#39◇YD先生に託す命◇2021年11月11日その2
夫と私の闘病記として、神様の御業の証として書いています。
まだ自己紹介をお読みでない方は、↓ からどうぞ。
私は夫のことを「かずちゃん」と呼んでいたので、その呼び名で書きます。
11月11日(木)その2
私は三姉妹で、姉も妹もクリスチャンです。
三人とも20代前半でクリスチャンになりました。
遅い時間だったので、私の必死のLINEにすぐに応答してくれたのは姉だけでした。
それでも、本当に心強かった。
祈ってくれる人はたくさんいればいるほど、力になります。
もう、こうなったら祈ることかできません。
23:15ごろ
手術前のかずちゃんに数分だけ会うことができました。
数人の看護師さんに囲まれ、あちこち準備が進められていました。
K「吐血して、気を失ったみたいで、
気づいたら周りに人がいっぱいいた。」
この入院時、腸炎と発熱症状があったので、
かずちゃんは個室にいました。
吐血して意識を失いましたが、
ちょうど検温のタイミングだったようで、
看護師さんが気づいて緊急処置になりました。
どれくらい意識を失っていたかは不明ですが、
話を聞く限りはさほど長くなかったようでした。
表情は普通で、ただただされるがままになっていたかずちゃん。
不安むき出しでなかったのがせめてもの救いです。
「祈ってるからね!」と言ったかどうかも覚えていない私…。
とにかく、かずちゃんの顔が見られただけでもうれしかった。
私も、わけもわからぬまま過ぎていく事態に、
心が追いついていなかったと思います。
その後、消化器外科の主治医、YD先生から説明を受けました。
以下、YD先生の話。
胆管に通した金属のステントがずれて、動脈にあたっていたことにより出血していた。
ステントがずれたのは、抗がん剤によって腫瘍が小さくなったため。
通常は、膵がんの手術までもたせるために、内視鏡で止血の処置をする。
ただ、今回は、出血している動脈の血流を止めると、
肝臓に血液がいかなくなる位置の処置となる。
内視鏡の処置は放射線科がやるため、
放射線科に見てもらったら、そういう所見だった。
肝臓に血液がいかないことで不具合が起こる確率と、
今すぐ膵臓の手術をすることを天秤にかけた結果、
膵臓の手術をすることにした。
患者さん本人は抗がん剤治療の途中で免疫力が低下してる状態。
加えて、手術にあたるメンバーも、緊急なので万全の体力ではない。
この状態で大変難しい手術をする。
お、おぉ。
ぉぉお???
膵がんの手術がとても難しいことは、
かずちゃんが調べていたので知っていました。
それを、万全の態勢でない状況下でやる…
執刀医はYD先生です。
過去に同じような経験があるのか気になって、ズバリ聞きました。
YD先生の返答は、
「動脈出血がある状態で、膵頭十二指腸切除術をやるのは初めてです。
私じたいも初めてですし、阪大病院としても過去に例がありません。」
おぉぉぉ
なんと!なんとなんと!
阪大病院始まって以来のことですと!
ヤバいよ、ヤバいよ!
これは、癌の根治・寛解どころではなく、
術後に生きているかどうかの問題じゃないか!
とはいえ、YD先生の提案を受け入れる以外の選択肢があるでしょうか。
ありません。
即答で、ありません。
YD先生を、阪大病院を、信じるしかありません。
同意書にサイン。
長時間の手術になるので、病院では待つことができず、帰宅します。
半分、放心状態で、エレベーターを待ちました。
そうしたら、白衣の襟をバサッと直し、
颯爽と歩いていくYD先生を見ました。
なんだかわからないけど、すごいオーラでした。
完全にスイッチが入っている感じ。
(この一瞬で、私はYD先生のファンになりました)
外科医ってこういう状況を幾度となく経験するのでしょうね。
今日、一日勤務して、深夜0時から緊急手術。
アドレナリンを出しまくらないと乗り越えられない。
医師にとってはたくさんやる手術の一つです。
でも、患者にとっては一生に一度の手術です。
しかも、命をかけた。
それを思ったら、疲れているとか、寝たいとか、言っていられないですよね。
外科医って、すごい。
「ちょこっと神様に祈っただけじゃん!」と思ったあなた。
先は長いですから。
気長に読んでいただければ幸いです。
後半でドドーンと出てきますよ。(後半かいっ、長いなっ)
もう、これでもかっていうくらい神様の御業があったので。
お楽しみに~。