見出し画像

ちょっとそこまで乗せてって

日本でもついにライドシェアが解禁されたんですね。
アメリカではUberが便利すぎて、なんで日本にも早く導入されればいいのにと強く願っていたのですが、ついに!

でも私が画期的だと思ったのは、この動画の前半部分、観光地でのUberではなくて、5:40くらいから始まる京都府舞鶴市の取り組みです。

高野地域では、地域の強みである住民同士の繋がりや助け合いを生かし、住民同士の送迎サービスとして、自治体ライドシェア「meemo(ミーモ)」を実施しております。

【背景】
高野地域では令和2年度より、高齢者をはじめとした交通弱者の移動手段の確保という課題に対し、舞鶴市、オムロン ソーシアルソリューションズ(株)、日本交通(株)の3者の協力のもと、住民同士の送迎サービス「meemo」を実施してきました。

【目的】
送迎マッチングアプリ「meemo」や電話予約による住民同士の送迎サービスを実施することで、高野地域住民の外出機会を創出するとともに、タクシー不足等の課題に直面する既存の公共交通の役割の補完を目指す。

https://www.city.maizuru.kyoto.jp/kurashi/0000009776.html


電車の駅は遠く、路線バスも撤退。住民は高齢化。そんな地域で住民の足を確保するべく始まった住民同士のライドシェア。

この住民同士でのライドシェアは、日本の高齢化社会、特に車しか移動手段のない田舎の高齢者を救う画期的な仕組みだと思っています。

ーーー

田舎は本当に車社会

私は北陸地方のとある田舎出身です。

私の地元では社会人としてデビューした人なら1人1台は車が必要といっても過言ではありません。なぜなら、一番近いコンビニまでも車で10分ほどかかるからです。

コンビニだけではありません。
スーパーマーケット、ホームセンター、区役所、病院、ユニクロ、精米……ほぼすべての生活に必要な施設へのアクセスに車が必要になります。

路線バスは通っている地域とそうでない地域があります。私が幼少期に住んでいた家は奇跡的にバス停の目の前にありました。
そのバスに乗れば、近隣の「町」の中心地に行けますが、今から40年近く前の当時でもバスの頻度は朝・昼・晩の3本くらいでした。

電車も通っています。ただし最寄の駅まで車で30分です。意味をなしません。

道路はすべて車しか通らない前提なので歩道もなく、そんな田舎道を歩くこと自体危険です。

もし歩道があったとしても、冬場の徒歩での外出はほぼ不可能でしょう。
日本海から吹気荒れる冷たい風が雪やみぞれを巻き込んで常に吹雪いているので、そんな中の徒歩もしくは自転車での外出は実質不可能に近いです。

ということで、私の実家も両親は各自1台ずつ車を所有しています。
弟はすでに結婚・独立して別に暮らしていますが、お盆や年末年始に家族が集まるとなると、家の前には弟の車も駐車されます。

さらに、弟の奥さんの車もきて、家の前には車が4台。親戚でも顔を出そうものなら。5台、6台が家の前にならぶことになります。でもこれは私の田舎ではとくに珍しい光景ではありません。

運転できなくなったら両親の暮らしは……


「あと数年で免許返納したらどうやって暮らすんだろうなぁ」

父の言葉です。

70歳になった父ですが、今はまだ体も頭もピンピンしていて仕事もしています。毎日片道40分、雨の日も雪の日も、槍の日も車で通勤しており、車に乗れなくなる日がくることを父自身も想像できていないのでしょう。

言葉ではそう言っていても、神妙さも薄いですしどこか他人事のようです。

でも、考えてみてください。
最近では高齢者による車の事故が後を絶ちません。ブレーキとアクセルの踏み間違いでコンビニに突っ込む、高速道路を逆走する……。

自分では若いつもりでいても、加齢とともに確実に判断力、反応力、視力、聴力、全てが衰えてしまいます。そしてそれらの衰えは車を運転するには致命的です。

だからあと数年もしたら、私の父にも母にも自主的に免許を返納する時期がくるのだろうな、と想像しています。

ーーー

前述の通り、田舎では車がないと生活が成り立ちません。

百歩譲って生活用品はネットで購入するとします。
でも、友達や親戚会いに行くのはどうしたらいいでしょうか?娯楽施設にいくのだって車が必要です。

両親が車を失ったらどうなるか……。
友達や親戚にも会いたい時に会えず、娯楽施設にも行けず、ひたすら老夫婦が二人、家にこもってネットで購入した食材を食べて生きることになります。

そうです、田舎でくらしながら車がないということは引きこもり生活の序章なのです。


住民同士のライドシェアがもたらすもの


なぜ住民同士のライドシェアが画期的か、ここまでくれば察しのいいあなたはもうわかりますよね。

高齢者など交通弱者に外出を促すからです。

高齢者と言っても、体が動くうちは積極的に社会とつながるべきだと考えます。近所の人や友人、また買い物時の店員さんとの交流を通じて、外の世界とつながってこそ生活にいろどりが生まれるからです。

地域住民がドライバーを担うというのもメリットが大きいと思います。同じ地域に住む人というだけで親近感が沸きますし、依頼するほうも安心感があります。また、共通点も多く、車内が交流の場にもなるでしょう。

さらに、地域にドライバーという雇用も生み出しています。
動画にでてくるドライバーの方は68歳で、教員を引退されてから家業の農家を継いで、空き時間にライドシェアのドライバーをされているそうです。

68歳の方であれば、いくら頭と体が元気でも再就職先を見つけるのは難しいでしょう。通常であれば、年金に頼って生活することになりますが、ドライバーをすることで、わずかでも副収入が生まれます。
車はどのみち所有していますから、初期費用もかかりません。空いている時間と車が副収入を生み出し、さらに困っている人を助けます。


まとめ

田舎の過疎地域における住民同士のライドシェアがもたらすメリットは主に3つあると考えます。

  1. 高齢者など交通弱者の移動手段確保

  2. ドライバーという雇用創生、リタイア後の副収入

  3. 地域住民同士の交流の機会増

舞鶴市の取り組みを成功例として、この仕組みは全国展開してはどうでしょうか。

日本は少子高齢化社会ですから、同じ課題をもつ自治体は五万とあるはずです。

万が一にでも、これを読んでいる自治体の政治家の方々、もしくは国交省の方々がいれば、ぜひよろしくお願いします 笑








この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?