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君色ブルース

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私の中の僕と君。
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短編「君色ブルース」#2

短編「君色ブルース」#2

私は海に来ていた。19歳の昼のこと。

自己紹介します。私の名前はキミ。ちなみに卵は黄身より白身が好き。職業フリーター。せっかく大学まで出たというのに、メンヘラゆえに就活に失敗したのだ。 私が小学生の頃は就職しない奴はプー太郎なんて呼ばれて蔑まれてたけど、今はニートという神的存在が蔓延っているために私は働いているだけマシだろうという扱いにある。

でもそれはつい3時間前の話。

今から私も聖なるニ

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短編「君色ブルース」#1

短編「君色ブルース」#1

「黄色はお日さまの色やで。」

と母は幼い私によく言った。

私は自分の名前に不満だったのだ。黄美とかいてキミ。初対面の人にも馴れ馴れしく名前で呼ばれているような感覚になる。それ以前にダサい。平成生まれとは思えない。まぁ私が平成生まれとはいえ名付け親は昭和生まれなのだから仕方ないのか。しかし職場のそこまで歳の離れていない子がミラノちゃんとかリツカちゃんだったりするとなんだかいたたまれなくなる。

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