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感性、心

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#ミネルバ大学

混沌 雑踏

混沌 雑踏

自分だけの世界に浸っていると、外の世界と自分の世界が一つに溶けたような錯覚に陥る。noteは感情の本棚だと昔書いたけれど、今私の感情は、綺麗でアンティークな、下北沢で売っていそうな一点もののおしゃれアイテムではなくて、大量生産された、個性を失ったアイテムたちのようだ。後ろではきっと低賃金の児童労働が行われている。そんなよくあるディストピアリアリティーショーみたいなプラスチックな感情が蠢いている。

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曇り朝

曇り朝

ベルリンの朝は曇っている。昼も曇っているし夕方も曇っている。日は四時に暮れる。北欧(ドイツはそれほど北ではないけれど)の冬が暗々しいのは聞いていたが、こんなに暗いとは聞いていない。いや、どちらかといえば暗いのは日照時間に呼応して浮き沈みする私の心の方なのだけれど。

人を失って初めてその人の価値を見出すように、太陽を失った私は今太陽の価値を考えている。太陽が乱反射した青空は心の雲をふぅっと吹き飛ば

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静寂

静寂

こんこんこん、と頭の中のドアを叩く音がして、洞窟の中に隠れていた意識が差し込む光で目を開ける。ぼんやりとする意識の中で、携帯を手繰り寄せる。朝っぱらから情報の波に襲われて、意識が困惑する。「あれ?地震かな」

外的静寂は内的混乱を明らかにする。

私の中で未処理の感情たちが蠢いて、叫んで、今日も頭の中でプロテストが行われている:「私たちの声を聞いて」。私は言う。「心の底から聞いてあげたいと思ってい

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