正社員とパート社員で忌引き日数が違ったら?〜慶弔休暇にみる同一労働同一賃金
先日、オンラインサロン「社労士労働実務事例研究会」で、慶弔休暇の正社員とパートの差について質問したところ、これだ!という資料を教えていただいたので共有します。
社労士労働実務事例研究会とは?
社労士労働実務事例研究会はオンラインサロンですが、今回の私のようにサロンメンバーがもやっとしたことをサロンでつぶやくと、尊敬してやまないふたりの大ベテラン社労士先生が、だれでも参加できるX(旧Twitter)のスペースで取り上げて惜しげもなく知見を披露してくださいます。
価値観が真反対に近いおふたりの会話は知識だけでなく、ものの見方も広くしてくださるので、気になる方はぜひ平日8:10からこちらでお会いしましょう!
慶弔休暇、正社員とパート社員で内容は違うのはOK?NG?
今回私がつぶやいたのは、部下のパート社員が配偶者の親をなくしたので、忌引きを確認したところ、正社員は5日あるのにパート社員はなく、年次有給休暇を使ってください、ということになったのにもやってしてでした。
同一労働同一賃金とは、名前のとおり、「やってる仕事が同じなら、お給料も同じでないと」ということです。
同一労働同一賃金法、のような法律はありませんが、「パートタイム・有期雇用労働法」「労働者派遣法」で定められているルールになります。
基本となる考え方は「同一労働同一賃金」ですが、例えば、手を動かす作業自体は同じでも、責任の範囲が違う場合もあります。
パート社員さんは契約時間になったらその作業が終わらなくても退勤できるが、正社員は残業してでも終わらせなれけばならないなどです。
パート社員さんは転勤は命じられないが、正社員は命じられる、だと、そこもひとつのポイントになります。
つまり、「やってる仕事が同じなら、お給料も同じでないと」とはいっても、「やってる仕事」の定義はなかなか難しいということです。
ですから、原則はそうだけど…ということで、個別に確認し、具体例を積み上げる必要があります。
その具体例をつみあげているのが、「同一労働同一賃金ガイドライン」です。
慶弔休暇については、「ここに記載がありますよ」と教えてくださる先生がいました。
見てみると、なんとNGです!
慶弔休暇は、福利厚生施設とともに、 「同一の利用・付与を行わなければならない」ものでした。
確かに、正社員しか使えない食堂があったら、なぜ正社員だけなのかという合理的理由は考えにくいですし、身の回りで結婚やお葬式があるのは、正社員でもパート社員でも同じです。
正社員に忌引きを5日与えるなら、パート社員にも5日与えなければならないことになります。
ほかの手はあるか?
正社員に与えるのであれば、「同一の付与」がルールです。
ということは、正社員にも慶弔休暇を与えなければ、パート社員にも与えなくてもいいことになります。
これはこれでひとつの考え方です。
年間のお休みが多い会社は、年次有給休暇を使わなくても休む機会は多いため、むしろ年休は体調が悪いときや、突発的に休まなければ行けない時に使ってね、というのもありなのです。
とはいえ、入社したばかりでまだ年休がなかったり少なかったりする社員もいるので、せめて避けようがないお葬式のときのお休みだけでも、数日でもあるとよいのではと思います。