異世界へ迷い込んでしまった話
0.さようなら
この片田舎に疲れてしまった私は早くこんな閉鎖的場所から逃げたいと切に願っていた。まずは面白そうな人と出会ってお茶でもしようと思った次第である。なんとかアポイントメントをとることに成功したがそこに待っていたものとは、、、、、、
さようなら、さようなら
グッバイはたくさん胸の中で復唱していた。
1.新たな出会いを求めて
丁度二ヶ月位前、私は原宿駅で待ちぼうけをくらっていた。
親しい間柄の人と一旦終わりを告げて、半ば強引に去り都内へ逃げてきたのである。何回か原宿には訪れた事があったがこんなにも人が多いとは思っていなかった。別れを告げて新天地へ来たのにそこに残っていたのは幾許かの未練と後悔だけであった。数日前SNSで知り合った待ち人が来ないので駅周辺や構内を散策してみた。そこで目撃したのはこれまで出くわす事のない華やかな若者達だった。
2.いたいけな少女
ピンク色のキャリーケースに流行りの黒マスクに茶髪のロングでくるくるパーマのツヤツヤの髪に不機嫌そうに待ちくたびれる様子、これが都会の女性かと驚いたものだ。少女のオーラはおおよそ私が田舎で見てきたオシャレとは一線を画していた。というのもその日の宿を探すために何時間も駅のホームでスマホ片手に足を組んでいるのだ。しかもアイドルなのかと疑いたくなるような服装をしていた。そんな私も似たような案件でここに来たので彼女が自分の鏡のように見えた。ただ彼女ほど勝ち気では無いしただ見知らぬ出会いを求めて約束しただけなのだが。駅構内のホームに居るのもつまらないのでJRの改札前で約束した人を待つことにした。その後そのいたいけな少女がどこへ向かったかは知らない。
3.原宿系女子
このようにしてパパ活女子を見たあと改札前でぼーっとしていたら、見知らぬ金髪少女と目が合ってしまった。服装が似ていた事も合ってとても親近感が湧いた。彼女が待ち人だったらいいのになぁと思いながら、彼女は満面の笑みで私の前で過ぎて行った。金髪に編み込みしてあってとても整った斬新なヘアスタイルと無駄に厚化粧しないどこかあどけなさの残る、灰色のツナギを着たまたもや都会のおしゃれな女性であった。あまり流行に詳しくはないのだがコレが原宿系女子なのかとしばらく感嘆していた。自分も灰色のダボッとしたボトムに上は少し大きめの何かを羽織っていた。ただ一つ言えるのは服の系統が似てるだけでこんなにも惹かれ合うものなのだと。おそらく彼女と目が合ったのは偶然で、見世物小屋を見ているような心情で視線があっただけなのかもしれないがとても嬉しかった。ある種の敗北を感じた。都会のカルチャーというものを受け入れずに田舎で質素に暮らして若さを浪費していた日々に。
4.来ぬ人
一応連絡は付いていたが、待ち合わせていた人は中々来なかった。上記のようなブイブイ言わせてる彼女らがとても眩しかった。けれども本来会うべき人は結構遅刻するようだった。きちんと何時に来るかを伝えてくれなくてはぐらかされていたので、改札から出てきた目のあった人はもしかして、、、とおもい話しかけようとしても一向に待ち人は来なかった。空腹で倒れそうになってしまった。それでもなお、持ちこたえたのは原宿駅周辺にいた輝かしい人々の刺激が私の唯一の支えであった。結局私は一時間半から二時間来ぬ人を待っていたのである。そして目の前に現れたのは、、、、、