綾なす草木の縁
粧 魅力を引き立て隠す術
礼 神を導き仏を癒し邪を払う
環 場を”整える”植物たちのちから
材 暮らしの基本は草木が造る
毒 毒と薬は”紙一重”は先人の知恵
『和ハーブ図鑑』古谷暢基・平川美鶴(著)/一般社団法人和ハーブ協会 (編集・発行). 2017/8/26. p.4-13. 「序章 和ハーブと日本人の暮らし」 より
初めまして
和ハーブの勉強を始め、noteデビューしました
『和ハーブ にほんのたからもの』(古谷暢基・平川美鶴(著)/一般社団法人和ハーブ協会 (編集). コスモの本. 2017/6/30. p.217)を軸に、整理した語彙、概念、内容を、自分用の補完情報も付加しつつ、メモ帳代わりに記録しております
どうぞ、宜しくお願い致します
📒主要テキスト
『和ハーブ にほんのたからもの』古谷暢基・平川美鶴(著)/一般社団法人和ハーブ協会 (編集). コスモの本. 2017/6/30. p.217
📒サブテキスト
『和ハーブ図鑑』古谷暢基・平川美鶴(著)/一般社団法人和ハーブ協会 (編集・発行). 2017/8/26. p.297
📒おすすめ関連図書
『8つの和ハーブ物語〜忘れられた日本の宝物〜』平川美鶴・石上七鞘(著)/古谷暢基(総合監修). 産学社. 2015.4.25. p.153
和ハーブとは
古来、日本人の生活と健康を支えてきた
日本のハーブ(有用植物)たちのこと
『和ハーブ にほんのたからもの』
カバーそで/冒頭より
🌿
すなわち、植物に触れること=日本の原点に触れること、そして和ハーブの「和」は「日本」というだけでなく、「和み、調和、人の和(輪)」の意味をも併せ持ちます。「和ハーブ」とはそうした身近な有用植物の活用にスポットを当て、現在と未来に結びつけて融合する、時代が生んだ新カルチャーです。
『和ハーブ図鑑』 おわりに p.293
~和ハーブから日本を知り、未来を分かち合う~
2017年 盛夏 平川 美鶴氏の文章より
🌿
≪本記事の構成≫
和ハーブのいろは 6
前半 身近な場所で見つけた"和ハーブ"の実例
┗6.1オオバベニガシワ編(カシワ類整理)
後半 主要テキストについてのmy note
┗6.2 (第2章 和ハーブと食文化 p.44-)
今回は、前回に引き続き(和ハーブのいろは 4、5.1 冒頭)、カシワ絡みの植物より始まります
時は遡り、🐝4月の緑道のお話
@旧野川/狛江市
春に赤く萌す花のような葉 オオバベニガシワ
「~カシワ」と名の付く植物ーカシワ、アカメガシワーについて、"和ハーブ"の例として春先綴っていたのですが、実は一番目を引き、色合いの美しさに感動していた植物は、こちらのオオバベニガシワでした
木陰にあっても、葉がこんなに明るく輝き、株立ちの美しい姿を見せてくれます
葉の形は、丸みを帯び、大きなハート型にも見えて親しみが湧きます
春の陽光に映える葉の色は、アカメガシワの幼芽よりももっと、熟した赤い実のような、なんとも可愛らしい紅色で、
単に好みのベリー色だったためか記憶によく残り、いつの間にか
”春になると咲く、赤い花のような葉っぱ”
とやんわり脳内でカテゴリ化し、春になると何となく見かけては愛でながら、数年過ごしておりました
オオバベニガシワとは?
・中国東南部を原産とするトウダイグサ科の落葉樹。日本へ渡来した時期は不明だが、観賞用に植えられたものが野生化し、暖地では自生しているかのように分布する。
・在来のベニガシワ(=アカメガシワ)に似て、より大きな葉を持つことからオオバベニガシワと命名された。オオバアカメガシワともいう。端午の節句に餅を包むカシワとの関係はない。
・新芽の紅色や若葉のサーモンピンクが美しく、特にゴールデンウィークの頃は話題になりやすいが、新葉は半月ほどで緑色になる。
庭木図鑑 植木ペディア >オオバベニガシワ
そして先の春、”和ハーブ”の存在に出逢ったことで、植物の生態に真剣に向き合うようになり、アカメガシワを”和ハーブ”として認識する中で
(1)そもそも、オオバベニガシワとアカメガシワを同じ植物だと捉え、混同していたこと
(2)アカメガシワの赤く染まった幼芽、と似たような、芽吹き出した葉の赤い植物が春から初夏にかけて思いのほか多く見られること
に気付いたのです
整理
(1)オオバベニガシワとアカメガシワの違い
■系統図から捉えた差異
→トウダイグサ科>エノキグサ亜科
としては同グループ
■陸上植物の進化
被子植物 > 真正双子葉類 > バラ群 > キントラノオ目 > トウダイグサ科
KBY no PAGE Yukiko Kabeya, Takanori Nakamura, and Mitsuyasu Hasebe @ 基礎生物学研究所 より
>3. 分類
トウダイグサ科は次のような亜科に分かれる。連・属は非常に多いので、代表的なもののみ記す。
トウダイグサ科
エノキグサ亜科 Acalyphoideae
┗エノキグサ連 Acalypheae
エノキグサ属 Acalypha
アカメガシワ属 Mallotus - アカメガシワ🌿
ヤマアイ属 Mercurialis - ヤマアイ
トウゴマ属(ヒマ属) Ricinus - トウゴマ(ヒマ) R. communis
┗オオバベニガシワ連 Alchorneae
オオバベニガシワ属 Alchornea🌿
Plukenetieae連
Plukenetia - サッチャインチ Plukenetia volubilis
ハズ亜科 Crotonoideae
…
https://ja.wikipedia.org/wiki/トウダイグサ科 より
トウダイグサ科とは?
トウダイグサ科の植物の特徴
・野原・道端・畑地などに多く生える野草・雑草(草本)
・園芸品種・野菜などの野草(草本)
・日本に自生する樹木(木本)
・園芸種・改良品種・庭木・果樹など日本に自生していない樹木(木本)v
・ベランダ園芸・家庭菜園
有毒の乳液が出ます
被子植物門の、双子葉植物綱の、バラ亜綱の、トウダイグサに属する科です。
世界には約335属、7500種類以上を含む大きな科になります。東南アジア、南アメリカ、アフリカなどの熱帯に多いですが、日本にはそれほど多くはありません。草本から高木まであります。一部には、サボテンのような多肉植物もあります。
花は雌雄異花で、一部では退化する傾向があます。葉は単葉または複葉で、多くは托葉があります。
乳液はユーフォルビンなどを含み有毒で、触ると炎症を起こします。
タピオカの原料になるキャッサバの木、ヒマシ油のとれるトウゴマ、天然ゴムの原料をとるパラゴムノキなどがあります。ポインセチアもトウダイグサ科に属します。
https://sorairo-net.com/plant/ka/toudaigusa.html
そらいろネット(三浦半島身近な図鑑)より
印象としては、アカメガシワは間近で見ると、熱帯植物の気配が伝わってきます。また春から初夏を通して、中の幹が見えなくなりそうなほど、上下左右にどんどん、自分の顔より大きな緑の葉たちが生い茂ります。樹高も高く、会う度に背丈が伸びて、春先には1-2mだったのが、もう3mにも届く勢い。まるで薬草として使ってくれと言わんばかりの繁茂力です
6月上旬の頃のアカメガシワ
他方オオバベニガシワは、4月上旬一斉に若葉が赤く染まった後、一旦すぐに淡い薄黄緑、黄色へと変化する姿なども見せるので(その後また気づくと葉は生えてくるけれど緑色)、落葉広葉樹の存在感が強く、また株立ちを構成する細めの幹が、葉と葉の間に透けて見え、涼やかな景色を演出します
(夏に近づくとアカメガシワと兄弟みたいに見分けつかぬ、似たような緑色でグイグイ茂りますが、春先は何となく繊細な欧州系の雰囲気)
やはり、春先の葉の色合いが美しく、眺めれば時には胸が疼くほどで、そして色彩のvariationが楽しめるところが、魅力でしょうか。ご先祖さま方が、自然と園芸用にしたくなった感覚も、わかる気がします
■”和ハーブ”の観点から見た、薬効の差異
〇アカメガシワ
内服薬:消化管の粘膜を整える。胃潰瘍、十二指腸潰瘍、超過敏性症候群などに
外用薬:皮膚疾患に
↓より詳細な情報はこちらに
(一社)和ハーブ協会監修の薬用植物一覧表掲載サイト
〇オオバベニガシワ
(一社)和ハーブ協会の取り扱うテキスト類には、薬用植物としての掲載はなし。日本では主に観賞用として広まってきたとのことで、薬草としての古来の使用法などが説明される場所が殆ど見当たらず
一方、中国では薬草として使われることも、一部確認される
オオバベニガシワ(トウダイグサ科):ポインセチアに近い仲間です.中国原産で,若葉が赤く美しいので,切り花や庭木にされます.中国では,下痢や出血を止める薬にも使うそうです.冬にできるつぼみは,赤いキイチゴが枝に直接ついているように見えます.花は春咲きます.
第3回名古屋大学博物館企画展記録/名古屋大学博物館野外観察園の植物たち
名古屋大学博物館報告 Bull. Nagoya Univ. Museum No. 20, 141–149, 2004
(豆情報)
薬効その他副作用の有無などの裏付けを確認できてはおりませんが、こちらの書籍↓
を出版されている著者・草木屋さんの、HPに関連したブログの方で、オオバベニガシワもハーブとして使用されている記録が確認できました
草木屋さん
著者について
埼玉県川口市で在来種苗木の生産販売と、100種類以上の草木が生い茂る自宅庭と畑で週1回の保育室を営む。
ライフワークとして、川口市内で幼児~小学生むけの自然観察会、出前授業も行なう。自然体験クラブ「コロボックルくらぶ」を主宰し、H29年に日本自然保護大賞を受賞。
農文協の雑誌 季刊『うかたま』で「庭にほしい木」を連載中。
『食べる つかう あそぶ 庭にほしい木と草の本: 散歩道でも楽しむ』草木屋.
農山漁村文化協会 . 2021.3.15. p.96
私自身が今後もし、本気で飲用しようと思う際は、こちらの方のような専門家の方に確認をとって、より正確な情報がわかりましたら、紹介させていただきますね🦋
(余談)ご参考までに個人的な体験談‥緑道の草刈の後、回収されそうなオオバベニガシワを、造園屋さんにお声がけ&お断りし、少し頂き、部屋で活け‥ておりました内にカラカラに乾燥してしまったので、入浴剤としてお風呂に浮かべてみました。数枚しか使っていない状況もあり、葉っぱと共に湯船に浸かれる心地良さ、あまりに葉が大きくて顔に乗せて呼吸した際、葉の匂いがカシワっぽくて落ち着いた、以外、薬効に関わる感触は特段なかったのですが、逆に言うと少量使用でもカブレるといった反応にはならなかったです
(2)芽吹き出した葉の赤く萌える植物について
ここに秘められた物語は、やはり、アカメガシワの幼芽に纏わるアントシアニンのお話と同じものでした
改めて、復習がてら確認すると
葉の色が新緑の時は赤で時間が経つと緑になるのはなぜですか?
自然界全てのものが生き残るためにビックリするような技とか手段等を身につけています。その考えからしますと、アカメガシワやベニカナメモチのように新緑は赤なのに成長し時間が経過すると緑に変化するのにも、何か生き残るための技が秘められているのでしょうか?それとも他に理由があるのか教えてください。
(略)
一部の植物が芽生えや若葉のときになぜ赤くなるのかについてはまだ充分に分かっていません。しかし、以下のことは証明されてきています。
(1) 葉が赤いと葉の温度(葉温)は高くなる。
(2) 赤い色素(アントシアン)には抗菌作用や虫の幼虫を寄せつけない作用もある。
(3) 赤い色素は、葉緑体(緑色色素を作り、光合成を行う器官)の発達を促進する働き、および発達中の葉緑体を紫外線から守る働きをもつことも知られている。
吉玉 国二郎(熊本大学大学院自然科学研究科)(略)回答日:2008-06-23
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一般社団法人日本植物生理学会
■アントシアニンを取り巻く全体像
存在のカテゴリ
=フィトケミカル/Phyto(=植物) Chemical(=化学的な)
→植物が体内で合成する物質の内、重要な生命活動には直接かかわらない「二次代謝物」の総称
何ものかについて
⭐︎1. 栄養学的には
植物が作る有機化合物3要素の内、のひとつ
五大栄養素
食物繊維
フィトケミカル ☚この位置
⭐︎2. フィトケミカルの機能性は主に4点あり、アントシアニンは抗酸化作用を特徴とする
①抗酸化
(例)
┗ポリフェノール>アントシアニン、カテキンなど水溶性
┗カロテノイド>カロテン類、キサントフィル類など脂溶性
②生物活性
③香りの効果
④その他(抗菌、収斂など)
⭐︎3. 分子構造/生合成経路による分類では、下記の①に属す
①芳香化合物(フェニルプロバノイド系)👈ココ
(↑必ずしも芳香を持つものの分類ではない)
②テルペン類(イソプレノイド系)
③アルカロイド類
④その他(糖、アミノ酸、脂肪酸由来系、低分子系)
以上、本テキスト「第3章 和ハーブと健康・医療」内、章末コラム/
参考・和ハーブの二次代謝物 p.111- より
🌿
今回、春もみじ、という言葉があることを知りました。古来の季語ではなく、現在でも正式に使用法が確立されている語彙ではないようです
個人間の、素直な印象を基にした語法だとは思われますが、”春赤く紅葉する葉っぱは沢山ある!”と身体で知る瞬間、思わず口からこぼれてしまいそうな言葉だと…密かに胸に刻まれました🐝
🌿
≪今回はここまで≫
参照情報/参考文献:本文中に記載
使用画像:記載ないものは筆者撮影
🐝最後に🦋
🌸和ハーブを学び活用していくことの意義🌿
①先祖代々引き継がれ、また生まれ育ってきた環境における素材の恩恵を受けられる
②文化の根源素材である植物の研究により、先祖からの文化・歴史を知り、継承していく機運になる
③生活圏における自然環境の過去・現在・未来について、認知・把握することができる
④素材のトレイサビリティ(追跡性)やピュアリティ(純粋性)が見えやすいものを手にできる
⑤地域の素材を活かした産業を作り出し、雇用や経済を活性化することができる
⑥素材の遠方輸送における資源の浪費、それによって引き起こされる公害などを防ぐことができる
『和ハーブ にほんのたからもの』p.37より