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短編「君色ブルース」#2

私は海に来ていた。19歳の昼のこと。

自己紹介します。私の名前はキミ。ちなみに卵は黄身より白身が好き。職業フリーター。せっかく大学まで出たというのに、メンヘラゆえに就活に失敗したのだ。 私が小学生の頃は就職しない奴はプー太郎なんて呼ばれて蔑まれてたけど、今はニートという神的存在が蔓延っているために私は働いているだけマシだろうという扱いにある。

でもそれはつい3時間前の話。

今から私も聖なるニートと相成るのであった。


時は遡って今朝7:30

私は自転車に乗って駅へ向かっていた。もちろん電車に乗って職場へ行くため。

でも辞めた。

仕事行くの辞めた。

今まで無断欠勤なんてしたことなかった。おばあちゃんが危篤でって電話しようかと思ったけど、嘘をつくのは苦手なので、もう逃げ出すことにした。

駅に着くと私は方向転換して海へ向かった。

やっと海に着いた頃にはもう昼になっていた。そして今に至る。

出勤時間は9:30だからもうとっくに遅刻と呼べる時間は過ぎてる。30分ごとに職場からケータイに着信。七回目の着信で私は海にケータイを投げた。砲丸投げをイメージしたけど思ったほど飛ばなかった。たぶん3メートルくらい。水没に距離は関係ないけどね。

「さて、さて、うーむ。次は投身自殺でもするかねぇ・・・」

私はリカちゃん人形みたいな作り物の笑顔を浮かべてたと思う。笑う門に福来る。というし。

自殺するつもりがないとなると、仕方ない。あれしかないな。


「バカヤロー!」

広い海を見ると叫ばなければいけない。気がした。

パシャッ

シャッター音に振り返ると、なんだかプロのカメラマンっぽいカメラ、一眼レフっていうのかな?を持ってる青年がいた。不思議と腹は立たなかった。恥ずかしいところを見られたのに、まるで女優とカメラマン的な信頼関係があるみたいな。

カメラ目線でピースをしてみた。

彼はレンズから目を離してこっちを向いて笑った。

「何してるの?」

「ニートなう!しかも旧型の引き篭もり式ではなく最新型のアクティブニートなのだ!」

「そっか。」

そっか?

こいつ突っ込み能力ゼロか。買い被りすぎだったか。

「君にぴったりの仕事あるよ。僕の専属モデルにならない?」

「それってナンパ?スカウトなら名刺を見せたまえ。」


つづかないよ...




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