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北海道 鈴木知事の原点 「やらなきゃゼロ!」

コロナウイルス対応で注目の鈴木知事。その原点はどこにあるのか?
著作「やらなきゃゼロ!」を再読してみました。

ウイルスの流行が真っ先にあった”北海道”。素早く「緊急事態宣言」を出した北海道の鈴木知事は、評判をあげています。

4月4日の新聞にも、次のように書いてあります。

知事のツイッターでは、「道民の命を守る英断」「リーダーシップは素晴らしい」という称賛の声が相次ぎ、マスク姿で会見する知事の姿がおなじみとなった。

何が違うのだろう?

北海道知事の前は、夕張市長だったのはご存知でしょうか?
全国最年少市長で、財政破綻した夕張の再生を導いてきた。

前職は、東京都の職員!高卒から都の職員になり、配属は衛生研究所。担当は経理だったが、衛生研究所での経験は、今回のウイルス対応にも活かされているのでは…。
仕事をしながら法政大学二部へ。法学部法学科で地方自治を学んだそうだ。夜間でありながら、体育会のボクシング部にも入部。
残業ができないので毎朝5時に起きて8時前から仕事をし、授業の後はボクシングというハードな生活!

「若い時の苦労は買ってでもしろ」という言葉がありますが、私は大学時代の経験があったからこそ今を乗り越えていけるのだと思っています。

どうですか? 着々と、北海道知事に近づいている気がしませんか?もちろん、当時は北海道の知事に、なんて思ってなかったでしょうが。

都の職員の派遣として、夕張市へ。
財政破綻した夕張は、市民会館の掃除などボランティア活動に支えられており、盛ん!鈴木も参加する。

夕張の人たちは、本当に元気な高齢者が多い。その秘訣は、ボランティア活動など地域の集まりに積極的に顔を出すことかもしれません。

夕張市役所の若い人たちは、こういったボランティアにあまり参加していなかったそうだ。それは、財政破綻になり市民の目もあって、外で飲み会などほとんどなくなっていたりと、市民との関りが薄くなっていたからのようだ。
都から派遣された鈴木が若い人たちを担ぎ出し、交流が戻っていく。

そこで私は改めて「市の財政破綻」というものが、そうした人のつながりまで奪ってしまっていたんだということを実感しました。

今回のウイルスにより、経済的に追い詰められる人も多い。夕張のように公務員の給与カットもあるかもしれない。一部の人への風当たりが厳しくなったり、国民がお互いにいがみ合うようになってしまうかもしれない。
東日本大震災の原発事故、風評被害はいまだになくならない。追いつめられた人々は、他人へのやさしさを維持することが難しい。

3つの感染症 日赤

日本赤十字社は、「3つの感染症に気をつけよう」と注意を促している。
それは、①病気、②不安、③差別、だ!

話を鈴木の夕張派遣時代に戻そう。

財政再生団体となった夕張市は、市議会の決定だけで様々なことを決めることができない。しかし、市役所は、財政破綻表明がおきた時の職員一斉退職で人員体制は極めて厳しく、市民の声を聞くことにも消極的だったそうだ。そこで、鈴木は直接、市民の声を届けようと動く。

戸別訪問によるアンケートを、自分が在籍していた法政大学など学生たちにも協力してもらい実施
その結果を、夕張市を訪問する”総務副大臣”に説明する機会を得る!その時に相談したのは、この都職員の夕張派遣を決めた”猪瀬東京都副知事”

こうした、人のつながりを活かしていく! 鈴木の手腕の一つだろう。
派遣期間が終わり、夕張市長に!と歎願されて選挙に出たときには、この猪瀬副知事だけでなく、石原都知事まで応援に来ている!!
鈴木は政治家や実業家の家で育ったわけではない。こうやって人の輪を活かせるのは、人柄によるものだろう。

鈴木が高校2年生になったころ、両親が離婚。母と姉と”アニメに出てくるようなボロボロの家で”生活することに。
そんな事情もあり、鈴木は朝5時から荷物の配送のアルバイト。授業後もアルバイト。そして、そんな生活を友達に知られたくないこともあり、朝早くに登校。
しかし、学校に早く行ってもやることもないので、黒板や棚をきれいにしていたという。

大学進学をあきらめ、無事に公務員試験に合格し都の職員になる鈴木は、自らが支援が必要となった時に、行政サービスのありがたさにも気づいたという。

「行政サービスは空気のようなものである」

普段元気に暮らしているときには何とも思わない。どうにもならなくなったときに、支援を受けることができ、希望を持つことができる。それが行政サービス。
「人の役に立つ人となりたい」という志を持ち、都の職員となったのである。

今回の北海道のウイルス対応、その素早さや専門家への協力依頼、道内の各自治体長との連携、そういった鈴木知事の活動はここから始まっていた!と感じる本です。

何もしなければ現状維持どころか現状をピークに縮小してしまいます。しかし、一歩でも、半歩でも前進すれば、なんとかゼロからプラスになる。
今の時代はこれでやっと現状維持なのかもしれません。

という鈴木。この本が出版されたのは2012年。夕張はいくつもの新たな取り組みをしてきました。前進し続けていると感じます。
何かをするときには、安全性など慎重さも必要です。しかし、慎重になるばかりで進むことを恐れていると、それはゼロからマイナスとなる。やはり、進みながら修正する力が、トップにも市民にも必要だな、と思います。

北海道知事となって1年。ベテラン議員や観光業界などからは、批判の声もあるらしい。また、速い決定に現場が振り回されているという声も聞く。
しかし、進みながら修正するのが、ウイルス対応には必要だろう。知事となってまだ1年、まだ40歳手前。それでこれだけの対応をしているのだから、やはり驚かされる。

また、夕張市長選挙の時、猪瀬副知事から


「お前はもう役人じゃない、役人みたいなじゃべり方はやめろ!テレビなら10秒ワンフレーズ!! 短いセンテンスで思いをまとめろ!」

とアドバイスをもらい、耳に強く残っているという。
確かに、鈴木知事の記者会見はまわりくどい話し方がなく、すっきりとしている。それは今の時代にもあっていて信頼を得ることにもつながっているのだろう。やはい若いうちの出会い、学ぶ姿勢は大切だ。

私が夕張を訪ねたのは10年以上前だが、ウイルスの流行がおさまり、北海道、夕張をまた訪ねる日を楽しみにしていたい。
やっぱり夕張メロンも食べたいなあ。




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