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アラフォーでラップの練習したらゲシュタルト崩壊した話

本日のボイトレ課題曲は「リンジュー・ラブ」。

Bメロあたりでラップみたいなリズムの歌唱が入るため、棒読みになりがちな私の歌い方を矯正することに。

20代前半の先生といっしょに屈伸運動をしながら、メトロノームのカチッ、カチッという単調な音に合わせて、膝を曲げたり伸ばしたり。
先生がやるとHIP HOP感ただよう”こなれ”た動きなのに、私がやると膝が痛くて深いスクワットができないおばさんの動きになるのは、なぜだろう・・・。加齢による全身硬直化の現象が、ここで影響しているのか。頑張れば頑張るほど、ラジオ体操に近づく。

「手をぶらんとして、リラックスして上下に動くといいですよ。
力んでしゃがむと声も硬くなるので注意です」

と、ヘドバンをして”力みしゃがみ”を表現。リズム感のない生徒のために体を張って説明してくれた。先生の若さにも感謝。

「あと、しゃがんだあとの、伸びる方も忘れずに意識してください。

この曲は裏の拍がしゃがんだときにくるので、表は伸びたときで、どっちも1拍づつあるのを感じてください」

と言われ、だらしなく腕をたらし、軽めに屈伸、屈伸、屈伸。

頭のなかで、白いキャップと白いダボT(XXLサイズ)、白いパンツ(XXLサイズ)、ゴールドのチェーンを首から下げ、体を上下に揺らしながらにじり寄ってくるラッパーの男たちが「YO! YO!」と呟く姿が浮かんだ。

自分からは遠い存在の人種だと決め込んでいたが、まさかアラフォーにして交差する瞬間が来るとは・・・!
人生、何があるかわからないものですね。

「ラップっぽさを出すには、”O"h "M"y "G"ood”n”ess "か"つて”な”い
"ほ”ど ”フ”ィット ”で”す Oh Oh

”も”う ”ふ”れ ”ら”れ ”な”い ”そ(Sぉ)”んな ”リ(Li)”ん ”じゅ(Ju)”  ”L”ove というふうに、拍にハマる頭の歌い出しの部分をしっかり、合わせて、ちょっと大袈裟にメリハリをつけて言うようにすると、それっぽくなりますよ」

と先生がお手本を歌いながらレクチャーしてくれた。

「特に【”そ(Sぉ)”んな ”リ(Li)”ん ”じゅ(Ju)”  ”L”ove 】は、
1つ1つの言葉を投げるように歌いましょう。

そのまま歌うと棒読みっぽく聞こえるので、「Sぉ」とか「リ(Li)」とか「”L”ove」でぽーんとボールを投げるような感じで」

なるほど。頭ではわかるが、淑女としてのプライドが邪魔する。
ラップと恥じらいほど、対局にあるものはない。
そもそも、歌が特別うまくもないのに歌の練習をしている時点で、そうとうな恥ずかしさがある。

アラフォーのおばさんがこんなギクシャクした屈伸しながら20代の歌を必死で練習しているなんて、もはや羞恥プレイとしか言いようがない。

その上、ラッパーっぽく歌う!?

恥の効用の最大化が過ぎる! 予定外の恥を使ったので、ほとんど処刑である。

口が全力で抵抗しているのか、今までリラックスして歌っていたはずが、急に緊縮して動かない! 肉体と精神が分裂を起こしてしまい、喉の奥で声が留まっている。金縛りにあったときのようだ。

メンタル崩壊まで至ったあたりで、「すごい、出来てますよ! いい感じです!!」と先生から褒めてもらい、レッスンが終了した。

ラップ・・・

なぜか自分のなかでラップを受け入れられない。
正確にいうと「私が歌う」ことを受け入れられない。

ラップに関しては、ものすごい偏見がある。
カルチャーも含めてラップ、みたいな印象があって、生き様とか、
服装とかがその文脈に居ないと歌えないと思い込んでいるからだ。

ラップを歌っていい人種というか・・・。

オギャと言った瞬間から自己肯定感がMAXで、人に見られることが宿命づけられている。そんな特別な人たちのコミュニティで使われる共通言語。
それが、ラップ(という偏見)。

ここを通らないとマカロニえんぴつをマスターできない!!!!!
音に乗れないおばさんがラップを歌えるようになる道のり・・・

これぞ、ゲシュタルト崩壊である。

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