満開の桜と笑顔と
「もう桜が満開になっているよ!」
「わぁ~本当だ。きれいだね。桜の花を見ると幸せ感じる」
桜の季節、毎年桜の開花宣言が出されると、日本中が喜びで浮足立っているように感じるのは、私だけであろうか。
靖国神社に、気象庁が指定した東京の桜の標本木がある。その木の5、6輪の花が開いていることが確認されると、東京の桜の開花宣言が出される。
今年は、昨年と同じ日で3月14日、桜の開花の観測を始めてから一番早い日の開花となった。
桜の開花宣言が出されると、私は落ち着いてはいられない。桜が大好きだからだ。
日本人が一年で一番幸せになるのは、この桜が満開の季節だと疑うことなく信じている。日本中がピンクの花で咲き乱れ、道行く人も、足取りを止めて、スマホを取り出して、桜の写真をあちこちで撮っているのを見かける。
昨年と同様にコロナ禍で、お花見は中止され、千鳥ヶ淵などの有名な桜の名所も桜祭りの中止が決まっている。
幸いなことに、桜の木は、名所に行かなければないものでなく、普通に歩けば、どこにでもあるのだ。人が多くて、歩くのも大変な満員電車のような場所に行かなくても、ピンク、ピンク、ピンクの花は手の届く場所にあるのだ。
なんと有難いことだろうか。
私の住む近くは、桜並木があちこちにあり、今朝も外出中、ほぼ満開になっている桜に見とれながら、心が洗われる気持ちになっていた。
人は、美しいものを見ると、心が洗われる生き物な気がする。
純粋な自分の中にあるものと、共鳴するのかもしれない。
満開の桜を見上げながら、まるで笑顔のようだと思った。
人を幸せにする満開の桜
人を幸せにする笑顔
共通するものがある。
満開の桜と笑顔
その時、ふっと思ったことがあった。
寒い殺風景な冬を越して、すべてが枯れて死んでしまったかに見える冬を過ぎたら、春が来る。
冬があるからこそ、寒くて灰色の冬があるからこそ、春の訪れを待ち望む。
そして、その喜びを感じられるのだと。
ずっと春だったら、いつも、いつも一年中桜が咲いていたら、おそらく、今ほど感動したり、喜びに満ち溢れることはないのかもしれない。
また、笑顔も然り。
笑顔になる、幸せを感じる、喜びを感じる。
それは、それ以外の感情があるからこそ、活かされ有難さを感じるのではないのだろうか。
喜怒哀楽、怒りや哀しみの感情があるからこそ、喜びや楽しみの感情が活かされる。
日本の四季と同じである。四季があるからこそ、それぞれの季節の変化を楽しむことができる。
好きな季節だけを過ごしたいと思っていても、実際にその季節だけしかない一年を過ごしたら、その季節をそれでも好きだと思い続けられるだろうか?
冬があるから春が嬉しい。
仏頂面の愛想のない人がいるから、笑顔の人が輝いてくる。
満開の桜を見ながら、そんな想いを馳せた日。
ポジティブもネガティブも
あっていい、感じていい。
それでしか、存在し合えないのだろう。
すべての存在は、バランスを取り合っている。
花の命は短く、咲き始めてから満開になり
あっという間に散っていく……儚い命
曇り空の下の桜の花は、写真を撮っても映えない。
明日は、晴れるかな?
あ~した天気にな~れ!
ありがとう
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