ワークエンゲージメントは専門的なお仕事で副業できる方が高い〜会社員のウェルビーイングとワークエンゲージメントに関する2万人調査結果
ウェルビーイング(心と体が良い状態)とワークエンゲージメント(仕事にやりがいを感じ没入している)について、2万人にリサーチした結果、スコアの高い低い人の属性がわかる資料が公表されました。
ウェルビーイング研究で著名な前野隆司教授が監修されており、前野教授のコメントも掲載されています。
1.調査結果をみてみよう
この調査は、日本国内の企業に在籍する「正社員」2万人が対象です。
「正社員」が対象なので、転職回数などは、一般論に広げることはできなさそうだ、という前提で見る必要があります。
まずは一目瞭然の結果をみてみましょう。
赤い四角がウェルビーイング、オレンジの丸がワークエンゲージメントを表し、上にあればあるほどそれが高いことを示します。
ひとつめは、会社規模別、業種別、職種別、年代別です。
会社規模では5000-10000名位がいちばんスコアが高いこと、ワークエンゲージメントは職種別ではあまり変わらず、専門職は高く、年代を重ねるごとにあがっていることがわかります。
ウェルビーイングは、現業が低く、年代別はワークエンゲージメントとは逆に年が上がるほど下がっていき、60代になってあがるという別の動きを見せています。
次は、世帯年収、転職回数、出社頻度です。
幸福度は800万円が頭打ち、という研究もありますが、正社員2万人調査については、年収とウェルビーイング、ワークエンゲージメントは比例すると言えそうです。
また、転職回数が増えると、ウェルビーイングは下がりますが、ワークエンゲージメントはあまり変わりません。
ここも、調査段階では正社員として雇用されているということも影響している可能性があります。
出社の割合は、出社なしと毎日出社が低く、週イチテレワークが好評のようです。
最後に職務記述書と、副業の有無です。
職務記述書は、その職務に対する仕事内容、役割、期待される成果、直属の上司など「職務を定義したもの」のことです。
欧米ではまずこの職務(ジョブ)の定義があり、その職務を行える人を募集することから、そのスタイルを日本ではジョブ型雇用と呼びます。
ジョブ型雇用の反対が、日本古来のいわゆるメンバーシップ型です。
職務よりも人柄やポテンシャルで採用を決め、あとから職務をはめるやり方です。
この調査では、そういったジョブ型、自分のすべき仕事がはっきりしているほうが、ウェルビーイングもワークエンゲージメントも圧倒的に高いという結果でした。
確かに、営業でやってきた人が総務になる、見知らぬ土地へ赴任するなどの、自分の意志とはかかわらない異動は、良い結果をうむこともあるかもしれませんが、喜ぶ人は少なさそうです。
また、副業の有無も、ワークエンゲージメントには強い影響を及ぼしています。
ウェルビーイングはあまり変わりませんが、副業により本業へのワークエンゲージメントは低くなるどころか高くなることがわかります。
2.ワークエンゲージメントを高めることは会社でできる
この調査は、ウェルビーイングとワークエンゲージメントに関してのものですが、このふたつは私が言うまでもなく全く別のものではありません。
大きなウェルビーイングの輪の中に、ワークエンゲージメントも重なるか入るかたちになります。
ウェルビーイング、心と体の健康は、会社のこと以外にもたくさんの要素があります。
ですから、会社が個人のウェルビーイングに影響を与えられる度合いは限られます。
いっぽう、ワークエンゲージメントには会社が関われるポイントが多くあります。
この調査をヒントにするなら、専門的な仕事を定めて職務記述書を作成し、副業を可能にすることで、ワークエンゲージメントへの好影響を期待できそうです。
今回のように正社員だけではなく、契約社員、フリーランスも含めた大規模な調査を今後期待したいところです。
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