【本】後藤達也『転換の時代を生き抜く投資の教科書 』
後藤さんの文章にカラーのグラフで最高にわかりやすい本
Amazonカテゴリ証券・金融市場でNo.1など、話題になっている投資の本、読んでみました。
ふだんお金や投資に馴染みがない人も、楽しく読め、金融の基本がしっかりわかるとても良い本でした。
何より読みやすい!
1ページの文字が少なめで、さくさく読めます。
300ページ超でちょっと厚めに見えますが、後藤さんの文章がわかりやすいこともあり、2時間ほどで読了しました。
図が全体的に多いのも、読みやすさ、わかりやすさの秘訣です。
専門用語が多いところだと、1ページごとにグラフや表の図が入ります。
しかも、それがカラーなのです。
書籍に掲載されているグラフは、モノクロのまま、点線と破線などで区別をつけているものが多いですが、この本はカラーなので、円とドルの動きも赤と青などでくっきりわかりやすいです。
カラーの本を作るのはかなりコストがかかるのに、300ページ超えで1600円という低価格にしているのは、多くの人に読んでもらいたい、知ってもらいたいという著者と出版社の思いがこめられている気がしました。
積立NISAをはじめたばかりのかたや、先日の株価乱高下のニュースが気になる人には絶対読むと良い本です。
個人的な赤ペンポイント
・株式上場はヤフオクへの出品に似ている
後藤さんの説明のわかりやすさのポイントは、たとえが巧みなところ。
株式会社は世にたくさんありますが、上場するとはどういうことなのかがよくわかりました。
後藤さんご自身が作った会社の話もしてくださったり、架空のレストランの経営の例で、株式会社の設立や運営がどういうものかが身近に感じられます。
・株価を見る「虫の目」「鳥の目」「魚の目」
個社をいろいろな角度から細かく見る「虫の目」
世界経済などの全体の動きを見る「鳥の目」
そしてESG投資やAIなどの流行の潮の目をみる「魚の目」
株式市場を見るのにこの3つの目が大事だということを、事例をもって教えて下さいます。
その話のなかで出てくるのが、金融の勉強を始めるとおそらく誰もが?と思う、配当利回り、PBR、PERなどの指標群と、米雇用統計などの重要なアメリカの経済指標のお話です。
その数字にどういう意味があるのか、どう使うのかが、わかりやすく説明されています。
たとえば、低配当利回り、高配当利回りについて。
素人はつい利回りが高いほうがよいと思ってしまいますが、その背景には、なんらかのショックで株価が下がった可能性や、来期は大幅減益の気配が感じられるものまで、同じ高配当利回りでもさまざまな事情があるとのこと。
表面だけではなく、裏の事情までがわかり、非常に勉強になりました。
・日銀がしてきたこと、できること
報道でよく聞く「マイナス金利」「ゼロ金利」というこれまでの政策や、現・植田総裁の発言の内容など、どうしてそのようなことが行われてきたのか、金利とは何なのかがよくわかります。
景気が回復したことで金利が上昇するも真なら、金利が上昇することで景気が悪化するも真。
一見矛盾する話が、なるほど、と思えます。
おわりに
冒頭に、「積立NISAをはじめたばかりのかたや、先日の株価乱高下のニュースが気になる人」と記しましたが、金利や物価、日銀の政策は、私たちの生活に密接に関係しています。
気持ち的には、高校生くらいから、もしかしたら中学生でも十分読んで楽しめる本なので、全国民に読んでほしいと思います。
もしそうなったら、日本の金融リテラシーは今後世界でもトップクラスになるのでは・・・
そのくらいのポテンシャルを秘めた本です。