いまの日本の雇用問題が俯瞰できる絶好の資料~雇用政策研究会「議論の整理」 #0111/1000
日本の雇用問題は、いま、年功序列賃金や終身雇用などの昔からのスタイルからの変化や、コロナによる影響などの風をうけ、ゆっさゆっさと揺さぶられてる状態です。
いまはいったいどんな状況なのか、どんな方向性をめざしていくべきか、そのためには何をすればいいのか。
それらがコンパクトにまとめられた資料が公表されました。
雇用政策研究会の「議論の整理」です。
https://www.mhlw.go.jp/content/11602000/000960651.pdf
人手不足、働き方の多様化、デジタル化、労働者のウェルビーイングと仕事、都市と地域の格差。
この大きな5つのテーマを深堀りしつつ、具体的な試みも検討しています。
いまの雇用問題と、これからの方向性が大づかみできる好資料ですが、さらに素晴らしいのは、参考資料の質と量が充実していることです。
86ページある資料の前半はほぼグラフで、状態がよくわかります。
なかにはこんなドキっとくる資料もあります。
完全失業者の動向です。
右側のグラフをみると、2022年第1四半期までは前々年同期と比較してマイナスだった完全失業者が、2022年第2四半期以降、プラスになっています。
ポイントはプラスになっているということだけではなく、その内訳です。
そこで役に立つのが「寄与度」。
合計値の変動に、その内訳の増減がどの位貢献したのかを測るものです。
(詳しくは末尾で補足)
こうみると、最初は薄い色が多いのに、だんだん濃い色のほうが増えているのがわかります。
薄い色は6ヶ月未満の短期失業者、濃い色は6ヶ月以上の長期失業者です。
つまり、コロナの影響により失業者が増えたこと、その失業者も、最初は短期だったのがだんだん長期化しているということがわかるのです。
こういったグラフをみていくだけでも、今の日本の雇用問題がどのあたりにあるかがつかめます。
後半は、それに対する政府の施策がまとめられています。
法改正や助成金の資料も豊富にあるので、アンテナ感度高く確認すると、自分の身の回りの問題に役立つものが見つけられそうです。
【補足】寄与度とは
経済産業省が、非常にわかりやすい資料をのせてくれています。
計算の仕方まで。
伝えたいものがあるときに、見せる武器になりそうです。